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貴族の野望 5


「まさか…!」


チェカーは驚いていた。楓のクランハウスを見張りに行くと人がいなかったので、もしかするとと思い冒険者ギルドへと足を運ぶと、すでに依頼を受けて平原に向かったと言うのだ。


まさか、あの様な顔合わせだけで私達が引き下がると!本気でそう思っているのか!?


まさかチェカーも愛しい妻の願いの為に依頼を受けに来たとは思うまい。


これは…チャンスですね。


「シルクさん、今すぐに追いかけましょう。街中でやるよりも足がつきにくいですし何より平原なら囲んで袋叩きに出来ます」


「よし、わかった!」


そう言ってチェカーとシルク。私兵500人をバレない様に順々に街から出させていき、楓達に追いつく為に駆け足で楓たちの元へと向かって行く。


「ふふ、運が私達に向いてきた様ですね」


「そうだな。絶対にミル王女は俺のものに…」


二人共興奮の為か武者震いをしていくのだった。




「着いたか」


「凄いいっぱいいるね…」


「こ、これを私達が!」


「まぁ、すぐだろうけどねー」


目の前にいたのはゴブリンとオークの群れだった。合計50匹位だった。


楓と日向は迷宮でその倍の数のドラゴンを相手にしていたので日向は全く臆していなかった。


アルも余裕をかましていた。問題はミルだ。楓と会った時もゴブリンの群れに襲われていたり、まず王室育ちのお嬢様なのだ。ゴブリンとオークの集団などまず見ない。


「と言う事でミル。弓矢をドーン」


「わかり…って、え!?」


楓のなんでもない一言に最初は同意しそうになったが流石にとどまる。


「わ、私が最初に弓を射るのですか?」


「大丈夫だ、ミルもしっかりと訓練を受けていたしその弓も俺の作った逸品だ」


「わ、わかりました!」


ミルはそう言うと楓から貰った指輪のスキルで超身体強化を使う。その瞬間ミルの体が一瞬赤く光る。


「これが超身体強化か。凄いな」


「ねー。私も今度使ってみよー」


「ほんとこれ凄いね。僕も極めようかな…」


普通の冒険者なら目の前の惨劇に余裕なんてある筈もないが目の前にいるのは普通の冒険者ではない。


ちなみに今ミルが装備している弓の性能は


〜逸話級〜

ファミテル

筋力 +1000

属性付与

速度上昇

重力軽減


属性付与とは好きな属性を矢に込める事が出来る物だ。なかなか便利で臨機応変に使いこなす事が出来る。見た目は結構格好良く仕上がってしまった。出来れば可愛くしたかったのだがなにせ普通の木と金属を混ぜて作ったら格好良くなってしまった。


ミル本人は「かっこいいです!」と言って喜んでくれたので良かったが。


今回ミルは火属性を矢に込めて放つ様だ。緊張はしているがしっかりと狙えている。


「いきます!」


ミルはそう言うと魔物の群れの中心あたりにいたゴブリンを5匹連続で貫いていく。


「あれ?」


これにはミルも拍子抜けしてしまった。まさか前まで本当に怖くて何も出来なかった相手に今では頭を串刺しに出来る程簡単に屠れる様になったのだから。


「な、今ではお前も一流の冒険者並みの力を持っているんだ。あまり過信をし過ぎるのはよくないがそれでも少しは自信を持っても大丈夫だ」


放心状態のミルに楓は優しく言葉をかける。


「は、はい!」


ミルの元気のいい返事が聞けたのでそのまま楓達は魔物の群れに突っ込んでいく。


日向とミルは後方からの攻撃となっている。


群れと言っても所詮はゴブリンとオークの合計約50匹の集団だ。最初のミルの攻撃から分かる様に一人につき一回か二回攻撃を仕掛けるだけで敵が蒸発する様に消えていく。


最初は50匹いた筈なのだが1分もしないうちに全ての敵がこの世からいなくなっていた。


「あまり手応えがなかった」


日向は不満そうであった。まぁ、ミル以外はまだ戦い足りなかっただろう。なら…


「よし、ならここで前によくやってた模擬戦やるか」


「え!いいの!?」


模擬戦と言う名の日向の能力向上の為の訓練だが…


「あぁ、アルは…お前とやったらここら辺がなくなる。今度強力な結界を家の敷地の一帯に張るからそれまで我慢してくれ」


「りょーかい。なら今回僕はみている事にするよ」


「わ、私はいいですか?」


「もちろんだ。二人で一斉に掛かってくるといい」


楓はそう言って二人を挑発する。これにはいくら相手が愛しい旦那様でも容赦は出来ない。


「ミル!全力でいくよ!」


「ですね!旦那様、覚悟して下さいね!」


二人は楽しそうに楓に攻撃を仕掛けていく。その全てを楓は避けたり防御をしたりして全く楓自身から攻撃をする事がなかった。


「っ!やっぱり攻撃が通じない。でも…ミル!」


「はい!」


二人は一斉に魔法を唱えて楓へと仕掛ける。


中級魔法の爆裂魔法だ。だが二人とも威力が桁違いだった。そんなのが二つ合わさって楓に向かってくる。


「うーん、これは流石に周りに被害がでるな。とりゃ」


楓は独り言を呟いた後に拳をその魔法に当てる。すると爆裂魔法は綺麗さっぱり消え去った。


「「!?」」


二人に一瞬動揺が走り動きが止まる。楓は頃合いと見て一度二人の懐に入ってお腹をさする。


勝負ありだ。


「あれは予想外だよ!」


「うぅ〜まさか魔法が拳一つで消し去られるとは…」

二人は悔しがっていたがまだまだ楽しそうだし続きをやりたそうだった。


次はさっきミルが使った超身体強化を纏わせ楓に二人で近接戦闘を仕掛ける。日向はナックルを、ミルは素手だが並みの冒険者ならミルの一撃でも頭が消し飛ぶ。


そんな二人の攻撃をまたいとも容易く捌いていく。

そんな光景をアルはずっと眺めていたのだが…


「そろそろ終わりだね。また懲りずに…」


楓達へと向かってくる集団に気付いて警戒を始めていたのであった。

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