とりあえず冒険者になりたい! 4
部屋の中に2人して入るとそこにはベッドが2つあった。よかった…ここでお約束展開としてベッド一つで肩をくっつけながら〜とか言われたら俺の理性がやばかったしな。
お互いにベッドの上に座りこれからの事について再確認する。
「今、お金いくら持ってるの?」
「2800ルリ…」
「じゃあ明日はクエストを受けに行こうよ!午前中で終わる仕事をして、午後からどうする?」
「そうだな、一度2人で模擬戦をするのもいいかもしれない。前みたいに襲われた時に日向1人でも対処できるようになっておいた方がいいからな」
「そうだね。でも人を傷つけるのってなんか嫌だな…」
そりゃそうだ。現役高校2年生の女の子にやらせることじゃない。でも、さっきのことを考えると対策しておくのとしておかないのとでは雲泥の差だ。
「無理にとは言わないができるに越したことはないから俺はやっておいた方がいいと思う」
「そうだね。じゃ、明日はそうしよっか。おばちゃんに明日のお昼のお弁当作ってもらお!」
「おう」
よし、これで明日の予定は決まったな。冒険者ギルドで話してたのもあるが、やっぱり2人きりのところでしっかり話しておきたかった。
〜食堂〜
そんなこんなで晩御飯。この世界に来てから初めてのご飯なので何気に楽しみだったりするのである。
「結構繁盛してる店なんだな」
意外と人がいた。みんな楽しそうに酒を飲んだり、飯を食ったりである。
「あそこに座るか」
ちょうど2人席が空いていたのでそこに座る。
しばらくして2人分のご飯が出てきた。
「はいよ!今日は狼の肉のステーキだよ!」
出てきたのはしっかりと焼かれていてガッツリとした肉と付け合わせの野菜、あとは何かのスープ?だ。意外と美味そうだな。
「さて、食べるか」
「「いただきます!」」
とりあえず狼の肉を一口。うまっ!日本にいた時に食べてた肉よりも、弾力があり、油もしっかりのってる。噛めば噛むほど狼の肉の本来の旨味が溢れ出てくる。
「この肉滅茶苦茶うまいな…」
「異世界っていうからもっとひどいご飯が出てくるかと思ったけど普通に美味しいね」
まぁ俺らの場合今日一日体を動かした割に食べ物を何も口にしてなかったからな。それが輪をかけているのだろう。
そんなこんなで美味しいご飯に満足して部屋に戻る。
「そういえばここお風呂なかったよね?どうしよう…」
そうなのである。この宿、と言うか基本的に風呂らしきものをこの辺で見ていない。
『マスターなら生活魔法の浄化魔法で代用可能ですよ?』
え、そんなのあるの?いや、だって俺自身まだどのくらいのことができるのか知らないし…
『マスターならできないことの方が少ないですよ…』
それもそうか。じゃあその魔法を試してみよう。
「俺、多分生活魔法の浄化魔法を使えるからそれを試してみよう。多分汚れや臭いは落ちると思うよ」
「本当に?じゃあ、よろしくおねがいします!」
「了解!」
さて、まず魔法をどうやって使うかが分からねーんだよな…
『魔法なら、体の中にある魔力を外に流す感じで魔法名を唱えれば発動可能です。マスターの場合無詠唱スキルがついているので必要ありませんが、最初のうちは練習も兼ねて魔法名を唱えて発動してみるといいと思います』
体の中の魔力を感じ取る。おぉ大体わかるぞ。これを外に流す感じで魔法名を唱えるっと…
「浄化魔法」
「うわ!?すごいねこれ!スッキリしたよ!ありがとう!」
「いえいえ、でも風呂には入れるようになりたいな。日本人的に…」
「そうだね。そのうち入れたらいいなぁ」
「まぁ、しばらくはこの魔法にお世話になりそうだけどな」
「そうなるね。よろしくね!楓くん」
「おう」
「さて、綺麗になったし明日に備えてそろそろ寝るか」
「そうだね。そうだ、寝込みを襲わないでね?」
「わかってるよ!!!!」
ソンナコトスルワケナイダロ。さて、明日は早いしもう寝るか。これからどうなることやら…
最終的に日本へ帰れたらいいけどな…これが夢であってほしいと願う自分と、地味にこれからのことにワクワクしている自分がいることに俺はモヤモヤしているのであった。