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楓とアルの模擬戦 2

あれから3人で前に俺と日向が魔法の訓練をする時に使った訓練場へと足を運ぶ。行く途中には出店がたくさん並んでいる。


「カエデ!あれ美味しそうだよ!」


「分かったよ。おばちゃん!それ3つ!」


「はいよ!」


何かの肉の唐揚げが4つ入っているパックを一人一つで買った。


「これ!すごい美味しいね!あ、カエデあれも」


「お、おう」


訓練場に行く迄で一つ誤算があるとするならばアルが意外にも大食いらしく、並んでいる出店の食べ物を片っ端から平らげていく。出店の人達はそのアルの食べっぷりを喜んでいた。まぁお金は腐る程持ってるから良いんだけど…流石に俺も日向もアルの食べっぷりには笑みを引きつらせていた。


「いやー食べた食べた」


アルは満足そうである。


「おまえ、どんな胃の中してるんだよ。おまえ一人で金貨一枚って逆に凄いわ」


「私と楓くんでも一食で銀貨一枚もいかないよ」


「え?まずかった?」


アルはそれを聞いて少し遠慮気味に聞いてくる。


「いや、お金はあの迷宮から腐るほど貰ってるし出店の人達も喜んでたから良いんだけどな」


「ほんと!それは助かるよ!」


アルにとって食事は至福のひと時らしいのだ。これじゃあ宿の料理の量では満足してないな…


それからしばらくして訓練所につくと…


「よし、今日は誰もいない」


訓練場は人一人もいない悲しい風景だったが俺達からすれば好都合だ。なにせ今日は俺とアルが模擬戦をするのだから。そんなもの他の冒険者には見せられない。


ただでさえ前の魔法を使っていた時のせいで若い冒険者がおかしな魔法を使うと噂されてたのに。


それに関してはまだ俺達とはバレてないが…


「それでカエデ、武器はどうするの?」


「ん?素手でいいかなーと思ってるけどどうする?」


「うん、別に僕はそれでいいよ。殺し合いをするんじゃないからね」


ということで素手で模擬戦とあまり実戦的ではないが、お互いの力を知るには最適な戦い方で戦う。


「んー、僕は最初30%位で行くけどいいかな」


「あぁ、じっくり上げてこい。その方が安全だからな」


この訓練場の安全とは誰も思うまい。


「っと、その前に日向のステータスを先に見ておきたい。今日は模擬戦をするつもりはないがさっき迄忘れてたからな」


「あ、そういえばそうだったね。私も忘れてた」


「OK、別にこの様子じゃ他の人も来る気配が無いからね」


という事で日向のステータスを見ておく。ステータスも結構上がってくれてると嬉しいなー。


俺は自分のステータスを見てレベルアップする喜びがないので日向の時に全力で楽しむ事にしていた。それじゃあ、鑑定っと…


ーステータスーーーーーーーーーーーーーーーー

佐倉 日向 Lv35 → Lv76

種族 人間

体力 700 → 1850

筋力 450 → 1850

敏速 800 → 2000

知力 1000 → 2500

魔力 3500 → 10000

幸運 300 → 500


スキル

魔法 Lv10 → Lv25

魔法威力上昇 Lv10 → Lv25

魔力回復上昇 Lv10 → Lv25

魔力操作 Lv5 → Lv 19

体術 Lv3 → Lv16


ユニークスキル

魔力運用効率倍化

成長速度倍化

成長倍化


エクストラスキル

魔法創造

レベル限界突破


加護

魔法神の加護


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


これで晴れて日向も人間卒業だな。流石に勇者でも5桁のステータスは持ってないだろ。


「おめでとう、日向。こちら側の世界にようこそ」


「うーん。嬉しい様な、そうでもない様な…?」


日向もステータスが上がって楓の役に立つ事があるかもしれないと喜んではいるものの何か釈然としないものもあるのである。


「おめでとう、ヒナタ。これで世界の脅威の半分以上を回避できるね」


「え?日向に勝てる奴なんてもうほとんどいないだろ?」


「正面からやり合えば、ね。他にも色んな脅威はあるよ。権力からくるものや暗殺とかもまだ対処出来ないでしょ?」


「確かにな」


俺はこの世界を甘く見ていた様である。まだまだ日向には危険が結構ある事を知りまだ気を抜くには早い事を知った。


「それよりカエデ、そろそろやろーよ」


アルは今にも襲いかかってきそうな勢いでまくし立てる。


「分かったよ。最初は手を抜いてこいよ。被害が想定出来ないからな」


「二人共、充分気を付けるんだよ?」


日向からも念押しされる。そんなに俺は信用ならないか?


『なりませんね。自重というものをしませんから』


してるつもりなんだけどなぁ…


「りょーかい、さぁカエデ。行くよ!」


日向に充分距離を取ってもらってからアルは俺に向かって距離を詰める。それに応じて俺もアルと距離を詰めるべく駆け出していく。


「せい!」


「どりゃ!」


パリィーン!


二人が開幕拳同士をぶつけた瞬間その衝撃波で訓練場を覆っている結界が砕けた。


「やば!」


まさか初撃で結界がダメになるとは思ってなかったので焦って最初より強度の高い結界を作ってしまった。


「楓、アル?」


日向が怖い笑みを浮かべながら二人に対して無言の圧力をかけてきた。これにはいくらステータスが高かろうが関係ない気がする…


「いや、まさか一発でこんな事になるとは思わなかったんだよ」


「あははー、ここの結界がここまで弱いなんて思わなかったよ」


「はぁ〜だから楓は心配なんだよ。アルもちょっとは自重してよ」


「「はい」」


誰がクランマスターか分からないな、これ…


『誰ですか?そんなに信用ないかな?俺、とか言ってた人は』


ナビちゃんも盛大に煽ってくる。ぐぬぬ…


こうして3人は二度と一般の訓練場での模擬戦をしない事を誓い駆け足でその場を去っていくのであった。

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