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箱庭の世界

我々、人類の男女は染色体の並びできるという。

それも最後がXかY。


この違いのみである。


Yなら男性、Xなら女性だ。


しかし、このY染色体年々傷ついていき遠い未来に失われると言われている。


Y染色体が失われたなら産まれてくる子供は全て女性になるということだ。


そうなれば人類は滅亡の危機に瀕するだろう。


だが、どんな時でも人はそれに抗う。


・・・そう、彼女たちは全滅する前に間に合わせた。


そして、自らの生物の本能を満たす為に生殖機能のあるアンドロイドを開発したのだ。


アンドロイドは古の時代に語られた良き夫をインプットされた。


女性たちはアンドロイドを夫に迎えて家庭を作ったのだった。


「彼ら」はインプットされたように良き夫となった。


妻と子供の健康を第一に考え、家事をこなし、食事を用意し、妻が望めばレジャーに連れて行く。


そして、夜は彼女たちの生物としての本能を満たすのだ。


外の労働力は夫タイプ以外のアンドロイド達が賄った。


未婚のものは外で出会ったアンドロイドと交流し、気に入れば申請して夫タイプに改造してもらうという結婚式を行い恋愛ごっこを楽しんだ。


そんな完成された箱庭の小さな世界。


その中で市長を務める女性の元に緊急の連絡が入った。


工事をしている場所に冷凍カプセルが見つかったというのだ。


そして、そのカプセルの中には妊娠した女性が入っていたということも。


彼女らはすぐに現場に向かった。


そこにはまだ生きている妊婦が保管されていた。


その女性を目覚めさせる前に解析したところ、驚くべき事実が分かった。


女性が妊娠しているのは我々人類が失った男だったのだ。


箱庭の世界はもめた。


いま世界は完璧に調和がとれているのだから目覚めさせるべきではないというもの。


彼女の中の男を解析してY染色体を甦らせ自然な形の人類に戻すべきだと主張するもの。


会議は終わらず平行線のままだった。

それはそうであろう。


本物の「男性」は失われて彼女たちはアンドロイドとしての「男性」しか知らないのだから。


そこで市長は彼女を目覚めさせることを決定した。


本当の男性を知るこの妊婦に今の世の中に男性が必要かどうか選ばせようと。


お腹の子が産まれるまでの間に男性が必要だと思うならその子をそのまま産んでもらい、染色体の解析をさせてもらう。


しかし、彼女が不必要だと考えたならお腹の子供の染色体を弄り産まれてくる子供を女性にしてしまおう。


この箱庭の世界の運命は過去から流れてきた女性

「里見 裕里香」に委ねられたのだった。

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