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(WEB版)凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!  作者: yuki
第二章 : 俺は絶対に絆されない!
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天音二菜はゲーセンに行きたい


 天音をつれた放課後。

 いつものように買い物をし、いつものように帰宅する。

 そんなルートをたどっていた時だった。


「あ、先輩先輩、私、一回ゲームセンターに行ってみたいんですけど」

「え、お前行ったことないの?」

「えへへ、お恥ずかしながら……」


 まさかこの時代に、一度もゲーセンへ行った事がない人間がいるとは……。

 小学生の頃からよく遊びに行っていた俺にとって、そのような人間がいるとは信じられないことだ。


 ていうか、女子高生ってゲーセン行くんじゃないの? プリントシールの奴やったりするんじゃないの?

 なんとなく、女子高生とはそういう生物だと思っていただけに、天音の行った事がない、は想定外だった。

 あれ、そういえば天音が友達と遊んでる、とかそういうの見たことない気がするなぁ。



 あっ。



「そうか……天音、お前には一緒にゲーセン行ってくれる友達がいないんだな……可哀想に……」

「ち、違いますよ! 中学生の頃は行っちゃダメって言われてましたし、高校入ったらずっと先輩と一緒だからですよ!?」


 ……それはそれで問題じゃなかろうか?

 こいつ、俺が卒業したあと、1年あるのわかってんのか?

 大事だぞー友達は、俺が言えたことじゃないけど。


「まぁまぁ、俺のせいにしなくてもいいから、わかってる、わかってるからな天音」

「むぅ、なんか優しげな先輩の眼差しが、今日はちょっとイラっとします……!」


 そんな可哀想な天音は、俺がしっかりゲーセンへ連れてってやらねばなるまい。


 というわけで。

 帰り道を少し外れ、バイト先の近くにある、ボーリング場に併設された、大型のゲームセンターへと天音を連れてきてやった。

 ここは1Fがキャッチャーやプリント等のカップル・女性向けとなっており、上へと上がるほどにメダルやビデオゲームと内容が濃くなっていくのだ。


 とは言え、天音が遊ぶならば1F程度で十分だろう。

 上へ行く必要はない。

 大人しくキャッチャーで無駄に金を使って、しょんぼりと帰るといい。

 あ、俺に期待するなよ? 俺は苦手だからな、キャッチャー!



「へぇ、ゲームセンターってこんな感じなんですね! 結構綺麗でビックリしました!」

「どんなとこだと思ってたんだよ」

「うーん、はんばーぐみたいな頭した不良さんが、タバコ吸いながら遊んでるところ?」

「何年前の知識だそれ……昭和か!」


 しかもなんだハンバーグって。

 誰の頭がサザエさんみてーだって? ってキレる不良でもいんのか、そのゲーセン。

 逆に今だからこそ見てみたいわ。


「今は見ての通り、女の子同士からカップルまでが楽しめる、健全な遊び場だよゲーセンは」

「なるほど、カップル、カップルですか……」

「なんだよチラチラ見て」

「くふふー! 私と先輩も、カップルに見えてるのかなって♡」

「まぁ、いいとこ兄と妹ってとこだな」

「もー! なんでですかー!!」


 いやまぁ、実際は知らないけどさ。

 ただカップル……うーんカップルねぇ。


「何度も言うように、あと5センチ伸ばしてから出直してくれ」

「ふーんだ、それくらい、すぐ伸びますよーだ!」

「おう、期待してるからな」

「まったく……牛乳飲む量、増やさなきゃ……!」


 ぼそっと呟いた天音の言葉が聞こえてしまった……あまりにも涙ぐましい努力である。

 まぁ、そんなことよりも。



「で、天音はどれをしてみたいんだ? ここならだいたいのものはあるぞ」

「そうですねぇ……先輩はいつも、どんなゲームをしてるんですか?」

「俺か? 俺はこのフロアにはないようなのをやってるから……もっと上だな」

「じゃあ、上に行きましょう! 先輩がどんなのやってるか、見てみたいです!」


 おっと、これは予想外な展開だな。

 天音のことだから、プリントシール系のをやりたがると思ったんだが。

「先輩と撮りたいんです!」とか、絶対言うもんだと思ったんだが。


「いいけど、お前がやって面白いもんがあるとは思えないんだけどいいのか?」

「大丈夫です、行きましょう!」

「あっ、おい待て! 手を! 手を握るな!」

「くふふ! よいではないかよいではないか~♪」


 よくねぇよ!


 こうして無理矢理天音に手を引かれ、俺たちは上階へと足を踏み入れたのだった……。

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凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!
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