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(WEB版)凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!  作者: yuki
第三章 : 凄くモテる後輩と俺
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ほんと私が好きですね!

「えへへへへへへ……」

「おい天音、お前顔がゆるみまくってんぞ」

「えっ!? わ、私、また男子に見せられない顔になってましたか!?」

「なんだそりゃ」


 ゆるゆるの顔ではあったが、そんなに変な顔ではなかったと思うけど……。

いつもの二菜だなぁ、程度にしか思わない顔だ。

というか、あの顔にちょっと危機感を持っていたことに驚きを感じる。


そんな俺たちは、二人で学園祭を回っていた。

二菜の友達は他に行く事がある、ということで別れている。

まさか、学園祭を女の子と二人で回ることになるとはなぁ……。


「いつもうちにいるときにしてるような顔だったな」

「それは十分ヤバいんですよぉ~!」


両頬に手を当て、ぐっと顔を押さえだすが、逆に変な顔になっていることに気がついているだろうか?


「くっ……ははは!」

「な、なんですか先輩!」

「お前、さっきより変な顔になってんぞ! 可愛い顔が台無しだわ!」

「可愛いって言われるのは嬉しいですけど、複雑な気分です……!」


まあ、俺からすればそんな顔も可愛く見えるんだから、色んな表情が見れてお得な気分ではあるんだけどな。


「さて、どこから回る? って言っても、俺全然チェックしてないんだけど……」

「ふっふっふっ、だろうなと思ったので持って来ました、ガイドブック!」

「おお、準備いいなお前!」

「くふふー! もっと褒めてくれてもいいんですよ?」

「あ、これ以上褒めると調子乗るからここまでな」

「もー! なんでですかー!!」


ガイドブックに一通り目を通してみるが、流石に学内のみの初日だと、軽音部のライブなどのイベント系はほぼタイムスケジュール確認程度しかしておらず、ほぼ模擬店のみが動いている事がわかった。

となると、グラウンドの方には今のところ、出る必要はなさそうだ。


「まずは……とりあえず、小腹がすいたな……」

「なら、こっちの運動部系がやってる、出店系のコーナーからですね!」

「縁日コーナーって……縁日もう関係なくないか?」

「まぁまぁ、焼きソバにフランクフルトが待ってますよー!」


てなことを、夏の終わりにも聞いた気がする。

こいつ、見た目こんなんなのに、意外と食い意地はってるよな。


「さっきケーキ食ったとこなのに、まだ食うのかよお前」

「くふふー! それはそれ、これはこれ、ですからねー!」

「どうしてそれだけ食って、身長が伸びないんだ……」

「の、伸びてるもん……大きくなってるもん!」

「確かに、胸はまた育った気がするな……」

「ど、どこ見てるんですか!? もー! 先輩のえっち!!」


七菜可さんへの道はまだまだ遠いといわざるを得ないな、と頭を撫でてやると、一瞬嬉しそうな顔をし……。


「先輩、私が頭を撫でればすぐ機嫌がよくなると思わないことですねっ!」

「そうか、じゃあもう撫でるのはやめておくか」

「いいえ! もっと愛をこめて! 愛をこめて撫でてください!」

「はいよ」



後に、その光景を見ていた学生は語る。


『あれで付き合ってないって言われたら、世の中のカップルみんな付き合ってませんよ』


と――――。


 * * *



 その後、縁日コーナーである程度腹を満たした俺たちは、運動部の運営するミニゲームコーナーで遊びまわった。

意外だったのが、どのミニゲームでも二菜が結構動けたことだ。

いや、結構どころではなかったかもしれない。


フリースローをさせれば5本中5本決めるし、テニスの的当ても百発百中。

ほんとこいつは……苦手なこととかないのかね?


「お前、バスケもテニスもなんでもできんのな」

「ふふーん、私は意外と運動神経いいんですよ!」

「なんで部活やらなかったんだよ、勿体無い」

「そんなことしたら、放課後の先輩との時間が取れなくなるじゃないですか」

「……さよか」


くそ、可愛いこというよなぁ……。


「くふふ、先輩、ちょっと顔赤いですよ?」

「うるさい、赤くないし、ちょっと動いたから暑くなっただけだよ」

「そうですかー……じゃあ、ちょっと涼みに、外出ませんか?」


 そう言ってやってきたのは、グラウンドの中央ステージ。

明日、ミスター・ミスコン本選が行われる舞台だ。


去年は全く興味なかったので見ていなかったが、意外と大きなステージだ。

色々と準備をしてきたとは言え、明日、俺はここに立てるだろうか?


「先輩、明日のことで相談があるんですけど……」

「なんだ?」

「今年のミスコン、私エントリーしてるんですけどね」

「ああ、知ってる」


話題になってたからな、あの天音がエントリーしてる! って。

ちなみに俺もエントリーしているが、誰も話題にしてくれなかった。

一部のクラスメイトはしっていたみたいだけど……恐らく、二菜も知らないと思う。


「多分1位なんてなれないと思うんで大丈夫だと思うんですけど……その……」

「1位になっちゃったら、往面と二人で広告塔することになるのが嫌ってか?」

「はい……いえ、ほんと私が1位になるなんて思わないですけどね?」


あの先輩だって、1位になるかわかんないですし、と二菜はいうがどうだろう。

何もしなければ、あいつが1位を取るんじゃないだろうか?

そして。


「俺はお前がミスを獲ると思ってるぞ」

「先輩?」

「俺は、お前がこの学園で一番可愛いし、綺麗だと思ってる」

「……っきゅ、急になんですか! も、もうっ!」


そう言うと、顔を伏せ気味に、二菜がやや顔を赤らめた。


「せ、先輩がそういうなら! 1位になっちゃうかもしれませんねっ!」

「ああ、だから、俺も参加することにした」

「……なんですって?」

「ミスターコン、俺も参加するから」


ちょいちょい、とエントリー一覧の中の、俺の名前を指してやる。

それを見て目を見開いているが……あー、やっぱり気付いてなかったか。


「え、先輩がこんなイベント出るなんて……どうしたんですか?」

「……お前とあいつが広告塔として常に一緒にいるのが嫌だな、って思っただけだ」

「あ、それで今日、そんなにイメチェンして……くふふ! 先輩って、ほんと私が好きですね!」

「うるせー」

「そんな先輩が私、大好きです! 結婚してください!!」


大好き、か。

そうだな、聞くなら今しかないか。


「なぁ、天音」

「なん……はい?」



「お前、俺の何がそんなに好きなの?」

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凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!
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