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(WEB版)凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!  作者: yuki
第四章 : 絆されないはずだったのに!
112/140

初めての…


「はー……息、真っ白です」

「もう年末も近いからねぇ」

「はー……その前にあれがありますよ、あれ」

「あれ? あれってなんだっけ、なんかあったか?」


あれとはなんだろう。

白い息を吐きながら、期待するような視線をチラチラとこちらに向けて来る二菜に、首を傾げて対応してみると、ほっぺたがぷくっと膨らんできた。

わかりやすいやつだ。


「ほら、その顔やめなさい」

「らっれ、へんぱいがわふいんれすぅー!(だって、先輩が悪いんですぅー!)」

「わかってる、わかってるって、クリスマスがあるって言いたいんだろ?」


そう、クリスマスだ。

カレンダーもすでに12月の半ばを越え、年末までもが近づいてきていた。

なんともまあ、1年というのは本当に早いものである。


「そ、そうですそうです! くふふー♡なんですか先輩! わかってるじゃないですかーもー♡」

「なお、今年のクリスマスはサンタクロースの腰痛が悪化した為、中止となりました」

「なんでですかー! ていうかそんなんで中止になりませんよっ!」

「まぁ、それはいいとして」

「よくないんですよねぇ……」


そう、クリスマスだ。

クリスマスといえば、やはりイルミネーションの綺麗なところで出かけたりするもんなんだろう。

だがしかし。

だがしかしっ!


「くふふー! 先輩っ、クリスマスはどこに行きましょうかっ」

「えっ、どこにも行かないけど?」

「えぇっ!?」

「むしろ、なぜクリスマスだからといって出かけねばならんのだ」


そう、あれは去年の事だ。

何をトチ狂ったのか、テレビで見た近所のクリスマスのイルミネーションがとてもきれいに見えて、なんとなく実物が見たくなったのだ。

そこが、この家からも数駅先の中心部で、1時間もあれば余裕で往復できる距離だったのもいけなかった。

時刻は夕方、意気揚々と出かけて……何も考えていなかった自分に怒りを感じ、そして絶望した。


クリスマスなんだから、カップルだらけなのは当たり前だろうと!

イルミネーションを見上げ、楽しそうに語らうカップルたち。

1人、わーキレイだなーと死んだ目で見上げる俺。


「嫌な……事件だったね……」


ふっ、と思わず遠い目をしてしまう俺。

ここまで言えば、俺がなぜ外に出たくないか、二菜にもわかってもらえるだろう。

そう、俺はもう去年のような想いを絶対にしたくないのだ!


「というわけなんだが、わかってもらえたか?」

「つまり、今年は私がいるから問題ないってことがよくわかりました」

「へっ?」

「へっ? じゃないですよ! 今年はこ、恋人の、私がいるんですからっ!」

「……そうだった、忘れてた……!」


なんでだろうね?

自分でもよくわからないけど、そうだよ、今年は俺、1人じゃないじゃん!

つまり、クリスマスのイルミネーションを見に行ったって、「はー、この場に隕石でも落ちてこないかなぁ」とか思わなくてもいいんじゃんっ!


まぁ、それはそうと。


「しかも! し・か・も! 初めてのクリスマス! これはもう盛大なイベントになる気しかしませんよねっ!」

「わかりました、今年のクリスマスは家で祝おうと思います」

「あれっ!? 私がいるから、じゃあクリスマスデート♡になるんじゃないんですかっ!?」

「それはそれ、これはこれかなって」

「もー! なんでですかー!!」


ほっぺたを膨らませて怒る二菜は可愛いが、本当にそれはそれ、これはこれ。

これだけ寒い中、人が多い所に行きたくはない。

二菜には悪いと思う……思うが!


「それよりも、俺は家で二菜の作った料理を食べて、ゆっくり過ごしたいんだ」

「えっ?」

「綺麗なイルミネーションを見るのもいいけど、二菜と2人でゆっくり過ごすクリスマス、ってのもいいと思わないか?」

「も、もうっ! そんなのに私、騙されないんですからっ! ……で、でも、まぁ、私と2人で過ごしたい、ってのは、くふふ、なかなか魅力的な……!」


どうやら、すでに二菜の頭の中はすでにクリスマスへと飛んでいるようだ。

何を想像しているのかは知らないが、にやにやしつつ、時々変な笑いがこぼれているのが怖い。

あれ、もしかして俺、言っちゃいけない事言った?

素直にクリスマスだからって、外に出かけてたほうが安全だった?

いやいや、でもなぁ……。


「先輩っ!」

「お、おう」

「クリスマス、いっぱい美味しい料理作りますから! 楽しみにしててくださいねー!」

「おう……楽しみにしてる……」


胸の前でぐっと拳を握り、やる気満々で見上げる二菜を見て、そこはかとない不安を感じるのだった……。


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凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!
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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です 二菜ちゃんの「なんでですかー!!」がすっごい好きですw
[良い点] 二菜ちゃんチョロ可愛い(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
[良い点] 更新お疲れ様です。 あ、襲われるんだな。(確信)
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