久しぶりの再会 1
「楓くん、久しぶり!」
「旦那様、お久しぶりです!」
「カエデ様、何か困ったことなどないでしょうか? もう一ヶ月以上もお世話できていなくて心配でした!」
「久しぶりカエデ。エリスほどじゃないけど、私も寂しかったわ」
「私はマスターが足りません。マスター不足です」
「か、カエデ! 私も寂しかったぞ!」
「ダーリンの匂いだ」
「カー君、元気にしてた? 私たちと会えなくて寂しかった?」
日向たちはデスハイム王国から出発して二週間も経たないうちにストレア中立都市に到着していた。
楓たちはここにたどり着くまで二週間以上経っていたが、まぁ楓たちは日向たちと違ってその辺の村によってその村の名物を食べてゆっくりときていたので当然といえば当然だが、それにしても百人以上もいるこの隊列を率いて二週間弱でたどり着くことができたのは紛れもなく日向たちのおかげであった。
日向たちが道中の魔物をほとんど殲滅して足止めをする必要がなかったおかげでそのまま減速することなくこの都市にやってくることができたのだ。
久しぶりに見るルシフェルとセバスが心なしかやつれている気がしないでもないが、楓は一旦ルシフェルたちをおいておいて一ヶ月ぶりに会う日向たちとの再会を素直に喜ぶことにした。
「久しぶり。俺も寂しかったよ。みんな元気そうで何よりだ。ミルのお父さんも元気にしてたか?」
「お父様からの伝言で『次に会う時が楽しみだ』と言っていましたよ?」
「なるほど、怒られるのは確実だな……まぁ、それでもこうして会いにきてくれて嬉しいよ」
「何回転移魔法を使おうかと思ったけど、自分たちの力で頑張るのも必要だなーって思ってみんなでがんばったんだよ!」
日向はわかりやすいほどに褒めて欲しそうな感じでそう言ってきたので、楓は笑みを浮かべながら全員の頭をそっと撫でる。
ここで一人やってしまうと全員が同じような素振りを見せて収拾がつかなくなるのはわかっているため、楓もあらかじめ先手を打っておいた。
最初は楓も全く女心がわからなかったが、流石にもう日向たちのことならばしっかりとわかってきているのだ。
「ついでに今の宮廷魔術師たちの様子も見れてよかった」
「騎士団の方も道中でみっちりとしごいてやったし、一石二鳥だな!」
「元騎士団長と元宮廷魔術師長に見られるってかなりのプレッシャーだっただろうな」
「すごく騎士団長と宮廷魔術師長がやりにくそうだったわよ。珍しくルーナとヒストリアが真剣な顔で他の人に指示を出してたしね」
「おー、それは見たかったな」
「恥ずかしいからダメ」
「私もちょっとあれは恥ずかしいな。ど、どうしても見たいっていうのなら別だが……」
どうも道中のルーナとヒストリアはかなり真剣だったらしく、楓には見せない一面を出してまでそれぞれ騎士や宮廷魔術師たちのことを見ていたようである。
ルーナはともかく楓の中でのヒストリアは猫みたいでいつも甘えてくる存在なのでどうしても真剣に指示を出している想像がつかないが、本人たちが恥ずかしいようなのでこれ以上この話を掘り下げることは楓もするつもりはなかった。
「とにかく、みんなが元気で本当によかった。そうだ、この前買い物をしてた時に良さそうなものがあったから今のうちに渡しておくよ」
かわりに、以前ルークと買い物をしたアクセサリーを全員に渡していく。
渡す際にかなり緊張した楓だったが、楓の心配は杞憂に終わり、全員物凄い喜んでくれて、ミルなんか大切そうに胸に抱きしめていた。
他の面々もすぐにつけたり汚れないために保護魔法をすぐにかけたりしてすごい喜んでくれていることは楓にもよく伝わった。
「良かったねカエデ。喜んでもらえて」
「あぁ、一安心だ。」
「ちなみに、イリアさんとミーシャさんの分も後で買っておかないと大変なことになると思うけど?」
「安心しろ。その辺も抜かりはない」
最初は別にいらないかなと思っていた楓だったが、イリアたちの分も買っておかないと後で怖いことになりそうだったので念のためイリアとミーシャには日向たちと同じように宝石の中に星が嵌っているやつのネックレスバージョンを二つ購入しておいた。
その際にルークに「これは?」と聞かれた時の楓の誤魔化し方がかなり怪しかったが、なんとか誤魔化すことに成功はしていた。
「それはよかったよ。っと、僕はルシフェルたちのところに行ってくるよ」
「おう、ルシフェルにもこっちが落ち着いたらゆっくり話そうっていっておいてくれ」
「りょーかい」
そういってアルはルシフェルたちの元へと向かい三人で酒場へと向かっていった。
それはアルなりの配慮だったらしく、楓はそんなアルに目線で礼を言ってから日向たちと一緒に自分たちが泊まっている宿へと向かうのであった。




