とりあえず冒険者になりたい! 3
先にステータス元に戻しといてくれ、ナビちゃん。
だいたい日向のステータスと同じくらいで前衛、後衛のどちらもいけるオールマイティー型で頼む。
『わかりました。ステータス変更』
ーステータスーーーーーーーーーーーーーーーー
楠木 楓 Lv3
種族 ???
体力 80 / ∞
筋力 70 / ∞
敏速 105 / ∞
知力 50 / ∞
魔力 50 / ∞
幸運 50 / ∞
超スペシャルスキル
全知全能 レベル ∞
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おぉ、やっぱりステータスの力にあった動きしかできないみたいだな。
これなら常に全力で戦えるな。やっぱりステータス∞って面白みがなくなるからな。
本当にやばくなったらステータスを上げていこう。
その時はナビちゃんよろしく。
『もちろんです。ちなみにいくらステータスオール∞だからと言ってもステータスを下げた後に0になったら死ぬので気をつけてください』
まぁそーなるだろうな。これからは気をつけていこう。
「ここが冒険者ギルドだな」
「そーだね! なんか本で読んだことあるけど本当にイメージ通りだね」
「まんまイメージ通りで面白いな」
中は思ったより汚くなかった。ちょっと薄暗い感じがしないでもないが、まぁ気になるほどではない。
あと、酒を飲んでるゴロツキみたいなのがうじゃうじゃいるのかと思っていたがそうでもなかった。まぁいることにはいるのだが……
「受付はどk……」
受付を見つけてカウンターに行こうと思ったとき視界に入った受付嬢の姿をみて体中に電撃が走ったような感覚になった。
その理由は……
エルフなのだ! しかも超絶美人系の!
さすが冒険者ギルドの受付嬢。ここはラノベ的展開を逃さなかった。
「楓くん? どうしたの? まさか受付のあの人に一目惚れしたとかじゃないよね? ね?」
なんか日向の声のトーンが落ちてる気がする……
まずい! ここは悟られないようにしないと、あとで地獄を見そうな感じである。
「は、は、? ソンナワケナイヨ?」
「見とれてんじゃん!」
ごめんなさい。でもエルフだよ? ラノベの定番だよ? しかも超絶美人系だよ? ここは感動するところだろ。まぁそんなこと言うと横から魔法撃たれそうな感じがしたので自重しておいたが……
今のステータスだと俺も危うい。だがしばらくはチートに頼りすぎるのも後々怖いからとりあえず今は自分のプレイヤースキルを磨いていくとしよう。
「そ、それより早くいくぞ」
「もう! 誤魔化しても無駄だからね!」
「こんにちは。初めて見る方達ですね。新しく登録されますか?」
「はい。お願いしてもいいですか?」
「かしこまりました。それではこのボードに必要事項をお書きください」
そうやって渡されたボードには名前となりたい職業くらいしか書くところがなかった。冒険者って意外と訳ありの人たちばっかりなのかな?
まぁいいや。とりあえず前衛職とでも書いておくか。
「ありがとうございます。カエデ様ですね。前衛職でしたら剣士になりますね。えっとそちらのヒナタ様は魔法使いでよろしいでしょうか?」
「「はい」」
「かしこまりました。それではこれからギルドカードができるまでの間に冒険者ギルドでのルールをお話しさせていただきますね」
話を要約するとこんな感じだった。
・基本的に冒険者同士の争いごとには不介入。ただしギルドに不利益が出る場合はその限りではない。
・クエスト失敗した場合は違約料が発生する。
・ギルドカードは紛失した場合は再発行可能。ただしお金がかかる。
・半年間クエストを受けないと冒険者の資格を剥奪。しかし、高ランクになると特にそういった剥奪はない。主にAランクから。
・クエストは適正ランクがありそのランク帯のものを受けること。
ちなみに冒険者ランクは
S→A→B→C→D→E→Fとなり目安としては
人外→超ベテラン→ベテラン→上級者→中級者→初心者→見習い
となる。ちなみに俺たちは一番最後のFからスタートとなる。
「ギルドカードができましたのでそこにご自身の血を流してください。それで完了です」
言われた通り、針で指先を刺して血を垂らす。
「これで、冒険者登録完了です。それでは頑張ってくださいね」
「ありがとうございます。ちなみにここで買取りをしていただけますか?狼を数匹狩ってきたのですが…」
「可能です。でもどこに?」
「ここです」
ストレージからとりあえず狼を六匹出す。
「アイテムボックスですか。すごいですね。量はそんなに入らないですが便利ですよね。羨ましいです」
ん?アイテムボックス?なんだそれ?しかもこの中無限に入るものなんだけど…
『マスターのストレージはアイテムボックスの最上位のスキルです。この世界で使えるものは過去、現在共にいません』
なるほど。またチートかい。さすがだな、俺。
『…』
「あと四匹入ってるのでそれもお願いします」
