ランクアップ試験 2
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「よし、今日はここで野営をする」
そこはオークが出てくる森の入り口から少し離れた場所だった。まぁ、出てくるのはオークだけでは無いが。
ここに着いた時にはすでに日が沈んで来ていたのでまぁ分からなくは無いのだが別に楓達は夜戦も出来るので出来れば夜のうちにオークを80匹以上狩っておきたかったのだが野営も審査の内の一つと言う事で素直に野営の準備をする。
「な!アイテムバッグ持ちか!?」
日向達がアイテムバッグからテントを出す動作を見ていた冒険者がそんな事を叫ぶ。
そのおかげで他の冒険者にもアイテムバッグの存在を知られてしまった。
「な、だからお前らは荷物が少なかったのか!ずるいやつらめ」
なんか恨めしそうにこちらを見ている。流石に試験官とBランク冒険者は羨ましいなぁ位の目しかしてなかったが他の冒険者はそうでは無かった。
「おい、お前らはまだ若いよな?俺達は苦労してここまで上り詰めた。その祝いとしてそのアイテムバッグをプレゼントしてくれても良いんだぜ?」
とか言いながら一人のゴツいおっさんが声をかけて来た。
ちょっと意味が分からないんだが、なんだ?祝いって。Dランク如きで上り詰めたって…
楓達は無視してそのまま作業を進める。楓はストレージのスキルがあるが流石にそれがバレると面倒臭い事になりかねないのでテントはアルの所に余分に入れておいてもらった。
「おい!何無視してるんだよ!」
ずっと無視をしていたらキレられた。面倒臭い。試験官も何も手を出してこないし…止めてくれよ。
「嫌だよ。なんでアイテムバッグを渡さないといけないんだよ。自分で稼いで買え」
楓は面倒臭かったのでぶっきらぼうに告げるがそれが悪かった。
「んだとコラ!」
相手が逆上して、剣に手をかけた。が…
「流石にそれは良く無いよ。僕達のリーダーに手を出すと君が死ぬよ?」
アルが横から出て来て鎌をその冒険者の首に当てる。なんか格好良いな。王様を守る側近みたいだ。まぁ、実際あまり変わらないかもしれないけど。
「あ、あぁ。分かったすまない」
流石に命の危険を感じたのかおっさん冒険者は自分の野営の準備に戻った。
「サンキュー」
「うん」
楓達はその後何事も無かったかの様に野営の準備を始める。だが、その一連の結末を見ていたBランク冒険者達は息を飲んだ。
あれは自分達では絶対に敵わない、と。今回は明日起こる試験に何かあった時の為に試験の護衛を買って出たがまさかこんな化け物と出会うとは思ってもいなかった。
「よーし、出来上がるぞー」
楓は日向達を呼んで夕食を食べようとしていた。なんとバーベキューで。普通、旅をするのに料理道具など邪魔者以外の何者でもないので持ち運びはしないし日持ちのするパンや干し肉などを携帯しているが楓のストレージは容量無限かつ、時間経過をしないのでこうして、野営の時でも暖かい食事にありつけるのだ。
他の冒険者達は楓達四人を羨む様に見ていたが楓達も他の冒険者と一緒に食事などとりたくなかったのでそのまま無視して自分達の空間を楽しんでいた。
野営の時間はアルと楓が見張りをする。女の子にはゆっくり寝かしてあげたい。まぁ、楓達も形だけの見張りなのでそこまで負担が大きいわけではない。楓もアルも別に睡眠を1日や2日取らなくても倒れる程ヤワではない。
「カエデは今回のランクアップ試験、どう思う?」
二人共ぼーっとしているのも暇なので適当に火を起こしつつ男子トーク(殺伐)を始める。
「そうだな、まずCランクアップ試験とはここで、中級と上級者で分けるだけあって普通なら難しい試験なのだろう、でも今回の試験の内容的にはそこまで難度が高いわけじゃない」
「ということは…」
「あぁ、少しランクアップ試験について調べていたが普通ランクアップ試験に上のランクの冒険者の付き添いなんて無いみたいなんだ」
「やっぱり少し気を付けておいた方が良さそうだね」
「まぁな、でもあまり気を張り過ぎる事もないと思うぞ。まずあの程度の奴らでなんとかなるならアル一人でも十分過ぎるだろ」
「当たり前だよ。流石に僕を舐めないでね。一応このクランのトップ2なんだから」
そういうアルはどこか自慢げというか嬉しそうだった。アル自身仲間に飢えていたのはあった。伝説龍故に同じ力で渡り合える者がいなかったのだ。だが、今は自分では逆立ちしても勝てない様な相手が目の前にいる。
それも絶対的に。悔しくないと言えば嘘になるがそれ以上に楓に好感が持てた。今迄アルが見てきた力のある奴は絶対に傲慢になり、その力を振るい周りに迷惑をかける。だが、楓は仲間が害される様な事があれば別だが基本的には穏やかな性格をしている。少しツンデレだが、基本仲間には優しい。
「そうだな、これからもよろしくな。ナンバー2さん」
「カエデもナンバー1の座を奪われない様に気を付けるんだね」
楓の挑発にアルものる。まぁ、楓を超えるというのはまず不可能なのだがやはりここは伝説龍としての矜持がやられっぱなしというのが我慢出来なかったのである。
「あぁ、お前達のリーダーとして頑張っていくよ」
楓は少し恥ずかしそうにアルに向かってそう言うのであった。そもそも、楓はリーダーとかそういう役割があまり好きではなかったが、この仲間のリーダーならやってもいいかなと思える様になってきた。
クラン『無限の伝説』は人数こそ少ないものの皆チームワークがしっかりと取れていて、楓は日向とミルと婚約、いずれ結婚するのだがアルはそれを心から祝福して楓のサポートをこっそりとしている位なので全くクラン内でのいざこざがない。
「本当に、勿体ない位いい奴らが俺のクランや嫁として来てくれたもんだな」
「それは、カエデがそういう人間だからだよ。類は友を呼ぶって言う僕の故郷に伝わる格言があるんだよ」
「あ、その格言俺が元いた世界にもあったぞ。ことわざとしてだけどな」
「コトワザ?へー。カエデの世界にも同じ格言があったのか。面白いな!」
だが、丸々同じことわざが伝わっているのはすごいマグレだな。いや、それだけそう言った格言やことわざが産まれてくる程そう言う事が起こっていたと言う事か。
「おや、そろそろ日が出てくるね」
「あ、本当だ」
男二人はお互いの顔を見あって屈託のない笑みを浮かべるとそのまま日の出を眺めているのであった。




