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どっちが好き?

※本編完結後のお話しです

「だいぶ髪伸びましたね、先輩」

「そうか?」


目にかかりそうな前髪をくい、と引っ張りながらそう答えたが……まぁ、確かに。

最後に髪を切ったのは昨年の文化祭の前日、そして今日はもう4月。

じつに半年近くもの間切っていないのだから、当然だ。


そのせいか、気が付けば。


「くふふ、なんか去年の今頃の先輩に戻ってますよ?」

「あー……まぁ、そうだろうなぁ……」

「髪を短くした先輩もいいですけど、その髪の先輩も落ち着きますねぇ……」

「実をいうと、俺もこのくらいの方がなんか落ち着く」


地味に面倒くさいんだよね、短いのも。

長いのは長いので風呂上りに乾かないとか、なんか怪しげとか色々とあるんだけど。

どうするかなぁ、そろそろまた切りに行くか、それともこのまま進むか。


個人的にはどちらでもいいんだが……。


「二菜はどっちがいい?」

「どっちが、とは?」

「いや、去年の文化祭くらいに戻るのか、今のままか」

「うーん、私はどっちの先輩も好きですし、ぶっちゃけどっちでもいいですけどー」

「おい」


んー、とくちびるに指を当てて、二菜が空を見上げる。


「くふふ、私はやっぱり、どっちの先輩も好きなんで、どっちでもいいです!」

「さよか……」

「さよです。まぁ強いて言うなら今の方がいいですね、女の子にあんまり声、掛けられそうにありませんし」

「お前なぁ」

「ふーん、先輩には私の気持ち、わかりませんよーだ」


一体、どの口でモノを言うのか。

そりゃこっちのセリフだと小一時間問い詰めたい、非常に問い詰めたい。

じろりと睨んでやると、肩を竦めて返された。非常にイラっとする!

風に靡く髪を抑える仕草がまた……うん。



「お前もなんだ……今更だけど、なんか髪、伸びたな」


これまでもなんとなく思っていたが、今確信した。

こいつ……髪が伸びて、なんていうか。

うん、美少女度が上がっている気がする……。


「そうですね、1年伸ばしてみたんで……結構伸びたと思います」

「伸ばしてたのかよ、それ」

「間違っても面倒くさいなぁ、って理由で伸ばしてたんじゃありませんからね!?」


切るのが面倒くさいのかと思ってた。

まぁ、なんとなく伸びてるなぁって思ったのは今さっき、風に靡く髪を見た時なんだけど。

去年の今頃の二菜の髪は、確か……肩にかかるかかからないか程度だったはずだが、それが今では肩甲骨の中ほど程度にまで伸びてきていた。

……なんとなく、七菜可さんに似てきた、か?


「くふふー、どうしたんです先輩、じっと私を見て……あっ! もしかして大人っぽくなった二菜ちゃんに気付いちゃいました? 改めて私の事、可愛いなー好きだなーってなっちゃいました!?」

「はいはい、可愛い可愛い」

「全然愛がこもってないんですけどー!? ほらほら! 髪が伸びたら、ちょっと大人っぽい気がしません!?」

「そうだなぁ、もうちょっと落ち着きが出てきたら、もっと大人っぽくなるのになぁ」

「それは暗に、私が子供っぽいって言ってるんですか?」

「ふっ……七菜可さんはまだまだ遠いな、二菜」

「もーっ! なんでですかーっ!」


うん、相変わらず落ち着きがない。

まぁ、こういうところも二菜の可愛いところだとは思うけど?



「ちなみに先輩は去年の長さと今の長さ、どっちが好きですか?」


そう言いながら、ちらちらと二菜がこちらを見てくる。

今の方が可愛いって言って! と目で訴えるの、やめてくれる?


「うーん……まぁ、どっちでもいいよ」

「えぇ……」

「長いのも短いのも、お前はお前だからなぁ」


長かろうが短かろうが、二菜は二菜。

そこに変わりはないし、俺としてはどちらも……なんだ、うん。

まぁ、そういう事だよね。


「つまり……くふふ! それはどっちの私も好きーってことですね、先輩っ!」

「いやそういうことじゃ……ああもう、くっつくな馬鹿!」

「馬鹿でーす、えへへへへへへ」


あ、ダメだこれ……言い方を完全に失敗した。

機嫌よく左腕にしがみつく二菜に対し、思わずため息をこぼすのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] わりと、いつも思っているけど。 よくもまあ、ここまで雑な扱いできるよなあ。 そこだけは先輩を尊敬する。
[良い点] やばい…尊死ぬ… 二人とも可愛いなあ
[一言] 今度一雪君の完全なるデレをお願いします!もう甘甘の糖分過多になるくらいいちゃいちゃで!
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