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(WEB版)凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!  作者: yuki
第二章 : 俺は絶対に絆されない!
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閑話:外から見た二人の距離感


「ねぇ、六花……さすがにこれは、一雪に悪いような……」

「ふっふっふっ、今更何言ってんのよ! こんな面白……いやいや、一雪の今後に関わる問題、見守らなくてどうするのよ!」

「面白……本音が漏れてるよ六花……」


はぁーっ、と五百里に深い溜息をつかれたけど、これはもう仕方ない。

だいたい、五百里だって気になるでしょうが、あの二人(一雪と二菜ちゃん)が今、どんな感じなのかを!


というわけで。

私……音琴六花と香月五百里は、放課後、一雪の後ろをこっそりとつけております!

なんのためにあんなほかに使いようがいくらでもある、面白爆弾を使ってまであの二人にデートに行くよう誘導したかって、全てはこのためですよ!

これからあの二人が今、どのような感じになっているのかを、実況させていただきます!

さて、現在ですがどう見ますか五百里さん!


「どうって言われても……哀しくなるくらい、一雪がいつも通りだとしか……」

「隣に並ぶ二菜ちゃんは……おっと、一雪の手をちらちらと見てますね!」

「あれは手を繋ぎたいなぁ、とアピールしてるんだね、うん」

「そしてそのアピールにも全く気付かない一雪! 何やってんのよあんた!」


もう後ろから蹴りでも入れてやりたくなるんだけど!

あんな分かりやすい態度なのに、なんで気がつかないのかしらね!

二菜ちゃんもほんと、あれのどこがいいのやら!


「うーん、一雪も気がついてないわけじゃないと思うんだけど」

「それはそれで問題だと思うわ」

「! おっと、天音さんが我慢できなかったみたいだね、自分から手をつなぎにいったよ?」

「よし! それでいいのよ二菜ちゃん! そいつはもう自分からやるしかないわ!」


ふふふっ、一雪のあの顔! 

あらあらうふふ、二菜ちゃんも顔真っ赤にしちゃって……初々しいわねぇ。

あ、無理矢理恋人つなぎにまで持っていくとか、積極的ね二菜ちゃん。

それにしても、こうやって離れてみてると、意外とお似合いのカップルに見えるんだけど……。


「あの二人、本当に付き合ってないのかしらね?」

「どうだろうね? 一雪はそんなんじゃない、って言い張ってるけど」


その割には、二人の距離が近いように感じる。

物理的なというか……精神的な距離感? とでも言うべきか。

いや、近づいてるのは二菜ちゃんのほうで、一雪は一定距離を保とうとしている? うーん。


正直。

一雪はあれで結構偏屈な所もあるし、目つきも悪いし口も結構悪い。 ほんと目つき悪い、あの目つきのせいでかなり損してるんじゃないかしら……?

ん? こういうと、一雪のいい所がないような……?


いやまぁ、一雪本人は話してみると結構いい奴だと思うし? あれで案外優しいところもあるんで、そういうところに気がつくいい子がそのうち出てくるでしょ、とは思ってたんだけど……。


「二菜ちゃんって、ほんとに一雪と知り合って1ヶ月程度なの?」

「どういうこと? 一雪は知らないって言ってたよ? 多分、嘘はついてないと思う」

「その割りに……あの子、一雪に心を許しすぎな気がするのよねぇ……」

「まぁ、それは確かに」


どう見ても一ヶ月程度の距離感ではないのよね……覚えてないだけで、本当はどこかで知り合ってた、って言われても信じちゃうわよ。

で、当の一雪は……ガンガン二菜ちゃんに踏み込まれて、今は戸惑い中ってところかしらね?

今も、積極的に話しかけているのは二菜ちゃんに見えるし。

あんな可愛い子にあそこまで迫られて、どうしてあんな塩っぽい対応できるのかしらね?

ほんと、偏屈な男!



