楓とアルの模擬戦 1
昨日は無事アルのクランメンバー申請が受理されてあの後適当に宿を見つけてそれぞれしっかりと休息をとった。
そして今日、朝食を食べ終わり俺の提案で一度俺の部屋に3人が揃う。
「それでカエデ、どうしたの?」
「あぁ、アルには日向と同じようにスキルを俺がつけてやろうと思ってな」
「あぁ、楓くんのやつね。だからここに来たのか」
「そうそう、人目につくと厄介だからな」
「え?スキルをつける?カエデ、何言ってるの?」
「その前にとりあえず俺達の事について話さなければいけないな」
そうして俺はアルにこの世界に召喚された異世界人であった事や自身のステータスの事やそれを使って日向のスキルを強くした事などを話した。
「へぇー、カエデって強いと思ってたけどそこまで強いんだ」
「まぁな、だから今は手加減の練習をしているところだ」
「そうなるだろうね、で、僕にも何かスキルをつけてくれるのかな?」
「あぁ、そこにとりあえず寝てくれ」
俺は自分のベッドに寝るように促す。
「睡眠魔法」
ーステータスーーーーーーーーーーーーーーーー
アルメダ Lv1000(人間 Lv100)
種族 伝説龍
体力 50000 (30000)
筋力 50000 (30000)
敏速 50000 (30000)
知力 50000 (30000)
魔力 50000 (30000)
幸運 50000 (30000)
スキル
身体強化 Lv100
鎌術 Lv100
鎌導 Lv1
体術 Lv100
魔法 Lv100
ユニークスキル
戦略
全属性魔法
成長倍化
エクストラスキル
伝説龍の誇り
レベル限界突破
加護
武神の加護
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まぁ、こんなもんか。アルはもともと強かったからあまりやり過ぎるのもよくないしな。武神の加護というのは全ての武器を使いこなせてなおかつ加護の保有者が一番極めたい物の武器の武技というのが使え、更にその熟練度が2倍になる。
というものである。アルは鎌を使うらしいので鎌術の上位スキルも一緒に入れておいてやった。本来ならどっちか一つなんだけどね。
「アル、起きろー。終わったぞ」
アルのほっぺたをペシペシする。
「ん?あぁカエデか。どうだった?」
「おまえはもともと化け物みたいだからそこまで魔改造はしてない。ただ、努力すればそれこそ魔改造並みになる」
「え?でも僕はもうレベルの上限が来ているからスキルの伸びだけではそこまで上がらないよ?」
楓はその問いに答えずにアルのスキルを転写してアルに渡す。
「なるほど、限界突破というスキルがあるのか、これは面白い。あと、加護もつけてくれてるね。これって選ばれた人しかつかないはずで一つの国でも3人位しかいないんだけどね…こんなに簡単に加護がつくとは思わなかったよ」
「楓くんは自重をしないからね。でも私はその方がいいかな。面白いし」
「自重はしてる方だと思うんだがな…」
『全然出来ていません』
なんだと…
それより今日はどうするかまだ決めてなかったんだよな。てか、俺は王都に行きたい!なんかリングベリーもシュトガルもあまり代わり映えしなかったからこの国の最大の都市に行って観光したいな。
俺は一人で王都に行く為の準備を日向たちと話しながら並列思考スキルを使って考えていた。
「ねぇ、カエデ。僕は一度君と戦ってみたいんだけどいいかな?」
「ん?別にいいがおまえ最初に会った時に断ったじゃないか」
たしか、戦っても無駄な勝負はしないとか言ってたよな?
「あれは、命のやり取りがある場合だったからだよ。でも今は違う。模擬戦なら死にはしないし何より僕が一度カエデと戦ってみたいな」
だそうだ。別に特にする事もなかったからいいんだけどな。
「分かったよ。日向もそれでいいか?」
「うん!私も楓くんとアルの戦い見てみたいな」
「あー、日向?なんでアルが呼び捨てで俺が君付けなんだ?不満なんだが…どうせなら俺も呼び捨てしてくれ」
以前から気になってた日向が自分を呼ぶ呼び方について異議を申し立てる。
「え!?その、いいの?」
日向は少し恥ずかしそうに問う。
「当たり前だろ。名前の呼び方一つでも壁が作られてる感じがするんだよなー」
「じゃ、じゃあ、楓…」
「おう、やっぱそっちの方がいいや!」
「う、うん」
日向は恥ずかしながらもすごく嬉しそうである。
この空間にいて一番困ったのがアルだ。この桃色空間に閉じ込められるのは流石に1000年生きていても初めての体験だった。
「カエデ、ヒナタ、その辺でいいかな?」
しばらく二人の桃色空間に付き合っていたが頃合いを見て二人を現実に戻す。
「あぁ、いいぞ。なら今日は訓練所に行こうか」
「う、うん」
「りょーかい」
日向はまだ若干戻って来られていないらしい。
アルはやはり、俺に付いて来ると面白い事ばっかりが起きそうな予感がしてとても楽しみな様であった。
「ヒナタ、気を付けないとカエデの側にはたくさんの女の子が寄って来ちゃうかもよ?カエデは鈍感だから知らないうちに女の子を助けていそうだ」
アルは日向への応援とともにこれからの予感について呟くのであった。




