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(WEB版)凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!  作者: yuki
第二章 : 俺は絶対に絆されない!
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閑話:隣の席から見た二人


 みなさんこんにちわ、私の名前は、宮藤 三月と申します。

 花も恥らう高校2年生ですが、今のところ浮いた話の一つもありません。

 切ないです。


 ……ま、そりゃそうですよね、どちらかというと、わたしはクラスでもあまり目立たない地味なほうですから。


 そんなわたしですが、最近凄いなぁ、羨ましいなぁと思う人がいます。



「せんぱーい! こーんにーちわー! ごはんいきましょ、ごはん!!」


 ……来ました、今日も天音さんは元気いっぱいでにっこにこです。

 笑顔が眩しいです、輝いてます! 直視できません! こ、これが神様に愛された美少女の笑顔……!

 もう、全身から先輩大好き愛してる! というオーラが見えます、なんですかあれは!?

 そして往面くんは、どうしてそのオーラに気付かないで毎回毎回、天音さんに絡みにいけるんですか?

 わけがわかりません、みなさんには見えないんでしょうか?



 さて、そんな天音さんの溢れんばかりの愛情を一身に受ける幸せものな先輩さんはと言いますと。


「どうして、あいつは毎回毎回大騒ぎして入ってくるんだ……?」


 なぜか、私の隣の席で頭を抱えています。

 あれー? あんなに可愛い後輩にあそこまで愛情たっぷりで迫られて、どうしてこんな態度なんでしょう?


「藤代くん、天音さん、来てますよ?」

「来てるねぇ……」

「また、往面くんに話しかけられて不機嫌になってますよ?」

「そうだねぇ……」


 はぁー、と地面に穴が開きそうなほどにふかーーーいため息をつきながら、天音さんのところに歩いていく藤代くんの背中に哀愁が漂います……。

 ほんと、なんであんなに嫌そうなんでしょう?

 藤代くんは藤代くんで、本当に不思議な人です。



 そんな藤代くんですが、先日、プライベートでお会いする機会がありました。

 学園の外で同級生と会うのって、なんだか不思議な感じがしませんか?

 しませんか。



 その日は、いつもの休日。

 ぽかぽか陽気でお天気のいい、とっても気持ちのいい午後でした。


 私はたまに、お友達のうさぎのチョコちゃんと一緒におさんぽ……うさぎ好きの間では、「うさんぽ」って言うんですけどね?

 うさちゃんのおさんぽだからうさんぽなんです、可愛くないですか!?

 ネットなんかで調べると、うさんぽしてるうさちゃんがたくさん出てくるので、是非検索してみてください!


 ……こほん。

 話しがちょっとずれましたね。


 あの日も、いつものようにチョコちゃんを連れてうさんぽに、芝生の広がる近くの公園に来ていました。

 チョコちゃんはちょっとだけビビりな子なんで、いつもハーネスを引っ張るほど遠くに行かないし、私の周りをぱたぱた走るくらいしかしませんので、その日は完全に油断していたんですよね。

 まさか、するっと手からハーネスの紐が抜けた隙に、物凄いスピードで走り去ってしまうなんて!


 もう半泣きです。

 すいません、嘘つきました! もう泣いてました! 大泣きです!

 チョコちゃんがどこかに行っちゃったら、なんて考えただけで本当に涙が出ます。

 うさちゃん専門誌の「月に帰ったうさぎさん」のコーナーをちらっと見ただけで泣いてしまいます。

 出来るだけ見ないようにしてるんですけど、ついつい目に入っちゃうんですよね、あのコーナー……。



 こほん、こほん。

 またまた話がずれてしまいましたね、すいません。


 まぁ、泣きながらチョコちゃんを探している、そんな時でした、藤代くんに会ったのは。

 まさか、走り去ったチョコちゃんと一緒にいるなんて……。


 なんとなく、お隣の席の藤代くんが、逃げたチョコちゃんを保護してくれてるってシチュエーション、ちょっと運命を感じちゃいますよね。

 恋愛漫画とかだと、ここから恋が始まっちゃったりする展開です、ドキドキします!

 すいません嘘つきました、藤代くんは天音さんと一緒にいたので、そんな気も起きませんでした。

 やっぱりデートするような仲なんだ! って思いましたね、ええ。


 ……それにしても、親の心子知らずとは、こういうことを言うんでしょうか?

 背中どころかもうそれお腹ですよね? って所を天音さんになでなでしてもらって、気持ちよさそうにうっとり目を細めるチョコちゃん……わ、私だって、お腹はなかなか撫でさせてもらえないのに!


 これが美少女力の差なんでしょうか?

 悔しいです、羨ましいです。

 それとチョコちゃん、帰ったら色々お話があります。

 覚悟していてくださいね?



 * * *


「藤代くんは……天音さんとデートしてたの?」

「してません」

「デート中でした!」


 あの後、少しの時間、お二人とお話させてもらったんですが……え、デートじゃないんですか?

 休日に男女が二人でお散歩……は、十分デートの範疇だと思うんですけど。

 浮いた話の一つもない、地味な私にはわからない世界があるんでしょうか?


 それに、なんやかんやと言いつつ二人とも、本当に仲がよさそうに見えるんですよね……すっごい、お互いの距離が近いといいますか。

 今もぎゃーぎゃーと言い争い? のようなことをしていますが、正直に言って、イチャついてるようにしか見えません。

 なんて事をいったら、藤代くんは嫌がるんでしょうかね?

 どう思います、チョコちゃん?



 それにしても……。


 一見ケンカをしているように見える二人ですが、藤代くんも本当に怒っているわけじゃなく。

 天音さんも、ぞんざいな扱いをされてるように見えますが、そんな藤代くんにただただ甘えて楽しんでるだけですね、これ。

 うん、やっぱりイチャついてるだけだこれ!

 ああ、甘ったるい! 物凄く甘ったるいですこの二人! 口から砂糖が出て来そうです!

 なんでこれでまだ付き合ってないんですか! 早く付き合うなら付き合えばいいのに!


 とはいったものの、藤代くんがなぜか後ろ向きな態度なんで、仕方ないんですかね?


 うん、でも。

 やっぱり天音さん、羨ましいなぁ……。

 こんなに全部をかけて好きになれる人がいて、そのために積極的になれて。

 結果は……今のところ、まだ伴ってないみたいですけど。


 それでも、天音さんとも藤代くんともまだ1ヶ月ほどの浅いお付き合いしかない私でもわかります。

 最初からとっても可愛かった天音さんが、日々どんどん綺麗になっていくのが!

 これが、いわゆる恋のパワーというものなんでしょうか?


 ……私も、天音さんのように恋をすれば変わるんでしょうか……?


 って、そんなこと言っても詮無いことですよね。

 私は宮藤三月、地味で目立たない女ですから。


 はぁ、天音さんのように、これしかない! って恋がしてみたいです……。



 そして現在。

 相変わらず嬉しそうな顔をして藤代くんのあとを着いていく天音さんは、蕩けるような笑顔を浮かべていて。

 その笑顔、藤代くんがみたら一発で恋に落ちるんじゃないかなぁ? どうなんだろう?

 本当に、不思議な二人です。


 これからも、お隣の席ということで、二人を見守って行きたいと思います。

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