とりあえず冒険者になりたい! 2
最近見てくださってる方が出てきてモチベーションが上がりまくりです。(´∀`*)
楓たちが教会から追放された後、教会のとある一室には例の神官ともう一人顔を隠した女性の姿があった。
この部屋の周囲に楓たちのクラスメイトの姿はなく完全に二人だけの部屋となっていた。
「勇者召喚はうまくいきましたか?」
「はい、今回の召喚者たちは全員使えるかと。こちらのことを疑いもせず報酬さえ支払えば豚のように群がってくる。扱いやすくで助かりますな」
「そう。噂によると2人ほど教会から追放したそうだけど?」
「はい、1人はステータスオール8の雑魚でしたので……それを追って一人の女が追いかけていきましたが、まぁ二人くらいならそこまで支障はないでしょう」
「そう。ではあとは手筈通り、よろしく頼んだわよ」
「わかりました」
老人の神官がそういうと女性は満足そうに頷きながら部屋を出て行った。
「さて、とりあえずあの二人を消すとしようか……」
最後に老人の神官が部屋で一人、そんな言葉をつぶやくのであった。
「それにしても長いな。お腹も減ったし」
「そうだね、早く帰って冒険者になってみたいね!」
「日向はすごいな。ずっとそのテンションを維持するの大変じゃないか?」
「そんなことないよ! うふふ〜」
今現在進行形で非現実的なことが起きているのにも関わらず、日向は非常に元気である。
なにがそんなに面白いのやら……
『マスター、ここより300メートル先にマスター達に殺意を持ったものが二名います』
は? 俺たちに殺意? 俺たちまだ何も目立ったことしてないはずだけど、何かまずいことでもしたのか?
『推測になりますが教会側からの差し金かと』
なるほど、召喚者ってだけで問題起こされたら厄介だからか……めんどくさいなぁ。
勝手に呼び出しておいて自分たちのテリトリーの外に出られると厄介だから殺すってちょっと教会がしていいことではないと思うんだけどな。
『そんなこと言っても仕方ありませんよ。ほら、マスター。日向さんにも注意を促しておいた方がいいですよ』
それもそうだな。
「日向、これから教会側からの刺客と鉢合わせになる。敵は二人だ。すこし注意しておいてくれ」
「え⁉︎ なんで教会から?」
「召喚者ってだけで面倒な存在なんだろ。多分」
とりあえず敵のステータスを確認したいな。
正直ささっと倒して帰りたいんだけどな……
『鑑定スキルを使いますか?』
あぁ、どうせ俺たちを殺す気満々のやつなんだろ? だったら多少ステータスを覗いてもバチは当たらないはずだ。
ーステータスーーーーーーーーーーーーーーーー
名無し Lv22
種族 人族
体力 75
筋力 75
敏速 50
知力 35
魔力 40
幸運 20
スキル
身体強化 Lv3
剣技 Lv3
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ーステータスーーーーーーーーーーーーーーーー
名無し Lv24
種族 人族
体力 80
筋力 80
敏速 40
知力 90
魔力 150
幸運 20
スキル
魔術 Lv5
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これは厄介だな、しかも名無しってこいつら名前ないのか⁉︎ もしかして、奴隷的なやつなのかな?
今のままのステータスじゃ全く役に立たない……日向も危ないな。
「日向、相手は結構強いかもしれない。できれば俺の後ろから後方支援に徹してくれ」
「う、うん!」
さて俺もステータスの更新頼んだ。ナビちゃん。
ーステータスーーーーーーーーーーーーーーーー
楠木 楓 Lv 15 / ∞
種族 ???
体力 150 / ∞
筋力 180 / ∞
敏速 400 / ∞
知力 50 / ∞
魔力 200 / ∞
幸運 50 / ∞
超スペシャルスキル
全知全能 レベル ∞
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これじゃ無双しそうなんだが……まぁ使い慣れてない点を考えたらいいくらいか。
これが初めての対人戦になるわけだから気を引き締めていかないとな。
それより、これすごいな。すこしステータスの制限を変えただけで体の中から力が湧き出てくる。これならさっきよりも数倍いい動きができるだろう。
そんなこんなでもう目の前に刺客が現れた。
「お前か、カエデとかいうへっぽこ勇者候補は。俺らはお前のことを消せって指示が上から降りてきたから殺させてもらう。悪く思うな小僧」
「まぁ抵抗してくれてもいいけどステータスオール8じゃなにもできないだろ。そっちの嬢ちゃんはそこそこできそうだが後衛職だしな。さっさと殺されてくれや」
「断る」
「は?」
「断ると言ったんだ。あれ、まさか俺の言葉がわからないのか?」
「ステータスオール8が意外と舐めた口きいてくるんだな。まぁいい、そこからうごくなよ?」
「油断しすぎだ馬鹿」
名無しの前衛に最後まで話させる前に近寄って腹パン一発。一応人間みたいだから殺すのは避けた。俺が大丈夫でも日向が駄目っぽいからな。
「お、お前! なんでこいつがやられてるんだよ! ステータスが全部8程度のやつがこいつを倒せるわけないだろ⁉︎」
「さぁな。仮にオール8だとしても使い方次第ではどうとでもなるんだぞ? ほら、8を横にすると……な?」
「なに言ってんだよ! まぁいい。これでもくらえ! 火弾」
「火弾!」
「おぉ、日向サンキューな」
「は⁉︎ 俺のファイアーボールをかき消しただと⁉︎そんなことができ……」
「もういいから黙ってくたばれ」
「ぐはっ」
またもや腹パン一発でKOだ。っと、やりすぎて相手の骨を折ったかもしれないけどこのくらい許してもらおう。
命をとるわけじゃないんだからな。向こうは殺しに来たのである。殺さなかっただけでも感謝してほしいものである。
「日向、さっきはサンキューな。助かった。」
「ううん! 大丈夫だよ。ていうか楓くん、やっぱり強かったね! ステータスオール8は嘘なんだねー」
「悪い。まだちょっと色々とあって話せないからもう少しだけ待ってくれると助かる。それよりも早く帰ろう。帰ってからこれからのことで作戦会議だ。なんかきな臭い。最悪あの名前も知らない町を出ていくことになるかもしれない。」
「そっか。そーなったら付いていっていいかな? 私一人じゃ心配で……」
「ん? そのつもりで話してたんだけど、悪かったかな?」
「ううん! そっか、よかった」
なんでここで日向が照れているのかはよくわからないが、嫌がっていない様子を見るに大丈夫なのだろう。
『マスターはラノベの主人公を騙れるレベルの鈍感男ですね』
なんでそーなるんだよ……
「よし、じゃあ帰るか!」
「うん!」
ちなみにこの町見張りとかいないから出入り自由のようだ。この辺は警戒が足りないというか……まぁ王都とかになると話は違ってくるんだろうけども。
『この町は結界が張られているのと魔物がほとんど現れないため他のところに騎士が回されているようです』
あぁよくゲームとかであるあれね。ちなみにこの町の名前なんていうの?
『リングベリーという町だそうですよ。規模は中の上ってところですかね』
なんとも普通なところだな。まぁお陰である程度のことはこの町で出来そうだ。
「よし、じゃあ冒険者ギルドに行くか!」
「りょーかい!」