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(WEB版)凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!  作者: yuki
第二章 : 俺は絶対に絆されない!
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特別な一日?(前)

 

「先輩先輩! 今日は何の日か、わかりますか!?」


 朝、唐突に天音がそのようなことを言い出した。


 特別な日? 今日ってなんか特別な日だっけ?

 ゴミの日……じゃないよな、不燃物の日でもなかったはずだ。

 大型ゴミは申し込まないと持っていってくれないし……うーん。


「なんかあったっけ、近所のスーパーのポイント5倍デー?」


 ふむ、これなら確かに特別な日だ。

 洗剤とかの消耗品、買い貯めておくべきかなぁ……冷凍食品は……最近食わなくなったし、いらないか?


「ぶっぶーはずれでーっす!」

「これでもないのか……じゃあわかんないな、なんの日だっけ?」

「くふふ! 今日はなんと! 私が先輩に告白してから1ヶ月記念なのです!」

「はぁ」

「もー! なんですかその反応! 1ヶ月ですよ1ヶ月!」

「いや、なんていうか……うん」


 心底。

 心底くだらねぇ! と思ってしまっただけだ。

 え、1ヶ月って別になんの記念でもなくない?

 1年! とか半年! ならまだわかるんだけど、1ヶ月だぞ1ヶ月。

 先月じゃん!


「その調子だと、来月の今日も再来月の今日も記念日とか言い出しそうだな」

「おっ! よくお分かりですね!」

「マジかよ……」

「ちなみに明日は、『二菜ちゃん初めての先輩のおうちデートの日♡』1ヶ月記念です!」

「マジかよ…………」


 その調子だとほんと、毎日が記念日になりそうだな、天音よ!


「くふふ! そうですよー今日からは毎日が記念日です! 初めての先輩とのデート記念とかもありますよ?」

「わぁ、毎日が記念日とか素敵だなぁ……ありがたみ0だなぁ……」

「えへへ、毎日ほんと楽しいですよねー♪」


 そういいながら、天音が本当に楽しそうな表情を見せながら、くるくるとその場で回ってみせる。

 なんだこいつ、犬か。

 犬志郎、元気かなぁ。



 それにしても1ヶ月……1ヶ月か。

 この1ヶ月、毎日昼夜を世話になってると考えると、何かしてやった方がいいんだろうか?

 うーん、かといって今から何かをするってのも時間がなぁ……。


 そんな天音は、何がそんなに嬉しいのか、ついに鼻歌まで歌いだす始末だ。

 跳ねるように歩く仕草にあわせ、ぴょこぴょこと横でくくった髪が揺れるのが、なかなか可愛らしい。


「……ふむ」


 まぁ、世話になってるしな。

 何かちょっと、考えてみるか。


 * * *



 と、言ったものの。

 放課後までの一日、色々と考えてみたが、結局何も思いつかず。

 そのまま、放課後になってしまった……さて、どうしたもんか。


「天音に直接、なんか聞いてみるべきか? いやでも……うーん……」


 下駄箱で靴を履き替えながら、考え事をしているときだった。


「あっ! せんぱーい! ていっ!」

「ぐえっ!」

「何一人で帰ろうとしてるんですかー! 私と帰りましょうよー♡」


 中腰になっていた俺の背中にのし掛かる重み。

 こんなことをするのは奴しかいない……!


「重……潰れる! 俺が潰れるぞ天音!」

「ちょっと先輩!? 私、そんなに重くないんですけどー!?」

「い、いいから降りてくださいお願いします」


 うん、別に重くはない。

 むしろちゃんと飯食ってんのか心配になるくらい軽いし細いし柔らかいし、お前ほんとに大丈夫なの!? って思うほどなんだけどさ!

 下校時の人がたくさんな昇降口で後ろから抱きつくような格好してたらどう思われるか……わかれ! わかってくれ!!


「もー! 私からのLINE、見てなかった先輩が悪いんですー!」

「ん? ……ああ、悪い、全く気付いてなかった」

「私からの愛のこもったメッセージ、ちゃんと見てくださいよぉ……」


 愛のこもったって。

 アドレス登録してからこっち、毎日ろくなメッセージが来てない気がするんですが、気のせいですかね?

 とりあえず、今お風呂入ってます系だけは勘弁してもらいたい。

 マジで。


「もー! 先輩の教室まで迎えに行ったんですからねっ!」

「そかそか、そりゃ悪いことしたな……んじゃ帰るか、お疲れ天音」

「えっ!? あっあっ、待って、待ってください! 私まだ、靴履き替えてないんですけど!?」

「おー、先行ってるかんなー」

「先輩のいけずー!!」


 うわーん、などと言いながらぱたぱたと走っていく天音を見送り、先に帰路へとついた。

 全く、本当に騒々しい奴だ。

 いや、俺がちょっと冷めすぎてるのか?

 うーん?


「せんぱーい!」

「ぐえっ!」

「くふふー! なんやかんや言いつつ、足を緩めて待ってくれてる先輩、好きー♡」

「あ、天音さん……離れてください……ここ、校門前……!」


 人が! 人がめちゃくちゃこっち見てるから!!

 校門前で好きとか嫌いとか! 恰好の噂の餌食なんでマジで!!


「なるほど! つまり校門前じゃなければ抱きついてもいい、と!」

「いいわけないだろこのおばか!」

「もー! なんでですかー!」


 お前はほんともう……お前はほんともう!

 なんでですかじゃねぇ!


「背中にべったり張り付かれたら歩けん、離れろ天音」

「無理でーす、二菜ちゃんは今、先輩エネルギー補充中なのです!」

「ねぇよそんなもん」

「あ、先輩も二菜ちゃん成分補充します? 前からぎゅーってしても……」

「しねぇから! ああもう! 早く行くぞ天音!」

「仕方ないですねー……続きの補充は帰ってから……」

「といいつつ、なぜ離れない」

「いやーははは……なんででしょうね?」


 全く……本当にこいつは! おかげで、久々に周囲の目が痛いよほんと。


 仕方なく、背中にへばりついた天音を背負うようにして、その日は下校したのだった……。

 うう、視線が、視線が痛い……!

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