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(WEB版)凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!  作者: yuki
第四章 : 絆されないはずだったのに!
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なんてことはない冬の一コマ

「はー……先輩、こたつってほんとやばいですね……」

「やばいよなぁ……」

「どうしましょう、私もう、こたつから出れないかもしれません、こたつむりの誕生です!」

「俺ももうこたつから出たくない……」

「でも私、みかんが食べたいなぁ、先輩♡」

「俺もみかんが食べたいぞ、後輩」

「「…………」」


あれから。

学校を休む事を決意した俺たちは2人、こたつの中から動けなくなっていた。

テーブルの上に置いていたみかんはすでに2人に食べつくされてしまい、新しいみかんを箱から出さないといけないのだが。

2人ともがこたつから出る事を拒否したため、お互いがお互いをけん制しあい……今に至る。


「先輩は私の事が好きなんですよね? 愛する彼女♡にみかんを取ってください先輩!」

「愛する彼女とかよく言えるなお前……恥ずかしくないの? あと、それはそれ、これはこれだな」

「もー! なんでですかー!」


一応こたつから届かないかと手を伸ばしてみるも、部屋のすみにある箱に手が届くわけもなく。

こういう時は、さっさと箱から出してテーブルに置いておけばよかったと、ちょっとだけ後悔してしまう……みかんって、すぐ箱から出さないとカビちゃうんだよね、確か。

ザルとかに入れて風通しがいいとこに置くのがいいって、婆ちゃんも言ってたもんな。

ああ、それにしても寒い……。



「終業式まであと2週間とちょいか……もう学校行きたくないな」

「行きたくないのはわかりますけど、明日は行かないといけませんよ」

「試験も終わったし、俺だけなら休んでも……」

「はいはい、来年大学受験な先輩は、ちゃんと内申意識しましょうねー」


くそっ、ああ言えばこう言う……!


こたつの中で、二菜の足をていっと攻撃してやると、二菜から手痛い反撃が飛んできた。

くっ、生意気な……って痛い痛い、こいつ本気でやってやがんな!

俺が強く出来ないからって調子に乗りやがって。


だが、膝の上にいた先ほどまでと違い、対面に座っている今の二菜には手が届かないし、かといってこたつから出ていく程の気にもなれない。

自分から手を出しておいてなんだが、ここは二菜のやりたいようにさせてやるか……。


と、思っているのか?


「ああっ! ちょっと先輩! 足、足重いです!!」

「はっはっはっ、俺がやられっぱなしなわけないだろう! お前のひ弱さでは動かせないだろう!」

「ぐぬぬ……!」


こちらから手が届かない、ということはあちらからも手は届かないと言うわけで。

届かない手を伸ばし、ぺしぺしとテーブルを叩く二菜の姿が哀愁を誘う。

ぷくっ、とほっぺたを膨らませてこちらを睨む二菜を見ながら。


「ほら、そんな顔すんなって、笑顔笑顔」

「ふーんだ、みかん、取ってくれないとやです」

「へーへー、てかそろそろ昼だけどどうする?」

「あ、それはお弁当があるので……お弁当入ってるカバンに手が届かない!」

「横着すんな……ついでに取ってやるから」

「えへへー、なんやかんや言いつつ優しくしてくれる先輩、私すきー」

「はいはい」


ほいっ、と二菜にみかんを放り投げてやると、二菜の顔が笑み崩れる。

ほんと、変な風にバカだけど可愛いやつだなぁ……と。

そんな風に思った、冬の昼過ぎの出来ごとだった。

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凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!
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― 新着の感想 ―
[一言] 溜まってた分をまとめて読んだけど、相変わらずな二人に癒されてほっこりです。 ………結婚後の生活も見たいなぁ(/ω・\)チラッ 新作の方も見てみますね、更新お疲れ様です! あと、今日も面白…
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