作戦開始
受験勉強のストレスをぶつけるように突発的に更新しました。
楓はナビに念話で事情を説明していたため、楓たちは思っていたよりも早く合流することができた。
日向たちはデスハイム王国の護衛者としてこの都市へやってきたのだが、今は緊急事態のためそちらの仕事は一時的に抜けてきていた。
その話を聞いた日向たちの指揮官は露骨に嫌そうな顔をしたのだが、騎士団長であるグレンの一言ですぐに楓の元へと向かうことが許可されたのだった。
「お、日向たち! こっちだ」
「旦那様……そろそろ動かないとこの都市が大変なことになります!」
「あぁわかってる。そのためにみんなを呼んだんだ。パパッと方針を説明するから聞いてくれ」
きっとミルは自身のスキルである千里眼で外の状況を自分で確認したのだろう。
その顔はいつになく焦っており、一度大量の魔物を退けた経験があるのにもかかわらず、今にも泣きそうな様子であった。
「今回の敵は外の魔物だけじゃない。かなり複雑だから、丁寧に対応していかないとどの道この都市は潰れる」
楓は確信を持って日向たち全員にそう伝えた。
そう、今回の敵は外の魔物が本命ではないのだ。以前であれば、ただ魔物を倒すだけだったので、簡単ではあったが今回はそんなに楽な仕事ではないのである。
その話を聞いてミルとは異なりもう一人、苦々しい表情を浮かべているものに楓は視線をやるとさらに言葉を続ける。
「イリア、お前には天界の対処をしてもらうぞ?」
「うぅ、悪いと思ってる。まさか、こんな時にイレギュラーが起こるなんて……」
「カエデ、どういうこと?」
当然、急にイリアに話をふっても、察しが付いているイリア以外は皆何を言っているのかわからないと楓に説明を求めるような視線を向けた。
ここには、シェリンやルークもいるのだが、楓はそこに配慮をすることなく堂々と説明に入った。
「俺たちの本当の相手は3方面にある。一つ目は今進行してきている魔物だ。これは言ったらそこまで脅威じゃない。俺たちでなんとかできる範囲だ」
楓はそう断言しながら今も涙目になっているミルを落ち着かせるように頭を撫でる。
すると、他の楓の妻たちも自分もして欲しそうにミルのことを見るのだが、流石に今は惚気ている時間がないため他の妻たちに「ごめん」とだけ言って諦めさせた。
一方、ミルは嬉しそうに照れており、先ほどまでの怯えた様子は一切なかった。
こうも立ち直りが早い妻を持って頼もしいと感じる一方で演技なのでは? と思わず勘ぐってしまう楓でもあった。
「二つ目、これが問題なんだけど多分天界でそこそこ力の持った神が裏で人族と協力して何かを企んでるんだ。だろ?」
「うん。まだ特定できていないけど、少なくてもマーズと同等程度の力は持ってるはず」
「ってことは、この世界の神様と同じレベルの力は持ってるってことか。なるほど、それは面倒だな」
「あぁ、色々と謎は残ってるけど、俺の探知魔法が発動しなかったことも鑑みて結構厄介な相手が待ち受けていると考えてもらって構わない。まぁその相手はイリアに頼むけどな」
「任せて、しっかりとお説教してくる」
イリアは楓に向かってVサインを作りながら頷いた。
全く反省していなさそうだが、この件に関してイリアは全く悪くないため、楓も責めるに責めれなかった。
「……ごめん。途中から話についていけなかったんだけど、その女の子が神様ってことで良いのかな?」
「そうだな。と言うか、今の説明だけで納得できたんだな」
「まぁね。まだ少し腑に落ちないこともあるけど、大方納得できたよ」
「僕も同じ感じだね。結局、僕はやってくる大量の魔物を倒せればそれで良いからさ」
ルークは今、目の前で行われていた会話に冷や汗をかきながらもどこか納得するように頷いていた。
シェリンはと言うと、もとより興味がなかったのかイリアを前にしてもどうでも良さそうに城壁の方を見ながら戦えるのを今かいまかと待ち望んでいる様子だった。
そんな二人の様子を見て、二人とも違うベクトルで頼もしいなと楓を含め『無限の伝説』の全員が思ったのであった。
「三つ目は……まぁこっちはミルのお父さんに頼むからいいか。とりあえず、俺たちが気をつけるのはこれからやってくる魔物の進行を止めることと、途中で横槍が入ってきたときの対処だな。今回も日向たちはできるだけ三人一組で動いてくれ」
楓がそう締めると、日向たちは即座に三つのグループに分かれる。
パワーバランスや、チームワークにムラが出ないために不備があれば途中で楓が指摘しようかなと思っていたのだが、思っていた以上に考えられているチーム分けで楓からは何も言うことがなかった。
一チーム目は日向、エリス、ナビ。
二チーム目はミル、ルミナ、ミリア
三チーム目はルーナとヒストリア、そしてセバスに補佐に入ってもらい三つのチームが作られた。
どのチームも前衛と後衛、そして補佐がバラけており、力の差もいい感じに分かれているので、うまく対処できるはずである。
もちろん今回もアルとルシフェルには各々適当に暴れてもらい、ルークとシェリンには二人で行動してもらう予定である。
残った楓はと言うとある程度魔物を殲滅した後に邪魔をしてくるであろう本命の敵との対峙のために魔物殲滅だけに集中することはないようにしている。この様子だと、楓のサポートがなくても本当に倒してしまいそうなので、全て任せきることにした。
「じゃ、神様チームは神界の方を頼んだ」
「任された。ってことで二人とも行こうか」
「「はい」」
イリアがそう言うとマーズとミーシャは頷き、三人同時に一時的に天界へと帰って行った。
その際に、大きな光の柱が三本現れ、イリアたちを天へと導いていったのだが、あまりの光景に再度ルークは苦笑いでその光の柱を眺めていた。
そんな中、楓はもう帰ってこなくていいけどななどと一人で考えながらイリアたちのことを眺めていたのであった。
どなたか勉強の時間の作り方を教えてください泣




