神の力、そしてそれを穿つもの 1
「「「『神を穿つ者』」」」
三人が声を合わせてそういうと三人の周りから純白の魔力とも神力とも言えない力がすごい勢いで発生し始めた。
その力は先ほどマーズが覚醒した時にも劣らぬ迫力があり、三人の『存在自体』が一つ上の次元へと変わったことを意味していた。
「面白い! 本当に面白い! 熱いなぁ!」
三人のレベルがまた一段階上がったことにマーズは喜色を浮かべながらそう叫んでいる。
三人はまだその力を完全に取り込めていないのかかなり苦しそうにしているが、マーズはその隙に攻撃するなどと言った無粋な真似はするつもりはないようで三人が覚醒して自分をもっと楽しませてくれるまで眺めているようだった。
まぁ、それも今やっているのが模擬戦だからだろうが……
もし、本番の戦場でいかにも強くなりますよと言っているのにも関わらずそれを待つものがいたのならそれはただの馬鹿以外の何者でもないだろう。
「アルたち、大丈夫かな?」
マーズがフィールドでアルたちのことを眺めている一方で日向たちも観戦席でアルたちのことを心配した目で見守っていた。
いくら日向たちがアルたちの強さを知っているとは言え今回ばかりは三人の異変を心配しているようだ。
「大丈夫だろ。あいつらならできるさ」
「でも、三人ともかなりしんどそうですよ?」
「だろうな。今三人が取り込んでいるのは魔力でもなければマーズたちが持っている神力でもない。あれは単純な『力』だ。普通ならあんな物を取り込めるはずないんだけどな」
「確かに、こんな芸当ができる生物は見たことがありませんね」
「私は何回か見たことがあるけど、あれをすると本人にすごい負担がかかる。多分、今彼らはすごい苦痛に苛まれているはず。よく発狂しないで我慢してるね」
楓に続いてミーシャとイリアも今三人が行なっていることを日向たちにもわかるように解説していく。
創造神であるイリアが『何回か』しか見たことがない現象を起こしていることに日向たちは内心でかなり驚いているが、それ以上に今かなりの苦痛に苛まれているということを知って心配そうな目でアルたちの方をみる。
そこには確かに苦しそうに歯を食いしばっている三人の姿があったが、確実に迫力は増していき最初には考えられないほどの迫力を日向たちは感じていた。
「そろそろだな」
一方で楓はどこか嬉しそうにアルたちのことを眺めており、楓がそう呟いた瞬間三人を纏う光は一気に大きくなっていき最後に大きく光ると一気にアルたちに吸い込まれていった。
光が三人の中に取り込まれた瞬間今までで一番苦しそうな表情を浮かべながら軽く「うっ」と唸っていたがなんとか意識を失うことなく両足で立つことができた。
そこが三人にとっての最後の山場だったようで、光を大量に取り込み終わった後は満足そうに笑いながら各々ハイタッチをしていた。
「成功したみたいだ」
「あれだけの力を吸い込んだのです。きっとかなり強くなったのでしょう」
「うん。あの様子だとマーズも本気を出しても負けちゃうかもね」
「そ、そこまでアルたちは強くなったの……んですか?」
「その答えはすぐに出ると思いますよ」
最初、どう見てもアルたちに勝ち目がなかった試合に対してミーシャとイリアが二人ともアルたちの方が優勢だと言い出し思わず日向も敬語を忘れてしまうほど動揺してしまった。
ミーシャはそんな日向の姿を微笑ましく思いながらそこを指摘することなく視線をアルたちの方に向けるように促した。
すると、ちょうどアルたちも早速戦い始めるようで不敵な笑みを浮かべながらどんどんと先ほど吸収した力を使用していく。
「へぇ? これは思った以上だ! こうなりゃ全力で行くしかねぇな!」
「それは怖いね。神に全力で来られるなんて、怖くて泣きそうだ」
「ハッ! 思ってもないことを言うもんじゃねぇぜ!」
「やはり、すごい迫力だな。だが、もう我らもやられっぱなしと言うわけにはいかないからな。せいぜい楽しませてもらおう」
「アル様、ご主人様。タイミングはお任せします」
「「了解!」」
アルたちの準備が完了したのを見たマーズが一瞬で距離を縮めてくる間にセバスはそれだけ言って姿を消した。
アルとルシフェルはセバスのその言葉に反応すると迫り来る神を相手にするために最初から出し惜しみなしのフルパワーでマーズを迎え撃つようで一気に力を解放させるのであった。




