ナビとデート in日本 3
蓮と優香の準備ができたということで、楓たちもリビングへと向かうこととなった。
リビングに着くと、そこにはしっかりと着替えられた蓮と優香が先に席に座って話しており、すでにそこまでの仲になっていることに楓は少しの驚きと微笑ましさを感じながら、ナビを連れて席に着いた。
ちょうど、楠木家は四人家族なので席が四つあり、お互いのカップリングで隣同士に座り改めて自己紹介が始まった。
「改めて、宮下優香です。お兄様のことは蓮くんからよく聞いていました。お会いできて嬉しいです」
「初めまして。蓮の兄の楠木楓です。優香ちゃん、よろしくね」
「はい。よろしくお願いします」
楓と優香はお互い名前を名乗ると軽く握手を交わした。
優香は特に何も思っている様子はなかったが、その隣で蓮がムスッとしながらどこか心配しているような様子だった。
「兄貴。頼むから優香に手を出すなよ? 俺、流石に立ち直れないからな……」
蓮はいじけながら楓に念を押すようにそう言った。
過去、自分が同じように楓の心を故意に抉るようなことをしたため、あまり強くいえない様子だったが、蓮はそれでも本気でやめて欲しそうにしている。
そんな蓮に楓と優香はかわいい子を見るような視線を向ける。
「俺は弟の彼女に手を出すほど暇じゃないよ」
「そうですよ。それに、私を軽い女みたいに見られるのは嫌です」
「その辺の男になら別に負けるつもりはないけど……兄貴は特別だしさ。俺よりもかっこいいし、なんでもできるし」
「確かに、お兄さんはかっこいいですよね。彼女さんもとても可愛いですし」
優香は楓とナビを見て本心でそう言っているようだったが、それでもさほど二人に興味を持っている様子はなかった。
別に楓たちを蔑ろにしているというわけではなく、他の女性たちのように楓を見ても頬を赤らめることもなければ媚びる様子もないだけである。
これは向こうの世界では珍しいことではないが、こちらの世界では付き合っているカップル同士でもそう言った光景があるため、楓もナビも少しだけ意外そうに優香のことを見直した。
「蓮。優香ちゃん、多分めっちゃ一途なんだよ。お前いい彼女見つけたな」
「そうですよ蓮くん。『カエデくん』を見ても靡かない女性は結構珍しいですよ。大事にしてあげないといけないですよ?」
「はい。お二人に負けないくらい、いいカップルになってみせます!」
楓とナビにそう言われ、蓮は嬉しそうに優香の手を握った。
ちなみに、ナビのカエデくん呼びなのだが、優香の前でマスター呼びは色々とややこしそうということで、こうして呼び方を変えてもらったというわけである。
あまりの不意打ちに、呼ばれた楓自身がお茶を吹き出しそうになっていたが、なんとか誤魔化せているようである。
「それにしても、母さん遅いね」
「俺たち二人とも彼女を連れてきたから嬉しいんだろ。特に、兄さんなんてもう三ヶ月は帰ってきてないんだし」
「お兄さん忙しいいんですね。すいません。久しぶりの実家なのに……」
「いや。今日もこいつが実家でお家デートしたいって言い出したから来ただけだから、気にしなくていいよ」
「はい。私たちはもうたくさん楽しみましたから。それに、蓮くんの彼女さんを見れて、私は嬉しいですしね」
ナビはどこかお姉さんのような表情と言動で優香にそう言っているが、先ほどまでは楓にあっまあまだったので、楓はギャップで笑いそうになっていた。
一応、年下の蓮と優香には見栄を張りたいようなので、楓も特に指摘することなくナビに合わせることにした。
その後、楓たちの母が帰ってくるまで四人で楽しく話していたのだが、夕飯までそれぞれの時間を楽しみたいだろうということで一旦解散することとなった。
そういうわけで、楓もナビと一緒に部屋に戻ろうとしたのだが、蓮に呼び止められたためナビと優香をそれぞれの部屋に向かわせることにした。
「どうしたんだ?」
「そ、その……言いにくいんだけど、兄貴たちって今日……するの?」
「あーそういうことか……まぁ多分……」
蓮は楓に非常に言いにくそうに、言葉を濁して夜の話をしているのだと気づくと、楓も言葉を濁しつつもそのまま肯定する。
すでに一回戦終わっていることは、楓とナビだけの秘密である。
「母さんたちにはバレないかな?」
「俺は防音の魔法使って外に音が出ないようにするから……お前の部屋にも明日まで使っとこうか?」
「サンキュ!!! マジで助かる!!!」
「別に構わないけど……母さんにはすぐバレると思うぞ。父さんは鈍いから大丈夫だと思うけど」
「うぅ〜うちでは初めてだからちょっと緊張するよ。そういう空気になるのかもわからないし」
「優香ちゃんの気持ちを第一にな。それと、これ渡しとくから。お前、持ってなかったろ?」
楓はそう言ってそっと避妊具を渡した。
蓮が他にも何かいいたげなのはバレバレだったので、わざわざ口に出させる前にそっと市販のものを箱で渡すことにした。
二人がどれだけ楽しむのかもわからないけど、これだけあれば今日切れることはないだろう。
「何から何までサンキューな。本当に兄貴たちがいてくれて助かったわ」
「まぁ兄弟だからな。弟の世話は兄貴の役目だ」
「恩に着るよ。兄貴も楽しんでっ!」
蓮はそれだけ言い終えると、駆け足で自分の部屋へと戻っていった。
その後ろ姿だけで、蓮の悩み事がなくなったのがよくわかった。
「蓮くんにしっかり渡せましたか?」
「あぁ、サンキューな」
「ふふっ、私たちはともかく、蓮くんたちはしっかりとしないとまだ高校生ですからね」
楓が部屋に戻ると、ナビがそう言ってベッドの上で漫画を読んでいた。
そう、先ほどは頼りになる兄を演じていたが、全てナビの入れ知恵である。普段楓たちは気にしていないのだが、蓮たちはそういうわけにはいかない。
結局、その後は家族と彼女二人で夕食を食べ、順番に風呂に入り、それぞれの夜を楽しむのであった。




