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攻城戦 5


「いきます!」


開幕と同時にミルが火属性が付与された矢を敵の魔物達に向けて放つ。


「な、なに!?」


その矢は放物線など描かずに一直線に飛んで行きちょうど敵の魔物がいる所で爆発し、銀狼とオーガを合わせて約30体ほど倒す。


本来弓は200メートルも離れていては敵に当てるのは困難を極める。


並みの冒険者ではまず出来ないだろう。弓は本来魔法を使えない者が少し離れた所から支援として使用する武器なのだから。


それをミルは一キロ離れた所から爆発するのも計算して放ったのだ。ミルが千里眼や弓術、武神の加護を持ってるから出来る芸当なのである。


だがミルも最初の方は30メートル先の獲物さえ当てる事が危なかったのだからたった1ヶ月でここまで出来る様になったのはミル本人の努力の故だろう。


もともとミルは王女であって冒険者ではなかったのだ。慣れない環境の中、ここまで仕上げられたのはやはり愛する者の為でもある。


「ナイス、ミル。じゃあこのまま魔物を連れて私達は勇者の城を落としてくる。さっきも言ったけどエリス達はこの城の防衛よろしく」


「畏まりました。頑張って来て下さいね」


「もちろん!ミル、アウラ、サクラ行くよ!」


「ええ、頑張りましょう」


そうして、ミル達は勇者の城へと進軍を始めるのだった。




この一部始終を見ていた国王バルバトス達は誰1人として話をする者がいなかった。


その原因とは…


「い、今のミルだよな?ミルが弓で一キロ先の魔物を射っただと…おい、あれは普通なのか?」


バルバトスは珍しく狼狽する。まぁ、それも無理はないだろう。ついこの前迄は力とは無縁の生活をしていたのだ。


今回、ミルも異界に行ったがあれは楓達を応援する為であって戦う為ではないと思っていた。


なのでバルバトスも安心してさっき迄見ていたのだがミルが先制で放った弓矢を見て固まってしまった。


「いえ、並みの者でもあの10分の1の距離が精々かと、確実にミルテイラ様の地力が上がっています。更にあの弓です。あの武器は正直言っておかしい。私の持つ武器に匹敵します」


そう、バルバトスに進言したのはこの王国の最大戦力である騎士団長であるルーナ・カリウスであった。


「なるほど、カエデが言っていたミルを強くするというのは嘘ではなかったわけだ」


バルバトスはしばらく黙り込む。何やら色々と考えているのだろう。


「ルーナ、ミルをあれ程にするのにどれ位の時間が必要だ?」


「私が一日中ミルテイラ様に付きっきりでも3年以上はかかります。それと私でも一キロ離れた所に矢を届かせるのは至難の技です。私ではそれをミルテイラ様に教えるのは不可能です」


「ふむ、そういえばルーナはあまり弓が得意ではなかったな…そうか、ありがとう」


ルーナの部隊はみなルーナが直々に指導している為他の隊よりも数段上の力を持つ。


そんな、ルーナでもあそこ迄ミルを育て上げるのは不可能と言っているのだ。やはり、楓の存在が大きいのだろう。


「これが終わったらカエデには一仕事頼むとするか…」


バルバトスはイタズラをする時の笑みを浮かべながら1人でそう呟くのであった。




「とりゃ!」


日向は今赤く燃える魔法の剣と透き通った青色の魔法の剣を両手に持ち相手の魔物を屠り続ける。


と、いうか敵味方関係なく目に入った魔物を刈り尽くしていた。


ミルは少し離れたところで弓を放ち、アウラとサクラは剣とナックルを装備して日向と一緒に魔物を狩っている。


「ヒナタ、貴方達自分の召喚した魔物迄狩って何してるのよ…」


「だって、こんだけ乱戦だったらどっちが味方か分からないもん。勇者達は早々に城に立て籠もっちゃうし…」


「そうですねー、正直私達も見分けがつきません」


今、この場には日向が召喚した銀狼500匹と勇者達が召喚したオーガ250体銀狼が250匹の計500匹がお互いの召喚者の命令に従い相手の魔物を殺していく。


残りの100体と地龍1匹はまだ城の前にいる。護衛のつもりなのだろう。


「そんな事よりヒナタ、貴方なぜ近接戦鬪なの?」


「いやー久しぶりに体を動かしたくてねー後衛ばっかりだと飽きちゃうじゃん」


「分からないわ…」


この異界でやられれば死にはしないがそれなりの痛みと気絶が待っている。


だが四人は全く臆する事なく、軽くおしゃべりも混ぜて魔物達を屠っていく。


日向に召喚された魔物が言葉を発せたのなら自分が戦うのなら召喚するな!と言っていただろう。


その位四人は容赦なく敵味方関係なく狩っていた。

日向は赤と青の魔法で作り出した剣で、アウラは斬れ味が良いと思われる様な剣で、サクラは凶悪なナックルで、そしてミルは目にも止まらぬ速さで様々な属性を付与した弓矢で、この戦場に華を生み出すのであった。




「さーて、今頃楓達は俺達が召喚した魔物達にフルボッコにされているんだろうな」


「だね、私達が直接手をかける必要も無いって事を思い知ればいいわ」


「完全な舐めプだな」


その一言で勇者達からは笑いが起こる。勇者達は魔物を解き放った時点で勝ちを確信していたのですでに勇者達は警戒心を解き祝杯ムードになっていた。


外で凄い事になっているとは知らずに…


「いやー、佐助の作戦やっぱすげーわ。俺達が戦わずに勝つ所を見せて実力の差を見せつけようだなんて」


「だよな、完全に楠木の心を折りに行ってる」


奇しくも勇者達は楓がとった行動と同じ事をしていた。


ただ、一つ言っておくと、この煽りが使えるのは相手が自分にとって取るに足らない相手だった場合だ。


その点楓は勇者達の戦力をしっかりと下調べしている為大丈夫だが勇者達は違う。楓はしょうがないにしても日向を警戒しておくべきだった。


日向は楓と違って出て行く時にもある程度実力が認められていた為自分達より強くてもなんら不思議ではないのだ。


情報戦においても勇者達は楓一人に勝てていないのであった。


「あいつ、ボコボコにされた挙句自分のお嫁さんを取られるなんて、どんな気持ちだろうな」


勇者達はそれに全く気付かずにただ、楓が負けた後どんな顔をするのかを想像し、笑いあっているのであった。

面白かったらブクマ、評価等よろしくおねがいします!




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