「かしこまりました。すごい量が入るんですね。これなら商人とかの方が活躍できますよ」
まぁ、確かにそれもありだろうけどせっかくなので冒険者をやってみたい。
「それではしばらくそちらの机でお待ちください」
「それではそうさせていただきます」
2人で机に座りしばらく雑談に花を咲かせる。
「結構あっさりと終わったね」
「そーだな。もっと色々と聞かれると思ってた」
「そーいえばこの世界のお金ってどーなっているのかな?」
『この世界のお金の単位はルリとなっています。銅貨一枚で10ルリ、大銅貨一枚100ルリ、銀貨一枚1000ルリ、大銀貨一枚1万ルリ、金貨一枚10万ルリ、基本的にこれが市場に回っているお金です。この上となるとそうそう目にすることはありません』
ほうほう、なるほど。ここら辺は予想通りだな。
「さっき見てた感じだとここは銅貨とか銀貨とかを使うんだろう。銅貨や銀貨などの価値は後々調べていこう」
「そーだね」
「それでこれからのことなんだけど少し予定を立ててみたから聞いてもらえるか?」
「予定?」
「そう、まずこれからお金が手に入ったら宿に行こう。今日はもう日も暮れてきたからそれで終わりだな。明日からなんだけど…」
とりあえずこれからの予定はこうだ
・日向のレベルを上げる&俺自身のステータスの把握。
・身の回りの物を揃える。
・一度2人でどこまで戦えるのか実践してみる。
・クエストをこなしてお金を稼ぎつつ冒険者ランクも上げる。
・街の外に行くための情報集め。
となる。ちなみに俺のステータスは一人で確認したいから適当に休みの日でも作ろうかな。
「という感じでいきたいんだがどうだ?」
「うん!いいと思うよ!でも楓くんのステータスとかスキルとかの確認はいいの?」
「そこは、悪いが1人でやらせてくれ。まだ俺自身よくわからないからとりあえず1人で確認したいんだ。日向にはそのうちちゃんと話すから今は我慢してくれるとありがたい」
「そっか、少し残念だけどしょうがないね。まあそのうちでいいから教えてね。でも私のステータスは楓くんも見てね!やっぱりリーダーには私の力を確認しておいてほしいからさ!」
「わかった。そこらへんは宿で落ち着いてからもう一度話そう」
なんとかうまく話がまとまったな。よかった、よかった。
「おまたせいたしました。査定が終わりましたのでこちらへどうぞ」
査定が終わったみたいだ。さていくらになってるかな。
「こちら狼10匹で合計で7800ルリになります」
ということは一匹あたり780ルリか、安いのか高いのかわからないな。
「ありがとうございます」
「いえ、またきてくださいね」
さて、お金も受け取れたし、宿に行くかな。
「んじゃ、宿に行くか」
「うん!」
ナビちゃん、ここら辺に宿屋ってある?
『あります。マスターの頭の中にマップを展開します』
うお!これはすごいな…
「それで楓くん、宿の場所わかるの?」
「大体だけどな、あと少しで着くはずだ」
「あそこじゃない?」
そこだな。外見は普通の家の一回りと少し大きいくらいだな。まぁ宿屋っていう感じだ。看板もついてるし。そういえばさっきから気になってたんだけど、この世界って絶対に日本語じゃないよな?なんで文字がわかるんだろう?
『マスターの場合、全知全能のスキルで、他の召喚者たちはあの魔法陣にオプションで組み込まれていたと思われます』
あーやっぱり異世界から召喚して話し通じなかったら意味ないもんな。さて、中にはいるか。
「あの、2人泊まりたいんですけど部屋は空いてますか?」
「ん?新しいお客さんかい。ようこそ宿屋ストリカへ。この宿は綺麗な部屋と美味しいご飯が売りだよ!どうぞ泊まっていきな!」
恰幅のいいおばちゃんが出てきた。なかなか気も強そうな人だ。
「とりあえず一泊お願いします。部屋は2つでお願いします」
「悪いけど空いている部屋が一つしかないんだよ。そこに2人じゃダメなのかい?」
「いや、さすがに年頃の男女で同じ部屋はないだr」
「わ、私はいいですよ!!!むしろ嬉しいかな…」
え、まじで?いや日向ってめっちゃ可愛いから俺はいいんだけど俺の理性の方がもたない可能性が…
でも一部屋しかないんだったらしょうがないよな。日向も嫌がってなかったし。最後、なに言ってるか聞こえなかったけどまぁ大丈夫だろ。
決して男女同じ部屋で過ごしたいわけじゃない。
ほんとだよ?
「そ、そっか。日向がいいんだったらそれでお願いします」
「はいよ!2人一部屋で朝昼晩の食事付きで5000ルリだよ」
1人2500ルリかまぁそのくらいだろうけど今日の稼ぎの3分の2を持ってかれるのは結構でかいな。
まぁしょうがないな。銀貨5枚をおばちゃんに渡す。
「たしかに受け取った。とりあえず一泊だね。もし延長したい場合は私に言ってくれよ。部屋は二階の一番端だよ。鍵はこれ」
「ありがとうございます。ご飯はいつ頃出来ますか?」
「晩御飯は6の鐘がなった時から9の鐘がなるまでだよ」
「わかりました。では少し部屋で休んできます」
「はいよ」
はぁ、緊張するなぁ。