クランハウス大改造 1
決闘も無事終わり副団長は本当にその場で解任されていた。なんか俺がやっといてなんだが少し可哀想だったな。
『好きな人を横から掻っ攫われ、更に決闘で負けて職を失う。マスターなかなか鬼ですね』
悪い、俺も少しカッとなっていた。でも向こうも俺を殺そうとしたから、ね?
『マスターを殺すとかw』
笑ってやるなよ。ほんとナビちゃん最近毒舌が増してきたな。
その後は王族ファミリーと俺達で夕食をした。
第一王女様もミルに似て美人だった。王子はいなかったから多分第一王女様の婿が次代の王様になるのだろう。そして正式に明日、ミルの婚約を発表するそうだ。王様からしばらくは厄介事に気を付けろと注意された。
その後は俺の作った武器の話であったりさっきの決闘の話だったり日向とミルの惚気話であったり本来なら食事中に話をするのはマナー違反らしいがプライベートの場だったので皆和気藹々と楽しく食事も話も出来た。いいお父さんになりそうだ。
王様からもこれからプライベートではお義父さんと呼ぶ様に厳命された。気に入られたものだな。
夕食が終わるとお風呂に入ろうとお義父さんに言われたのでアルと3人で一緒に入る事になった。二人からずっとからかわれていたのは言わなくても分かるだろう。この二人なんか仲良くなってないか?
その後はそのまま客室に泊まっていく様に言われたので今日はその厚意に甘える事にした。今から宿を取りに行ってもあるか分からないからな。
まだ二人には手をつけてないぞ。それとなく二人からはアプローチを受けたが、俺がチキンだったのと流石に王城でする事でもないだろう。そういうのは落ち着いてからだ。
『チキンが…』
うるさい、俺も分かっている。
いや、DTにいきなり美女を襲えとか言われても無理ですよ。無理矢理は嫌だし、そういうのはお互い幸せな気持ちになれる時にやりたいな。
そういうのはまぁ今度考えよう。それよりも客室に行ったのだが、日本にいた時に一度親が調子に乗って借りたホテルのスイートルームより豪華だった。流石王城。枕も布団も最上級の魔物の革が使われていた。クランハウスには俺がみんなの分の寝具を作ってやるか。
そんなわけで王都に来てから1日目は結構忙しい日となって終わりを告げたのであった。
そして次の日…
朝は王城でいただいて女子組の準備が終わる迄アルと二人で訓練場で体を動かしつつ今度は本当に遊び程度にじゃれ合っていた。
常人から見た二人はその限りではないだろうが。
約1時間くらい日向達は準備、俺とアルは模擬戦を続け日向達の準備が出来たという事で汗ひとつかいていない俺とアルは日向達のもとへ行く。
「ところでクランハウスって何処なんだ?」
「さぁ?」
「馬車で連れて行ってくれる手筈になっておりますよ」
だそうだ、道を覚えておかないとな。マップにマッピングともいうが…
『覚える気ないじゃないですか』
方向音痴なんだよ。
俺達を乗せた馬車は貴族街の西側へと向かう。ここら辺はそこまで豪華な家はない様だ。爵位で言えば男爵から子爵位の屋敷だろうか。
だがそこに一軒だけ目立って豪華で、土地が他の4倍はあるのではないかという程あり、そこに堂々と屋敷が立っていた。
「ま、まさか?」
「そうみたいですね」
俺達はその家、いや屋敷を見て呆気にとられていたがミルは至って普通だった。
「いや、流石に目立ちすぎじゃね?」
「それはもう、旦那様の凄さを表すにはこの位の屋敷など造作もないでしょう」
目立ちすぎだ。
それから四人は屋敷の前で降りる。メイドがどうこうとバルバトスが言っていたがこの事だったのか…これは管理しきれないわ。いったい何人泊まれるんだよこれ。
屋敷の外装はなかなかオシャレだった。大きいのに無駄な大きさではなくその大きさを生かした外装となっていた。
屋敷の中に入る前にみんなで庭に行く。
「広いな」
「そうだね!ここでなら普通に私達の訓練も出来るね!」
しっかりと整備させたらそれ位余裕で出来そうだな。
「俺はここに露天風呂作りたいな」
「良いねそれ。僕もその意見に賛成だよ」
「私も!」
「私も賛成です」
全員賛成の様だ。まぁ、露天風呂を作ろうがまだまだスペースもあるからこれから活用方法については考えていこうかな。
それと塀をもう少し高くしておこう。不法侵入されないように防犯面もしっかりとしないとな。
いずれここが俺たちの拠点だとバレるんだ。絶対に良からぬ事を考える奴が出てくる筈だ。
その辺もこれから考えていかないとな。
とりあえずみんなで庭を一周する。やっぱりめっちゃ広いなー。今は何もないけど徐々にこの広さにあった庭にしていかないとな。
「さて、ではいよいよ我ら『無限の伝説』のクランハウスの中に入るぞ!」
「「「おー!」」」
おー、みんな乗ってくれた。ミルが少し恥ずかしいのか顔を赤く染めていたのが可愛かった。
中に入るとそこはロビーだった。天井迄ロビーからは突き抜けており随分高く感じられた。4階建てみたいだ。
「それじゃ各自適当に探索するか。どんな部屋があったかは後で二階にあった大きいベランダでお茶をしながら話し合おう」
と言う事で俺達は各々行きたい所に行っていた。日向とミルは一緒に行動しているみたいだ。アルは外で昼寝がしたいらしく俺は一人で探索する。あ、
「マリー」
「はいはい!呼ばれて出てきましたよ!」
すっかりマリーの事を忘れていた。迷宮から出たら具現化させてやるとか行ってたけどアルがいたから忘れてた。
「悪い、すっかり忘れてた。しかしよく勝手に具現化してこなかったな」
「ご主人様の迷惑になる事は極力しないつもりですから!忘れられてたのは寂しかったですがこうやって呼んでくださったという事は?」
「あぁ、ここでなら自由に具現化してもらって構わない。俺達の家だしな」
「やったー!ありがとうございます!」
「あぁ、日向達の所にでも行ってやれ」
「はい!」
マリーは嬉しそうに日向達の後を追いかけていった。ミルの悲鳴が聞こえたがすぐに仲良くなれるだろう。
さーて、俺も部屋を見に行こうかな。




