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(WEB版)凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!  作者: yuki
第三章 : 凄くモテる後輩と俺
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ついこの前なのに懐かしいですね!


「私が先輩のどこが好きか、ですか?」

「ああ、ずっと気になってたんだ」

「そんなに気にするようなところでしょうか……」

「そりゃ気にするだろうよ」


 はっきり言って、俺と二菜では住んでる世界が違う。

それは俺が一番よくわかっているし、未だに「なぜ俺?」という疑問が尽きない。

今までなんとなくはぐらかしてきたが、避けては通れないだろう。


「……そうですね、ここじゃなんですから、移動しましょうか」

「どこに? 今日はどこもいっぱいだぞ、多分」

「うーん……出来れば屋上とか……ダメでしょうか?」

「流石に今日は人多そうだけど、それでもいいか?」

「いたらいた時ですよ、行きましょ?」



 そう言いつつも移動した屋上には、本当に珍しく、誰もいなかった。

今日みたいな日は、絶対に誰かがいると思ったんだが……。

まるで、俺たちのために人がいなくなったと思うのは、都合がよすぎるだろうか?


「……くふふ、懐かしいですね、先輩!」

「ん?」

「私あの時、ここで凄くドキドキしながら、先輩を待ってたんです」

「ああ、春の話か……確かに懐かしいなぁ」

「ね、なんだか随分前みたいな感じがします」


そうだ、俺はここで、二菜に告白されたんだった。

ただ、あの時はこいつを全く信用してなくて……。


「勇気を振り絞って告白したら、イルカの絵も壺も買わないですよ、酷いと思いませんか!?」

「……仕方ないだろ、絶対裏があるって思ったんだから」

「あれには傷つきました……しかも屋上に放置されましたし」

「だから悪かったって!」


当時は、こんな可愛い子が俺なんかに近づくのは、絶対に何かあると思ったんだ。

というか俺じゃなくたって普通警戒する。

警戒するよな?


「ただ、翌日のあれはいただけない……あれから大変だったんだからな!?」

「だって、先輩はあれくらいしないと私に興味持ちそうになかったし……」

「まぁ、それはまぁ……うん、そうだな」


多分、翌朝の待ち伏せがなければ、こいつの事もすぐ忘れていただろう。

そうなると、今のような関係はなかったかもしれない。


「先輩って、なんやかんや言って結構チョロいところがあるから、私心配です……」

「おいおいおい、猜疑心の塊のような俺のどこがチョロいっていうんだ?」

「急に訪ねてきた後輩をその日のうちに家に入れちゃうのは、チョロいと思いますよ?」

「ドアチャイムを散々連打しといてよく言う……!」


あんなことされたら、普通あけるだろうよ。

決して俺がチョロいわけではないと思う。



「……先輩は、私と初めて会った時のこと、覚えてますか?」

「ん? 今年の春のことだろ? 今話してたじゃないか」

「はー……やっぱり覚えてなかった……」

「ん?」


 今年の春、それより前にあったことがある?

ダメだ、全然覚えてない……。

だいたい、二菜みたいな子、一度見たらそうそう忘れないと思うんだけどなぁ。


わからない、という表情をすると、二菜がわかりやすく溜息をついた。


「先輩がどれだけ私に興味なかったか、よーくわかりました……」

「いや待て、興味がないってわけじゃないぞ!?」

「いいですー、先輩はー、そう言う人でしょうしー」


ほっぺたをぷくーっと膨らませて怒る二菜を、なんとか宥め賺す。

機嫌を直してもらわないと、話が進まないじゃないか……!


「はぁ……まぁ、いいですけど……今はそうでもないみたいですし?」


その言い方だと、まるで俺がお前の事を好きみたいな言い方になるぞ。

いや、まぁ、その……好きだけど……!


「で、俺とお前、いつ会ってたんだ?」

「言っておきますけど、そんなドラマチックな話ってわけじゃないですからね?」

「俺が関わってるんだから、そりゃそうだろ」

「もう……そんなに面白い話でもないですからね?」


そう前置きをして、二菜がぽつぽつと話し出した。


「これは、私が中学三年生の夏休み……ちょっと擦れた子供だった私が、とある男の子に出会った話です」

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凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!
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