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(WEB版)凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!  作者: yuki
第三章 : 凄くモテる後輩と俺
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入り口でイチャつかないで!

「だ、誰ですか……?」

「ちょ、ちょっと待ってよ宮藤さん、俺、俺だよ俺!」

「み、見え透いたおれおれ詐欺の手口……っ!」


 なんでそうなるのかな!?

この反応、本当に俺が藤代だって気付いてないんですか!?

詐欺師扱いするって、地味に酷くない!?


「オレ、フジシロ、ミヤフジ、トナリ、トモダチ、トモダチ」

「なにやってんの一雪……」

「いや、宮藤さんが俺のこと、誰とか悲しいこというから……」

「ふふふ、それだけ一雪が変わったってことさ」


そんな会話をする俺と五百里を、宮藤さんがぱちりと目を瞬かせ……


「え、もしかして……藤代くん……?」

「ほんとに気がついてなかったんだ……」


もう半年以上、隣の席にいたのに、髪を切った程度で気付かれなくなるなんて……。

俺と宮藤さんの絆は、そんなもんだったのか!?


「宮藤さん……俺とあんなに、愛を確かめ合ったのに……」

「しっ、してないっ、してないです! あとこっち見ないでください……」

「おい五百里、キモいからこっち見るなって言われたぞどうしてくれる」

「大丈夫だよ一雪、あれはそういうんじゃないから」

「ほんとかよ」


明日が勝負の一日になるんだ……頼むぞほんと……。



「うわぁ……ダメですって目を出したら……ヤバイですよこれは……!」


 * * *



 ここまで色々とあったが、とうとうやってきた学園祭の今日。

日程的には今日が校内のみのイベントで、明日一日が一般公開日となる。

なので今日は一日、全員で仕事内容を確認する程度の意味合いになるのだが……。


「うちのクラスはカフェだから、一雪には余裕だね」

「まぁ、いつもしてる仕事だからな」


 カフェとはいえ、珈琲と簡単なケーキ程度しかメニューのない、簡素なものだ。

色んな珈琲の種類にデザートまであるバイト先と比べればそれは余裕だろう。

ただ、同じ学校の生徒をもてなす、というのが気恥ずかしいだけで……。


「まぁまぁ、今日は一日頑張ってもらわないと困るんだよ?」

「おお、そうだな……全ては明日のために……」

 


明日のミスター・ミスコン。

エントリーはしているが、まだ出場が決まったわけではなかった。


仕組みとしては、1日目の今日、校内のみでの予選投票が行われ、そこから上位10名のみが明日、2日目の本選へ進み、生徒と外部の客を含めた決選投票となるのだ。

さすが学園主導、無駄に手が込んでいるといわざるを得ない。


「だから今日は一日、気合いいれて働いてもらうよ?」

「と言いつつ、単純に俺をコキ使いたいだけじゃないだろうな」

「ははは」

「お前ぇ……」


だが、明日に進めなければ、なんの意味もない。

今日は甘んじて、労働を請け負おう。

それにしても。


「なぁ、やっぱなんか変なんじゃないか、俺」

「どうしてそう思うのかな?」

「視線が痛い」

「ああ、それは気にしなくてもいいよ、痛くない痛くない」

「本当かよ……」


今日は朝からこればかり言っている気がするが、仕方ない。

本当に大丈夫なのかよ……。



と、言ってられるのも、朝のうちだけだった。

実際イベントが始まると、忙しいのなんの……!


「お待たせいたしました、ケーキセットになります……ごゆっくりどうぞ」


こんなよくあるカフェの模擬店なんて、そうそう人が来るとは思わなかったんだが……。

やはり、五百里とイケメンくん効果は凄いといわざるを得ない。

はぁ、休憩が遠い……!


「藤代くん、3番テーブルに珈琲二つ持っていってー!」

「あ、藤代くん、5番もお願いね!」

「待って、さっきから俺ばっかり行かされてるんだけど!?」


他に暇してる奴がいるのに、どうして俺ばかりが行くことになるのか、解せぬ。


「まーまー、明日のミスターコンの為だと思って!」

「くっ……はいはい、働きますよって……申し訳ありません、お待たせいたしました」


くそぉ、店ならこれだけ働けば、お時給という形で返ってくるのに……!

という苛立ちを胸にしまいこみ、ニコリと笑顔。

接客業は笑顔が大事、笑顔が大事と繰り返す。

あー、癒しが足りない……。


「藤代くーん、次のお客様お願いしてもいいですかー?」

「はーい、わかりました! いらっしゃいませー……って、に……天音じゃないか」

「えっ……あれっ、先輩……?」

「来てくれたんだな」

「な、なんか先輩が……すごいすっきり……あれっ?」

「ああ、昨日音琴に連れて行かれてな……変じゃないか?」


癒しが欲しいと思っていた時に、タイミングよく癒しが目の前に現れたおかげで、テンションが上がる。

……おお、これがこの前言ってた、二菜のクラスの茶衣着か!

うん、想像していた通り、やっぱり可愛い。


「可愛いなそのかっこ、天音によく似合ってる」

「ふぇっ!? あ、ありがとうございます……先輩も……今日かっこいいですよ……?」

「そうか? いつものバイトと同じような格好なんだけど」

「いえっ! 知らないうちに髪もさっぱりして……ほんとに、かっこいいです……」

「そ、そりゃどうも……」


あ、ヤバイ、今顔赤くなってるかもしれん。

二菜も耳まで赤く……ってだから恥ずかしいなら言うなよな、お前も……。


「あのー藤代くん、入り口で彼女とイチャつくのやめて、席に案内してくれない……?」

「「!?」」


周りを見渡すと、ニヤニヤとこちらを見ているクラスメイトの皆さんにお客さん。

天音が連れてきた友人に、憎憎しげにこちらを見ているイケメンくんが……。


「か、彼女じゃないんだけど!」

「か、彼女です!」


「「…………」」


沈黙。


「お、ま、え、は、な、に、をー!」


頭を掴み、ギリギリと握りこんでやる。

こういうとき、こいつの小さい顔は握りやすくてとてもよい……。


「痛いです先輩! なんですかもう彼女って事にしておきましょうよここは!」

「せめて時と場所を考えろ……!」

「もう! なんでですかー! これ以上のシチュエーションなんて……」


「藤代くん、イチャつくなら、せめて席に案内してからにして~!!」


しまった、教室内どころか、今は外にも待ってる人が……!

あ、だめだこれ、めっちゃ注目されてる……。


「し、失礼しました、こちらへどうぞ」

「お願いします……」


ああ、顔が熱い……!

あとで覚えとけよ、二菜……!!

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凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!
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