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(WEB版)凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!  作者: yuki
第四章 : 絆されないはずだったのに!
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温泉に行こう! その5

「というわけで……すいません、今晩、二菜と泊まりになりました」

『あらあらご丁寧に、一雪くんと二菜なら、別に報告なんて必要ないのよ?』

「いえ、やはり大事な娘さんをお預かりするので……」


 俺は二菜がお風呂に入っている間に旅館の中を歩き回り、なんとか携帯の電波を確保、七菜可さんへと、今日のことを報告していた。

 しかしさすが二菜の母親、特に報告は不要ってどういうことだよ! 男と二人で泊まりなんだから、ちょっとは心配しようよ!

 あと、後ろから健全なお付き合い云々という叫びが聞こえてくる。

 怖い。


『後ろの人のことは気にしなくていいから、ゆっくり楽しんで来てね?』

「あ、はい、ありがとうございます」

『あ、あとこれは一雪くんにお願いなんだけど……』

「? なんでしょう?」


 七菜可さんが俺にお願い?

 なんだろう、全く見当がつかない。


『初めてのお泊りでハメを外すのは仕方ないけれど、出来れば二菜が高校卒業まで子供は』

「しないからな!? うちの親といいそんなんばっかか!!」


 ほんっともうやだこの親ども!

 どうしてそういう方向に話を持っていこうとするかな!?


 そう思っていると、電話の向こうからくすくすと笑い声が聞こえて来た。

 どうやら、七菜可さんにからかわれていたようだ。

 うわ……それなのに本気で怒って……は、恥ずかしい……!


『うふふ、大丈夫よ? 一雪くんなら責任の取れないことはしない、って信用してますから』

「……俺も年頃の男子高校生ですよ? そんな簡単に信用してもいいんですか?」

『ええ、もし一雪くんがその気なら、とっくに二菜は傷物になってるだろうし』


 言われてみればそうである。

 毎日男子高校生の家に通って未だ綺麗な体のままってのは、信じがたいものがあるな……あれ、俺って物凄い鋼の精神を持っているのでは?

 これも全て、座禅を組んだ修行の成果か、さすがパねぇな般若心経。


『二菜を大事にしてくれてありがとう、これからもあの子をよろしくお願いしますね?』

「いえ、こちらこそ世話になってますので……はい、それでは」



 はー、緊張した……。

 七菜可さんと話してると、妙に気恥ずかしくなるんだよなぁ。

 将来の二菜を見てる気がするからだろうか?

 二菜相手にはこんなに緊張したことないのに。


「あーダメだ、こんな状態じゃ、二菜の前に顔出せないなぁ……」

「……へぇ、今、どんな顔してるんですか?」

「いやー、ほんと七菜可さんと話してると緊張して、顔に熱が……って二菜!?」

「はーい、先輩の愛しの♡彼女の二菜ちゃんですよー?」


 ……うわぁ、言ってることはいつも通りちゃかすような内容なのにすげー怒ってるのがわかるわ。

 だって笑顔が怖いもん、これ、いつもの能天気な二菜の笑顔じゃないもん。

 二菜の後ろに鬼のオーラが見えるようだ……!


「今の電話、お母さんですか?」

「うん、まぁ……今日、泊まりになるからーって一応、説明をですね……」

「ふーんふーん、で、お母さんとお話して、先輩は嬉しくてデレデレしちゃってたんだー、ふーん」

「いやいや、デレデレとかしてないし?」

「でも、先輩ちょっと嬉しそうな顔してましたし!」


 じとーっとした目で見られても……その……困るんですよ!

 デレデレなんてしてませんよ、マジでしてませんよ。


「ていうか、自分の母親相手に嫉妬すんのやめようよ……」

「だってー……先輩、私のお母さん好きすぎるんですもん! 他の女の子と話してるときと、顔つきが違うんですもん!」

「いやー、なんだろうね? ほんと成長した二菜、って感じで、七菜可さんと話してるとドキドキするんだよなぁ」


 あの落ち着いた話しかたとか、ほんとにヤバイ。

 二菜にもあの落ち着きがあったら、恐らく俺はもっと早くこいつに陥落していたと思う。

 あと身長。

 あと身長。

 大事なことなので、二回言いました。


「先輩のおばかー! お母さんじゃなくて私でドキドキしてくださいよぉ!!」

「二菜があと5センチ身長が伸びたら、俺も七菜可さんと同じくらい、二菜にドキドキするんじゃない?」

「もー! なんでですかー!!」


 ほっぺたを膨らませて怒る二菜には、やはり落ち着きが足りないと言わざるをえない。

 どうして親子で、ここまで性格がかけ離れてしまうのか……!

 やはり二菜は、性格的に父親の血が強いのだろうか?

 将来的に落ち着いてくれるといいなぁ……。


 いやまぁ、今も今で可愛いんだけどさ。

 そう思いながら、膨らんだ二菜のほっぺたを両手で潰してやる。

 あー、柔らかい。


「ひゃめへくらひゃい! ほっぺふぁむぎゅってしらいれくらひゃい!!」

「お前がほっぺた膨らませると、ついついやりたくなるんだ、許してくれ」

「ふぉー! らんれれすふぁー!!」


 あー、可愛い。

 七菜可さんとは見た目しか似てないけど! 中身は全然違うけど!

 でも、俺はやっぱり二菜が好きだなぁ。

 なんか、可愛げがあるっていうか……小動物を見守る感情に近いのかもしれない。

 俺が守ってやらなきゃなーと思っちゃうんだよなー。


「ほら、バカな事言ってないでメシ行こうぜ、腹減ったよ」

「むーっ! 私、絶対! お母さんには負けませんからねっ!!」

「いや、張り合う相手間違ってるだろそれ」

「私の一番のライバルはお母さんですから……!」

「嫌な母娘だな……」


 そんな心配しなくても、俺の一番は、これからもお前だよ。

 なーんてことは、恥ずかしいから絶対言わないんだけどな。


「目指せ身長155センチ……!」

「届くといいな」

「ふんだ! 見ててくださいよ、余裕なんですから!!」

「と言いつつ、中学生時代からほとんど変わっていない二菜なのであった……」

「の、伸びてますし! 今、絶賛成長期ですし160センチくらい余裕ですし!」

「いやぁそれは……」


 絶対に無理な気がするなぁ……。


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凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!
『凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!』
GA文庫様より、4月刊行予定です。amazonにて予約も開始しております!
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― 新着の感想 ―
[気になる点] 小説の表紙のイラスト拝見しました、ヒロインの髪型おかしくないですかね。ほどいたら髪型がたがたやん。
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