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王城召集 6


 カレンとマーズのやりとりがひと段落ついた後、カレンはいったん落ち着くため外で涼んでくると楓たちのもとを離れたので楓たちも本格的にバルバトスがやってくるまでの間に食事を楽しむことにした。


 カレンの明確な怒りをぶつけられたマーズは少し申し訳なさそうにしていたが、今回のマーズに限っていえば別にマーズが悪いわけではなさそうなので楓たちも特に気にすることはないと慰めておいた。


「カレンさんが怒ることってあるんだな」


「だね。僕も本気で怒ったのを見たのは初めてだったよ。昔、僕が思春期でヤンチャをした時とかも怒られたけど、あれほどではなかったしね」


「マーズに向けた怒りには恨みや殺気が含まれていたからな。だが、話を聞くところによるとあれはマーズというよりかは神全体に対しての敵意だったな」


「まぁ、神にもいろんな種類がいるからね。多分、彼女も大変な思いをしたんだと思うよ。僕も結構悪い神に心当たりがあるからね」


 マーズはそう言って苦笑いを浮かべながら、でも少し悲しそうな表情をしながら楓たちにそう言った。


 どの種族にも悪い奴というのはいるようでそれは神様も同様のようであった。


 楓も今回に関していえばマーズには全く非がないことを理解しているので最後に「まぁ、ドンマイ」と肩を叩いて話を区切り一緒に食事を楽しむことにしたのであった。











 それから数十分後。


 楓たちも軽く食事を楽しみながら話しかけられる貴族や冒険者、商人たちと話をしているとようやくバルバトスの方も準備が整ったらしく国王としての凛々しい顔を浮かべながら楓たちの前に現れた。


 ちなみに、先ほどカレンがいたことからわかるように今回のパーティーは貴族だけではないようで大商人やSランク冒険者、高クランのクランマスターなども今回のパーティーに参加しているようだった。


 なのでどこかで問題が起こるのではないかと楓は少し心配していたが、どうやら高ランクの冒険者になればなるほど自制心なども持ち合わせているようで皆余裕のある笑みを浮かべながら食事を楽しんでいた。


 ただ単に荒っぽい冒険者に招待状を送っていないだけかもしれないが、楓は前者の理由だと信じたかった。


「皆、今回は我の招待に応じてくれてありがとう」


 バルバトスは一段上にある玉座の前に立ち、全員の顔を眺めながらそう言い始めた。


「帝国との戦争もあり、皆消耗しているとは思うが急遽こうしてパーティーを開かせてもらった。皆なら理由もだいたい察しているだろう。先の戦争のことだ」


 楓はバルバトスの話を聞いてだんだん「まずいのではないか?」と心配し始めたが、バルバトスは楓のことなどお構いなしに話を続けていった。


「先の戦争では皆よくやってくれた。そのおかげで予想外の勝利の仕方ではあるが不利である帝国との戦争に勝利を収めることができた。それも、今この王国で一番勢いのある『無限の伝説』のお陰であったと言っても過言ではないだろう。今回の戦争でもめざましい活躍をしてくれた」


 バルバトスがそういうとほとんどの者の視線が楓たち『無限の伝説』に向き同時に一斉に拍手が起こった。


 特に冒険者や今回の戦争に参加したギルドのギルド長は楓たちに心からの拍手を送っていた。


 逆に、戦争には参加しておらず楓たちのしでかしたことしか知らない貴族たちは楓たちのことを化け物を見るような目で見ているものがいたが、少数の貴族は他のものたちと同じく楓たちに心からの拍手を送っていた。


 まぁ、楓たちのことを妬ましいと思っているのは貴族にも冒険者にも少なからずいるようで大体楓たちのことをよく思っているのが六割、悪く思っているのが三割、なんとも思っていなさそうなのが一割くらいと大体いつもと同じくらいの比率だった。


「今の反応を見るに、先の戦争に参加してくれた戦士たちは『無限の伝説』のことを悪く思っているものはいないのだろう。だが、残念なことに貴族の中には『無限の伝説』の悪い噂を信じている節がある。そう、『無限の伝説』が帝国を滅ぼしてしまったのでは? とな」


 楓はバルバトスのその言葉を聞いてなぜこのパーティーが開かれたのかを察することができた。


 そう、要するにバルバトスは単純に楓たちの清廉潔白を証明したかったのだろう。事実が黒だということは関係なく。


 まぁ、『無限の伝説』はやっていないのでバルバトスも嘘は言っていない。やったのはその隣でバルバトスが話をしているというのに全く興味なさげに食事を楽しんでいる創造神ではあるが……


 実際器用に現在もバルバトスが嘘を言っていないかどうか真贋スキルで見ているやつもいるがそちらも反応していないところを見るにバルバトスの作戦は成功しているようであった。


「それは断じて否である。我も今回のことは誠に遺憾に思っている。王国のために戦ってくれた戦士たちにこのような疑いがかかってしまうことは断じてあってはならない。近日他国の王も合わせて『無限の伝説』の無実を証明してくるが、まずはこの国の中にいる『無限の伝説』をよく思っていない奴らにわかってもらいたかったのだ」


「発言をお許し頂けますでしょうか? バルバトス王」


「あぁ、どうした?」


「確かに、今回の『無限の伝説』は無実なのかもしれません。ですが、その力があるのもまた事実。それを危険に思っているものがこの中にも少なからずいるのも事実です」


 バルバトスに発言を許された貴族はそう言って楓たちの方を一度見る。


 バルバトスに発言を許された貴族がそういうと他にも同じことを思っていた貴族や冒険者、その他もろもろ先ほど楓たちのことを不快そうに見ていた人たちが頷いていた。


 その貴族もこうして反応がいいと気分がいいのか楓たちの方を見ながらドヤ顔を向けていたが、鬱陶しいので楓たちは皆無視しておいた。


 もちろん、イリアはそんなこと関係なしに楓たち以外には興味がないようだ。


「それで、彼らに何を要求するのだ?」


「まずはクランの解体ですね。あまり一つに力を集めるのは良くない。彼らをそれぞれ有力貴族たちの監視下におくべきです」


「もちろん、ミルテイラ王女にはもっとふさわしい男との再婚を強く望みま……」


「却下する。それを我が許すと思うか?」


「で、ですが、この考えをしているのは私だけではありません。他のものも同じような考えをしています」


「まず一つ、それを我が言った瞬間に彼らは我ら王国の敵になるぞ? 我はそれを得策とは思わないな。今はこうしてミルテイラのおかげで王国の味方をしてくれているが王国が彼ら『無限の伝説』に敵対すれば彼らも我らに刃を向けてくるだろう。その時はミルテイラも敵になるだろうな。実の父だということなど関係なく」


 バルバトスの言葉にミルは微笑みながら頷いた。


 まるでわかっているではないかと言いたげだったが、その笑みには若干殺気が混じっており先ほど他の男と再婚をしろと要求してきた貴族に向けて冷たい目を向けていた。


 当初の予定であれば丸く収まるはずだったパーティーも案の定邪魔な存在によってめんどくさい展開へと縺れ込んでいくのであった。

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