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(WEB版)凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!  作者: yuki
第二章 : 俺は絶対に絆されない!
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その教科書、大丈夫?

 

「それで、最近、天音さんとはどうなのかな?」

「どうなの、とは?」

「相変わらず仲良くしてるみたいだけど……そろそろ付き合いだしたりした?」

「はっ、ありえねー」


 天音と知り合って……だいたい1ヶ月半ってところか?

 なんやかんやと色々とあった気もするが、別に天音と何かあった、という事実は存在しなかった。

 まぁ、毎日人の家にきてメシを食って帰るようになったのはどうなの? と思わなくはないが、誰にも言う気はないので、特に問題はないだろう。

 ……うちの母さんと連絡を取り合うようになったのも……まぁ、問題はない……と思う。


「ほら、デートに行った、とかそういう……」

「ないない、そもそも俺がそんな風に出かける奴にみえるか?」

「見えないけど、相手があれだけ積極的な天音さんだからねぇ……」

「はっ、俺を連れ出せるもんなら連れ出してみろっていうんだ」


 ちなみに、GWのアレは母さんのせいなのでノーカンだ、あれはデートではない。

 デートってもっとこう……ほら、あれじゃない?

 お互いがお互いを想いあってる男女が、デートだ! って思って出かけないとダメじゃない?

 つまり俺と天音はデートなどしていない! 完全な証明だ……。



「え、でもこの間、天音さんと一緒に歩いてる藤代くんに会いましたよ?」

「宮藤さん!?」

「あれは、どこからどう見てもデートだった気がするなぁ」

「……へぇ、それはまた……仲良くしてるんだね、一雪」


 しまった、まさか宮藤さんが後ろから撃ってくるなんて思わなかった……!

 信じていたのに! 宮藤さんは、俺の味方だと思っていたのに!


「ち、違う、あれはデートじゃない! 宮藤さんにもそう言ったよね!?」

「でも、あんな仲よさげに歩いてたら、デートに見えるんじゃないかなぁ……」

「俺から仲よさげにした覚えはありません!」


 おれじゃない

 あまねがやった

 しらない

 すんだこと

 である。

 ただ気持ちよく散歩をしていただけなのに、とんだ風評被害だよまったく。


「女の子と男の子とじゃ考え方は違うのかもしれないけど、女の子からみたらやっぱりデートに見えるんじゃないかな?」

「マジか」

「想いあってる二人じゃなくても、どちらか一人が相手を想ってるなら、それもう立派なデートだなって」

「なるほど、じゃあやっぱりデートじゃないな!」

「えぇ……」


 いやいや、だってあいつが俺を好きとかないでしょ?

 そうやって油断したところに、飲める洗剤を持ち込むつもりなんだからな。

 あ、消火器だったか? まぁ、いいや。


「あはは、なんやかんやいいつつ、天音さんと仲良くしてるみたいで安心したよ一雪」

「五百里……お前は俺の父親かなんかか」

「ふふっ、藤代くんはなんとなく、心配になっちゃうんですよね、わかります!」

「そして宮藤さんは俺の母さんかよ! それより恋人になってください!」

「うーん、天音さんと二股かけようとするような人はパスかな?」

「宮藤さん!?」


 なんてことだ……っていうか、誰が二股だ!

 おのれ天音め……今度からは強めにばしっと言ってやらないと!

 そんな風に三人で談笑していると、音琴が教室へと飛び込んできた。


「ごめん五百里! 今日こっちのクラスって数Ⅱあったっけ?」

「いや、うちは今日はないなぁ……どうしたの? 教科書忘れた?」

「一式全部忘れちゃって……はー、他の教室行ってみるかぁ」


 ほう、音琴が教科書を忘れるなんて珍しいな……。

 こいつ、ちゃらんぽらんそうに見えるけど、意外と真面目なんだよなぁ。

 何気に俺より成績がいいってのが、本当に信じられん。

 どこから見てもちゃらんぽらんなのに……!


 ま、それはそれとして教科書、教科書ねぇ。


「ちょっと待て音琴、俺持ってるぞ、数Ⅱ」

「……なんで数Ⅱの授業ないのに、持ってんのよ」

「一雪は全部、置き勉してるからね」

「こんな重いもんを毎日持ち運んでるお前らが、俺は信じられないよ」

「持って帰らないで、どうやって予習するのよ……」

「なんだ、貸してやらないぞ?」

「貸してくださいお願いします!」


 ぱんっ! と手を合わせ拝まれる気分は悪くない、仕方ない貸してやろう。


 そう思いつつ、カバンの中から教科書を取り出した。

 昨日は課題のために一旦持ち帰っていたが、そのまままた置いておくために持ってきたんだよな。

 みんなもやろう、置き勉!

 ただしテスト期間には持ち帰らないといけないから、そこは注意だぞ!


「一雪さんきゅ! 今度珈琲おごるから!」

「おー、いつものやつな」

「いつものね! 五百里もまたお昼にね!」

「うん、また後でね」



 この時の俺は気付いていなかった。

 昨日持ち帰った教科書に、アレが挟まれていた、ということに……。


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