ルーナとデート 1
デート6日目。
そろそろこの連日デート期間も終わりが見え始め、少しだけさみしいなと感じ始めている楓をよそに、天狐族でもあるルーナは気合バッチリと言わんばかりの服装であった。
そんなルーナを見ていると、楓も寂しさなんてものはすぐに消え去った。
「おはようルーナ。今日は一段とオシャレだな」
「そ、そうか? まぁ、カエデが喜んでくれたのならよかったよ」
「やっぱり、そうして尻尾とか耳とかを出してくれてる方が俺は好きだなぁ」
「ははっ、恥ずかしいな。でも、そう言ってくれるカエデだからこそ、私は好きになったのかもしれないな……っと、そうだ。今日の予定なんだけど午前中に行きたいところがあるんだ」
「別にいいけど、どこ?」
「それはついてからのお楽しみ。でも、あまり楽しいところじゃないから、先に確認だけとっておきたくて……」
「俺のことは気にしなくていいよ。じゃあ、午前中はルーナの行きたいところに、午後は俺が考えてた楽しめるところに行こっか」
どうやら、ルーナは先に行き先を決めていたらしく、どうしてもそこに行きたいようなので、楓はそれ以上追求せずに大人しくルーナの隣を歩くことにした。
最近、ようやくデスハイム王国内でもルーナとヒストリアの天狐の姿に慣れてきた人が多いようで、二人で並んで歩いていると挨拶をしてくれる人が増えていた。
きっと、ルーナとヒストリアの以前までの働きや、『無限の伝説』での活躍っぷりを見ているからこそ、種族なんて関係ないと思う人が増えてきたのかもしれない。
噂では、ルーナとヒストリアのファンクラブなんかもあったりするらしい。
その話を本人たちの前でした時は、二人とも恥ずかしそうに「やめて」と身悶えしていたが……
「そうだ。身体はもう大丈夫か? ミルたちが心配していたぞ?」
「うん。もう全開だね。流石に6日も経つと身体も落ち着いてくるよ」
「それならよかった。私たちも、少し心配してたんだ。8日も連続でデートなんて普通しんどいだろうから……私たちは1日しかない貴重な時間だから、みんな張り切ってるだろうし……」
ルーナはそう言って心配そうに楓の顔を覗く。
皆、同じように心配してくれるが、楓からしたら本当に気にしていないことだし、楓としても1対1でデートなんて、最近ではほとんどしなくなっていたため楽しくて仕方がなかった。
それぞれに合わせてプランを立てるのも楽しいし、当日みんなが気合を入れて服装を選んで来てくれるのを見るのも楽しい。
それに、普段みんなといる時には見せないそれぞれの可愛さがあって、正直楓的には2周目をしても全然いいくらいだった。
まぁ、ストレア中立都市での会談の日程的にもそれは不可能なのだが、また時間があればこうして連続デート企画なんかもしていきたいと楓は漠然と考えていた。
もちろん、複数人でデートをするのも非常に楽しいため、そっちも同時に行って行く予定である。
「こうして、みんなとデートができて俺は嬉しいし、楽しいよ。普通なら、肉体的に保たない人が圧倒的だと思うけど、何せ俺は最強だからな」
楓は少し冗談を交えて、ルーナに対してそう言った。
あまり真剣に返事をすると、ルーナはかえって自分のせいにしてしまうことがあるので、このくらいがちょうどいいのである。
『無限の伝説』内で一番真面目なルーナだからこそ、楓は一緒にいる時くらいは肩の力を抜いてもらいたいというのが本心であった。
「そういえば、私の旦那は世界最強だったな。確かに、天使や悪魔ですら簡単に退けてしまう男が、八人の妻とイチャイチャしたくらいでへばるはずもなかったか」
「そうそう。むしろ、ルーナたちとイチャイチャできて、俺は幸せだよ。今なら神様相手でも問題なく勝てちゃうね」
「そうか。なら、もっとイチャイチャしよう!」
ルーナはそういうとギュッと楓の後ろから抱きつき、そのまま離すことなくしばらくギュッとしていた。
道ゆく人には「まーたやってるよ」と半ば呆れられているが、楓的には役得なのでなにも問題はない。
「ありがとう。ルーナ成分バッチリだ」
「私もカエデ成分をたくさん吸収したぞ。やっぱり、楓はいい匂いがする」
ルーナは楓から離れる際に、名残惜しそうに鼻をスンスンとさせ、楓の匂いを嗅いでいる。
楓は少し恥ずかしかったが、臭いと言われるより100倍マシなので、そのままルーナの手を繋いで、目的地へと歩みを進めることにするのであった。




