ナビとデート in日本 1
ちょっと刺激が強いかもです。
お気をつけください
「お邪魔します」
「こんにちはナビちゃん。今日はゆっくりしていってね」
デート5日目。
本日はナビとのデートなのだが、今日ナビが選んだデート先は何を隠そう楓の部屋であった。
俗にいうおうちデートというものなのだが、ナビには家がないので消去法で楓の実家になるのだが、迎える側である楓からしたら恥ずかしいことこの上ない話であった。
最近、向こうの世界で結構忙しかったので、日本に帰ってくることも、実家に挨拶をする機会もあまりなかったので、楓も実母と会うのは久しぶりなのである。
それにもかかわらず、こうしてナビを部屋に連れ込むということで、楓としても非常に気まずいところであった。
「母さん。恥ずかしいから、その辺にしてよ。あと、絶対に俺の部屋に入ってこないでね?」
「ふふっ、わかってるわよ。でも、しっかりと魔法で防音とかしてね? 流石に私も恥ずかしいし、何よりも蓮にはまだ毒だわ」
「昼間っからそんなことしないよ! もう、ナビ行こう」
「マスター」
「ん? どした?」
「私は全然昼間から襲っていただいてもいい……」
「わかったから一旦俺の部屋に行こう。ほらっ!」
少し頬を赤くしながら爆弾発言を投下するナビを楓は無理矢理引っ張って自分の部屋に連れ込んだ。
楓の母は「あらあらまぁ……!」と嬉しそうにしながら楓たちを見送った。
実母に性に関する話は本当に地獄でしかなかったが、楓はなんとかその試練を乗り切り、ナビを自分の部屋に連れ込むことに成功した。
「マスターの部屋、前回も見ましたけどなんだか落ち着きます」
「そうか? 向こうの部屋に比べたら全然狭いし安っぽいと思うけど……」
「なんでしょうか。マスターが17年間育ってきた場所だからかもしれません」
「まぁ、言いたいことはわからないでもないな。実家はやっぱり落ち着くよ」
二人はそんな会話を交わしながら、床に座った。
楓の部屋はカーペットが敷かれており、ベッドを背もたれにすればそこまで硬い体制になることはないため、しっかりした椅子はないがそこまで苦ではなかった。
まぁ、どちらかが椅子に座り、もう一人がベッドの上に座るのも悪くはないのだが、先ほどの会話の後にベッドに乗るのはなんとなく楓が嫌だった。
それに、床に座ると自然と二人で密着することができるため、おうちデートとしてもこちらの方がいいだろう。
「なんだか、少し恥ずかしいですね」
「まぁ、普通のデートとは少し趣旨が違うからな。俺もこうしてナビとゆっくりできるのは嬉しいよ」
「最近なんだかんだで忙しかったですものね。まぁ、マスターは私たちのデートで休む暇もないと思いますが……」
「俺はなんだかんだでナビたちといると楽しいから嬉しいよ」
「そう言っていただけると嬉しいです。今、ナビちゃんポイントが100点入りました」
「そのポイントは貯めれば何かいいことがあるのか?」
「1ポイント消費でキスとかハグとかその先もできます。マスターにはそれを100ポイント贈呈します。ちなみに、今日中にこのポイントを全て使い切らなければマスターの負けです」
「めっちゃ大変なポイントを貰ってしまったな……じゃあ、1ポイント消費してハグをしてくれ」
「わかりました。仕方ありませんね」
ナビはしてやったりの顔をしながら、嬉々として楓に向かって抱きついた。
その後、ナビは楓を堪能するようにぎゅー!っと力を込めて、もう話さないと言いたげに楓から離れなかった。
楓もナビの感触を楽しめるのは役得なので全然いいのだが、一つだけ気まずいことがあった。
というのも……
「母さん。入ってこないでねって言ったよね?」
「えーっと……美味しいケーキと紅茶を持ってきたんだけど……あとにした方がいいかな?」
そう、楓の母が楓の部屋に入ってきたことによって非常に気まずい空気が流れてしまったのだ。
ナビはナビでそんなの気にしないとでも言いたげに楓に抱きついているが、それを見られている楓は非常に気まずいことこの上なかった。
確かに楓の母も良心で楓たちにお菓子を用意してくれたのだが、タイミングが非常に悪かった。
しかも、楓からナビにお願いしてハグをしている状態なので、自分から離れてくれともいえないため、結局楓の母がお菓子を置いていく間もずっとハグをし続ける羽目になったのであった。
「ふっふー。マスターのお母様に見せつけてやりました」
「おかげで俺はクッソ温かい目で見られる羽目になったけどな」
「いいじゃないですか。お母様も嬉しそうでしたし」
「まぁ、ここまでいい女の子を連れてきたのは初めてだしなぁ」
「……褒めても何も出ませんよ?」
「本心だよ。本当にナビたちと出会えて、俺はたくさん救われた」
「……ナビちゃんポイント10億ポイント入りました」
「もう絶対に消費できなくなったよ……」
「ねぇマスター」
楓がナビちゃんポイントに呆れていると、隣でナビがちょんちょんと袖を引っ張った。
その仕草が可愛くて、不意にドキッとしたが、楓は次の言葉でもっとキュンキュンすることとなる。
「私もマスターに出会えて、マスターのスキルになれて本当に幸せです。マスターのこと、大好きです」
「……前言撤回。ちょっと我慢するのは無理そうかな」
「ふふっ。やっぱり、おうちデートとはこうでなくてはいけませんね」
ナビは作戦成功といいたげな表情でそういうと、二人はおもむろに唇を重ね、日が出ているうちから体を重ね合うのであった。