「あ、お店に入るみたいだね、どうする? 流石に僕らも入ったらバレると思うけど」

「かといって外で待ってるわけにはいかないでしょ、5分くらいしたら入りましょうか」

「了解」



そうして待つこと5分。

店内へと入ると、流石の混みよう……でも、上手いこと一雪たちと離れた席になったわね。

あとはバレないようにこっそり伺うだけ……。

にしても、おしゃれな喫茶店ねここ。

青いランプに照らされた店内が……ふむ、いい所を教えてもらったわ。

この明るさなら、一雪たちにも多分バレないでしょ。



「先輩先輩、見てください! ここのオススメはこれ、ゼリーポンチなんです! ふふっ、綺麗ですよねぇ……」

「昔から思ってたんだけど、フルーツポンチとかのポンチってなんなんだ?」

「え? えーっとなんでしたっけ、もとは『パンチ』っていうお酒にフルーツを入れた飲み物……からポンチに変化したんだったかな?」

「ふーん……なんかもうちょっとなかったんかね、おしゃれな言い方」

「もうっ! ほんと先輩、そういうところですよっ!」



ほんとそういうところよ、あんた。

綺麗ですよねーって女の子が喜んでるんだから、あんたもそうだね、でも二菜のほうが綺麗だよ、くらいいいなさいよ!


「六花はどうする? 僕はコーヒーでいいかなぁ」

「……じゃあ、私は二菜ちゃんオススメのゼリーにしようかな?」

「六花もなんだかんだ言って、そういうの好きだよね」

「……別にいいでしょ」

「ふふっ、もちろん」

「ふんっ」


つい照れくさくなって、ぷいっと横を向いてしまう。

すると、相変わらず楽しそうに話す二菜ちゃんと、ふっと眉間のしわが取れて、優しそうな顔をする一雪が目に入った。


……へえ、一雪があんな顔するなんてねぇ。

案外、一雪が落ちるのもそう遠くないかもしれないわね。



「あーあ、それにしても、ついに一雪も彼女持ちかぁ」

「寂しい?」

「どうかしらねー、やっとかーって気もするし……」

「最初、一雪と六花が仲良くなって、あとから僕が入ったんだよね」

「あれは仲良くっていうのかしらねぇ……」


気がつけば、あいつとももう4年近い付き合いだ。

あいつとは……あいつとはなんだろ? 喧嘩友達? みたいな感じだったのかな?

なんだかんだと言って、仲がよかったのはよかった、とは思う。

一雪が私をどう思っていたのかは……まぁ、うん、なんとも言わないケド。



「はー! もうあの二人、さっさと付き合っちゃえばいいのに!」

「遅かれ早かれ、だと思うよあの二人は。 というか、多分天音さんが一雪を逃がさない」

「ほうほう、その心は?」

「天音さんの狡猾なところは、一雪本人の知らないところで、外堀をどんどん埋めてるところだね」


曰く、すでに五百里のクラス内では一部を除き、「あの二人は付き合っている」という空気が出来上がりつつあるとか。

それを少しずつ少しずつ教室内、校内へと浸透させていき、気がつけば逃げられない! という状態になるんじゃないか、と。


「そしてその頃には一雪もなんやかんやと天音さんに絆され、結果逃げられないようになりました、と」

「一雪じゃないけど、二菜ちゃんの愛が重くて怖いわ……」

「ふふっ、ほんと、愛されてるねぇ一雪」


そこまでするってことは、絶対二菜ちゃんは一雪のことを以前から知っているはず。

でなければ、出会って早々、無愛想で愛想の欠片もない、偏屈男の一雪にそこまで拘る理由がないのだ。

一体、二菜ちゃんの過去に何があって、そこまで一雪に拘るのか知らないけど……。

いつかあの二人の馴れ初め、聞かせてもらいたいわね。



その後。

やってきたゼリーポンチは、さすが二菜ちゃんのオススメ! と思うほどに綺麗で。

気がついたら、一雪と二菜ちゃんの姿は消えていた。


「やらかしたぁ……!」

「これもう、僕たちも普通のデートしてるようなもんだね」

「ま、見たいものも見たし……いっか」

「じゃ、僕らもそろそろ行こうか」

「そうね」


……今度はゆっくり、来たいわね、一雪関係なしに……。

いいお店を教えてもらった、と空に向かって、私は二菜ちゃんにお礼を言うのだった……。




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