ストレア中立都市に向けて 1
王城でのパーティーが開かれてから約一週間。
楓たちはバルバトスに呼ばれるまで特に予定がなかったため各々したいことをして過ごしていた。
例のパーティーではミルの暴走後楓たちはいろんな貴族や冒険者に小言を言われたが、今回は楓たちに非があるため素直にくる人来る人に謝罪をしていた。
出る杭は打たれるとはよく言われるが本当にそれで楓たちが珍しく隙を晒すとここぞとばかりに皆一斉に攻めてきて流石に後半は楓もちょっとイラッとしていたがなんとか持ち堪えることができた。
酷いものの中には「ポーションを譲ってはくれないだろうか?」などと言い出すものもいたりして怒ると言うよりかは楓も呆れの方が強くなっていたりもした。
流石にあからさまな奴にはこっそり退場してもらったりもしたが、とりあえず表面上は平和に終えることができた。
「楓くーん! ミルのお父さんから手紙が届いてたよー!」
そして今日ようやく会談の要項が決まったのかバルバトスから楓あてで手紙が届いた。
日向がそれを持ってくると一緒に見るためか楓の隣にちょこんと座って楓が手紙を開けるのを一緒に見ていた。
「一ヶ月後にストレア中立都市にて会談を行う? ストレア中立都市ってどこだ?」
「ルミナとかミルなら知ってるんじゃないかな? ミルのお父さんが選ぶところだから有名なところだと思うし……」
「中立都市っていうくらいだからきっとそういう会談専用の都市なのかもしれないな。後で、ルミナかミルあたりに話を聞こうか」
楓と日向はそう言って一旦全員を集めることにした。
今回の会談に関してはそこまで大人数で行っても多分邪魔になるため楓とマーズと後二、三人同行するくらいで向かおうと楓も考えていた。
どうせ会談にはバルバトスの護衛として楓しか参加できないだろうしその他のメンバーは観光してくれてもいいが、遊びに行くわけではないのでそれもできるだけ控えた方がいいだろう。
まぁ、楓はしっかりとやるべきことを終えたら適当にお土産を買って帰るつもりではいるが……
「私たちはお留守番?」
「やっぱり先週の私の行動のせいで……」
「納得できないわ。どうして私たちはいけないの?」
「カエデ様。私たちはいらない子なのですか?」
「マスター、私たちをほっといて向こうでまた新しい女でもひっかけてくる気ですか?」
「ダーリン、酷い」
「まぁ、カエデにも考えはあるのだろうが……」
「カー君とイチャイチャできないよぉ〜」
「待て待て、しっかりと説明するから」
案の定、楓が日向たちにお留守番をしておいてくれという旨を伝えると皆阿鼻叫喚してかなりショックを受けているようだった。
最近一緒にいる時間が多かったから久しぶりに離れ離れとなるが、ナビの余計な一言によって悲しむというよりかはどこか楓に責めるような視線を向けている。
今回、楓が中立都市に同行してもらおうと思っているメンバーはマーズ、イリア、ミーシャ、そしてアルの四人である。
この中にまともな人族が一人もいないのが少し不安要素ではあるが、楓はみんなにわかってもらえるように丁寧にこの人選の理由を話していく。
「まず一つ。これが最大の理由だが、日向たちは目立ちすぎるんだ。お世辞抜きで本気でみんな可愛いから道ゆく人が俺たちのことを注目してくる」
「それはカエデも同じじゃない。それに、その理由ではイリアさんたちはもっと危ないはずよ?」
「人数の問題だ。自意識過剰と言われるかもしれないが、俺たちのクランは全員が美男美女だ。そんな集団が一気に歩いていたらかなり目立ってしまう。それが他国となると尚更だ。あと、もし他国の貴族や王族が日向たちに惚れようものなら対処がめんどくさくなるんだ。その点、イリアもミーシャも自分でなんとかするだろうし心配いらないんだ」
「カエデ酷い」
「ですね。もし求婚でもされようものなら絶対になすりつけてやりましょう」
楓の話を聞いてイリアとミーシャは大袈裟に落ち込んだフリをする。
「お願いだからやめてね? というか、そうならないように気配を薄くするなり変装するなりなんとかしろ」
「了解」
「まぁ、最悪姿を消して見守ってますね」
「そうしてくれ。それで、最後にアルを選んだ理由だが、こちらは特に意味はない。強いて言うなればイリアとミーシャのお世話係ってところかな」
「では、なぜ我やセバスは留守番なのだ?」
「単純にルシフェルはお世話ができそうにないからとあとは二人には俺たちがいない間の仮クランマスターとして頑張ってもらいたい。何かあれば日向かヒストリアに頼んで魔法で転移してきてくれ。さて、俺から伝えたいことはこのくらいだが、何か質問はあるか?」
楓の話に皆納得はしたようで、数人まだ不満げにしているが特に異論は出てこなかったので楓はそこで話を締める。
後で日向たちにはご機嫌とりで残りの数日マッサージやらデートやらをすれば満足してくれるだろうしそこまでカエデも気にしていない。
これが必要なことだともわかっているだろうし、なんとかこれで納得してもらう。
「じゃ、出発までの残りの数日はみんなでマスターに構ってもらいましょうか」
「「「「「「賛成!」」」」」」
と、いうことで数日間楓は休む暇がないくらい日向たちに甘えられるのであった。




