迷宮探索 15
「なんか、凄いね…」
「だな、これは予想外だ…」
第二十階層のボスを倒し例の如く階段を降りて来たのだが、目の前に現れたのは自然一杯の草原?だった。だが、なんというか…モンスターパーティーか?という位魔物がいる。ざっと見て500はいる。そこまで強くはなさそうだがいかんせん数が多いので危ないな。そこまでこの階層自体大きくないから多分魔物の大群の奥に階段があるのだろう。
「これ、どうするの?」
「どうするも何も全部片付けないと下の階層に行けそうにないからな…二人で魔法ぶっ放して倒そうと思うけどいいか?」
「うん!」
日向にすれば俺の役に立てるチャンスなので俺に頼られるのは最高に嬉しいようだ。
「じゃあお互い適当に数を減らしていくか。マリー!」
「はーい!なんでしょうか?ご主人様?」
「マリーは日向の護衛を頼む。日向が危険になりそうだったら全力で守れ」
「りょーかいしました!これが私の初任務ですね!」
そうなるな。基本日向が危険にさらされる事なんてほとんどなかったからな。
「それじゃあよろしく頼むな。日向、合図をしたら一斉にやるぞ。多分ここは迷宮だから思いっきりやっても傷つかないだろう」
『マスターが全力を出すとこの世界そのものが潰れるのでやめてくださいね』
分かってるよ。今回は日向の出力に合わせて魔法を放つつもりだ。日向の出番を奪う程馬鹿じゃない。
「よし!いくぞ!」
合図を出すと日向は自分の自慢の武器シヴノアスから魔法を繰り出す。
「そりゃー!久しぶりに全力の魔法を放っちゃうよー!」
楽しそうである。今のでだいたい50体くらいは死んだかな?俺もやるか。
「ほい」
俺は武器も何も持たずに手の平を魔物達に向けて魔法を放つ。風属性の魔法を放ったのだが皆一様に首と体がお別れする。これもおおよそ50体位はやっている。
残り400体。奥の魔物ほど強くなっていくみたいだな。
お、空を飛んできた魔物がいるぞ。あれはハーピーか。初めて見たけどただ空を飛んでちょこまかと攻撃をしてくるだけで全く俺も日向も傷を負わない。多分こいつらは空を飛ぶのにステータスを使いすぎて攻撃の威力が少ないんだろうな。
と、俺は考えていた。普通ならそこそこ傷を負うので冒険者からは厄介な魔物の一体として有名なのだが、二人はまだ冒険者になって日も浅い為それを知る事はない。日向が世界資本で調べるかナビちゃんが、教えるかをすれば別の話だが…日向はそんな余裕がなくナビちゃんもあまり重要性を感じておらず俺には伝えていない。
それから10分位して残り約100体を切るところ迄やってきたのだがここからが問題だった。
だんだん一体ごとのステータスが上がっていき日向の魔法も効きづらくなってきた。それでも着実に数は減らせているのだが…
「そろそろ魔法はやめて近接戦闘といこうか。日向も体術のスキルレベルを上げたいだろうからな。これで敵を殴るといい」
そう言って日向に渡したのはナックルの様な物だった。これで殴れという事であるちなみに武器の性能だが…
〜伝説級〜
爆裂拳
筋力+1500
体力+1500
敏捷+1500
火属性
自動照準
と壊れ武器である。一応近接戦闘は日向の専門ではない為武器の性能を上げておいた。これは日向にプレゼントだ。この武器は殴るとその名の通り殴った所から爆発が起き威力が増すのだ。
しかも自動照準が付いている為素早い相手にもナックルが自動で相手に合わせてくれる優れものだ。
初心者にも優しいとはこの事だな。
『優しすぎますけどね…』
日向なら上手く使うだろう。それより俺も自分の武器を持って準備をしよう。
「ありがとうね、これで私も心置きなく近接戦闘が出来るよ。今迄あまり体を動かせなかったから楽しみだなぁ」
日向は体を動かしたかった様である。まぁ魔法職は基本後衛だからしょうがないか。
「あぁ、その武器は伝説級の武器だからあまり他の人に譲るなよ。騒ぎになる」
逸話級の武器でも充分騒ぎになる気がするが伝説級なんてこの世界に歴代でも数個しかなかった超レア物なのでそれを市場に流すとなると100パーセント市場が荒れる。
「当たり前だよ!楓くんから貰った物を売るわけないじゃん!」
日向に怒られてしまった。でも作った側としては嬉しい限りだ。
「そうか、それは嬉しいな。じゃあそろそろ近接戦闘に移るとするか」
先行して俺が走り出して目の前にいたゴリラの様な魔物に斬りかかる。それが合図とばかりに日向もナックルを着けて敵に殴りかかる。たまに蹴りも入れているのは体術スキルの為だろう。スカートの中身が見えますよ日向さん。
俺は紳士だからその中を覗くような真似は一切しないが…駄目だ、魔物を斬るのに集中しよう。
日向はマリーが付いてるから大丈夫だろう。
俺も目の前に来た魔物を全て斬り捨てていく。
そうしているうちにだいぶ数が少なくなっていき最後の一体は日向とコンビネーション技で倒した。初めてだったにもかかわらず上手く技が繋がった。
「最後の二人でやったの意外と上手く出来たね」
「そうだな、日向が殴って飛んで来た奴を俺が斬るって感じだったな。なかなか良いコンビネーションだったな」
二人共上手く出来たと感じている。
「しかしこの階層はなかなか新しい感じだったな。魔物を倒すのがメインで階段を探す事をしなくていいのは楽でいいな」
「そうだね、体を動かせて楽しかったし」
「それじゃあ遅くなったけどここら辺で休むとするか。ちょうど魔物も片付いたし多分出て来ないだろうからゆっくり寝られるだろう」
「そうだね。じゃあ準備しよっか」
二人は魔物を倒す方が楽と言っているが、普通はあんな数の魔物が目の前に現れたら一つの国の最大戦力を駆使してなお被害甚大だろう。それを軽く一時間程度で片付けるのだからこの二人の馬鹿さ加減が分かるだろう。まぁS級ともなればそれが当たり前だが…それでも時間はもっと掛かるだろう。
「今日はビーフシチューでも作るか」
「あ、じゃあ私も手伝うよ!家で作った事あるし!」
「それは助かる、じゃあやるか!」
「うん!」
二人共和気藹々と、夕食の準備に取り掛かるのであった。




