ミルとデート 1
えー…非常に久しぶりです。
しばらく更新ができなくて申し訳ないです。大学の課題やテスト、そして週末に来る体調悪化のせいでまともにパソコンすら触れない日々が続きました。
これからはまた更新を安定させることを第一に頑張っていきますので、応援の方よろしおくお願いします。
今日からはミルとデートです。こいつ、めっちゃかわいいですまる
「旦那様、見てください! 音楽隊です!」
「おー。すごいな。楽しそうだな」
「はい! 旦那様、もしよかったら一緒に踊りにいきましょう!」
ミルはそう言って、楓の手を引いて音楽隊の近くで踊っている輪に入っていく。
二人は今日、デスハイム王国に戻ってきているのだが、どうやらバルバトスの計らいで昨日のうちにお祭りの用意をしてくれていたようで、今日デスハイム王国ではさまざまな所で催しものがなされていた。
バルバトスの親バカ度というか、本人は昨日も今日もストレア中立都市で絶賛仕事中のはずなのだが、どこにこのような大型企画を実行するだけの時間と労力があったのだろうかと楓は不思議に思ったが、ミルの嬉しそうな笑顔を見て、そのような考えはすぐに吹き飛んだ。
楓とミルがダンスに加わったことで、場が萎縮してしてまうのではないかと、楓は一瞬懸念したが、萎縮するどころか逆に盛り上がり、数分もすれば楓も恥じらいなどは忘れて純粋にミルとのダンスに夢中になっていた。
ミルは普段、常に楓の一歩後ろを心がけてているため、こうして自分から「何かしたい」と楓にいうことは少ないのだが、今日は久しぶりの二人でのデートということで、遠慮することなく、自分の要望を楓に伝えていた。
そんなミルが新鮮な一方、楓もミルの笑顔を見ていると、できるだけいうことを聞いてあげたいと思うようになり、今ならお城を新しくプレゼントしてと言われてもやぶさかではなかったりする。
「んー! 旦那様を独占できるなんて夢みたいです!」
「ミルは普段からみんなのことをよく見てくれてるしな。今日は思う存分、俺に甘えてくれ。俺もミルにたくさん甘える」
「ふふっ。旦那様も私に甘えてくださるのですね。これは……いい気分です」
「それはよかった。でも、ミルって一応この国の王女なわけだし、体面とかって気にしなくてもいいのか?」
「今は旦那様の妻ですし、元からあまり体面は気にしていなかったので、全然大丈夫です! それよりも、あっちの屋台に行きましょう! 美味しそうな揚げ物が売ってます!」
ミルが目を輝かせて、揚げ物が売っている屋台に行って楓のものと合わせて二つ購入していた。
屋台の店主も、まさかミルが買いに来てくれるとは思っていなかったのか、終始動揺していたが、ミルの笑顔を見て店主までつられて自然な笑みを浮かべていた。
今日のミルは普段の数倍魅力的で、周囲にも自分の幸せを撒き散らしているような感じなので、周りの人もミルを見ているだけで笑顔になっていた。
「はい! これは旦那様の分です!」
「ありがとう。お金は……」
「これくらいいいですよ。それよりも、食べましょう!」
「ありがとう。じゃあ、いただくよ」
楓とミルはその場で一口、豪快に揚げ物を食べる。
立ち食いなど、ミルが王女のままであれば絶対に許されないことなのだが、先ほどミルも自分で言っていたように今は楓の妻であり、元王女と言うことで体面など全く気にした様子なく、美味しそうに揚げ物にかぶりついていた。
見た目が清楚なミルの活発な行動に、ギャップ萌えをしている市民は多いようで、驚いたような目で見ながらも、美味しそうに食べている楓とミルを見て皆喉を唸らせていた。
「旦那様っ! これ、すっごく美味しいです!」
「あぁ、衣がサックサクで食べ応えあるな」
「ですね。これは……食欲がどんどん増していくやつです!」
そんな会話を交わしながら、二人が残りも美味しそうに食べ切るものだから、周囲にいた人たちも同じものを買おうと一気に揚げ物を売っていた屋台に人が集まり始めた。
一気に人がなだれ込み、店主は忙しそうに動き始めたが、それでも楓とミルに非常に感謝しているようで、楓たちと目があった瞬間、嬉しそうに目配せでお礼をしていた。
二人はただ食べ歩きをしているだけだが、それが周囲に与える影響は非常に大きく、それは良くも悪くも作用するのだが、今回の場合はいい方向に作用したので、よかったと楓は内心でほっとした。
「旦那様、次はどこにいきますか?」
「んー。そうだな。このまま食べ歩きを続けながら、時計塔を目指そう。あそこなら、多分二人で静かに過ごせると思うし、少し休憩しよう」
「わかりました。あそこいい景色ですし、私たち専用の場所ですから、楽しみです」
「だろ? 賑やかなのもいいけど、ミルと静かに景色を眺めるのも俺は好きだよ」
「私もそうですよ。というか、旦那様がいれば大抵のことは幸せです。でも、一昨日のように、暴走してしまうと私はすっごく不安ですし、悲しくなります」
「それは……本当に悪い」
「えぇ、私は心が広いので許してあげます。旦那様が弱ったときに支えるのは私の役割ですから!」
「ははっ、それは頼もしいな」
ミルの言葉に、楓は自然と笑みをこぼしていた。
それは馬鹿にしている笑いではなく、安心感からくる柔らかいものであった。
確かに、また楓は何かの拍子で暴走してしまうかもしれない。
でも、その時にはミルがまた助けてくれるのだろうなと、楓は隣で恥ずかしそうに手を繋いでいるミルを見て、そう思うのであった。




