プロローグ
不定期連載です。
朝、ゆっくりと私は目を覚ます。
そのまま洗面台に行き顔を洗うと夫がタオルを持ってきてくれる。
「ありがとう」
私は夫に一言言ってタオルを受け取り顔を拭く。
居間に向かうと既に食事の用意が出来ていた。
全て夫が作ってくれたものだ。
「お父さん、お母さん、おはよう!」
子供も起きて居間にやってくる。
「おはよう、今日も元気で体調もバッチリだ!」
夫は子供の頭を撫で抱きかかえてテーブルの椅子に座らせる。
私も椅子に座るとパンと目玉焼きにハム。
更に夫は私にコーヒー、子供にはミルクをコップに入れて渡してくる。
「さぁ、どうぞ。召し上がれ」
「いただきます」
「いただきます!」
私達は夫の作ってくれた朝ごはんに舌鼓を打つ。
夫の作ってくれる料理はどれも絶品で美味しい。
「美味しい!お父さんのご飯はいつも最高!」
「ありがとう。たくさん食べていっぱい大きくなるんだよ」
「うん!」
朝ごはんを終えて身支度を整えていると夫がやってきます。
彼は私の健康状態を気にかけながら私の手伝いをしてくれます。
「行ってきまーす!」
子供が学校へ向かう。
それを見送った後で夫も出かけて行く。
私はそれを見送ると夫は私を軽く抱きしめて
「行ってくるよ。またあとでね」
と行って家を後にしました。
理想を形にしたような夫。
元気にすくすく育つ子供。
家庭は円満で喧嘩など一つもしない。
それどころか夫は私の欲するものを察していち早く用意し、少しでも体調が悪くなればすぐに気がつき手厚いケアをしてくれる。
この状況を見たかつての友人達は口を揃えて言うだろう。
旦那に愛されているね・・・と。
でも、私はそれにこう答えるだろう。
彼は私を愛していない・・・と。
この世界の夫というものは皆が素晴らしい存在だ。
妻と子供を気にかけ、優しく接してくれる。
暴力なんて絶対に振るわない。
浮気など絶対にありえない。
それでも私は100%の自信を持って言うだろう。
「この世界の夫に愛はない」
何故なら彼等は・・・