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転生者の力(笑) 6


 他の三人が戦っている同時期にルミナもまたここにいる最後の転生者の男と対峙していた。


 こちらはどちらも剣が得意武器ということでお互い自分の愛剣を手に携えている。


「俺の相手はお前のようだな。俺の名前はコウスケ、必要ないと思うが一応名乗らせてもらうぜ」


「あら、意外と騎士道を理解しているのかしら? まぁ、名乗られたら名乗り返すのが筋ってものね。私の名前はルミナよ。一応、昔は勇者の末裔として王都の学院にいたわ」


「へぇ、お前は学院生か。って待てよ? 勇者の末裔って確かお家騒動で解体されたと聞いたが……」


「そうよ。だから元ってつけたでしょ」


「なるほど、お前も色々ありそうだな。勇者の末裔ってことはそれなりに楽しませてくれるんだよな?」


「どうかしら? 貴方が一方的にやられるのを楽しいと思えるのならば、楽しくなるんじゃない?」


「ハッ、威勢はいいなぁ! これは本格的に面白くなりそうだぜ」


 ルミナの挑発的な態度が気に入ったのかコウスケは獰猛な笑みを浮かべて油断することなくルミナのことを観察している。


 どうやら、コウスケだけは他の転生者と違って女だからと相手を見くびることなく全力で戦うことにするようで他の転生者と違う雰囲気を醸し出していた。


 一番好戦的で野蛮児だと思われていたコウスケが一番冷静に人のことを見ることができるのはなんともおかしな話なのだろうが、唯一コウスケだけがルミナに対して危機感を持っているのか先ほどから真剣な目つきでルミナのことを隈なく観察しているようだった。


 ルミナもそれに気がついたのかボソッと「当たりね」と呟いてそれ以降無駄口を開くことなくこちらもコウスケのことを観察することにした。


「見れば見るほど、勝てるビジョンが思い浮かばねぇんだが、お前一体何者なんだ?」


「あら、他の転生者と違って貴方は冷静なのね。どうやら、他のところでは私たちの力を全く信じていないようだけど……まぁいいわ。私? 私はギルド『無限の伝説』のメンバーの一人兼世界最強の夫を持つ妻ってところかしら?」


「なるほど、さっきも聞いたが『無限の伝説』がここまで化け物集団だったとは……まぁ、それでも簡単に負けるつもりはないぜ」


「あら、秘策でもあるのかしら?」


「俺らには異能があるんでな。まぁ、俺らのリーダーの異能に比べたら俺の異能なんて些細なものだろうが、他の奴らよりかは強い異能をもらったと自負している」


「へぇ、それならその異能を早速使ってくれるのかしら?」


「あぁ、存分に楽しんでくれ!」


 コウスケはそういうと目の色を黒色から黄色に変えて勢いよくルミナに攻撃を仕掛けた。


 ルミナは急に襲いかかってきたコウスケに驚くことなく冷静に剣で対処をするのだが、そこである異変に気付きそれによってコウスケの異能の正体を暴くことができた。


「なるほど、貴方の異能は魔眼ってわけね。若干手がしびれたところを見るにその目の時は相手を麻痺させる効果があるのかしら?」


「普通ならこの魔眼が開いた時にはすでに勝負がついているんだがな。本当にそもそも人間かどうかすら怪しくなってくるぜ」


「悪いわね。魔眼持ちなら私の仲間にもいるのよ。しかも、貴方の普通の魔眼と違って私の仲間の魔眼は神眼なのよ。だからその程度の魔眼ではあってもなくてもほとんど変わらないわ」


「神眼って……流石に冗談キツイぜ。あれはそれこそ神が使うような代物だぞ? それをただの人間が使いこなせるわけが……」


「それを可能にするのが私たち『無限の伝説』なの。それに、神眼を持っているのは人族じゃなくて魔王だから関係ないわ」


「魔王って、この世界の魔王はそこまで強くなかったはずなんだがな」


「えぇ、だってこの世界の魔王じゃないもの」


「あぁ、わかった。お前たちは本当にヤバい集団のようだ。俺たちの常識で測れるほど可愛い存在じゃないみたいだな」


 ルミナの話を聞いてコウスケは大体察したのか、それもと諦めが入ったのかは知らないがそれ以上ルミナの説明を聞くことなくこのままでは自分に勝ち目がないと悟ったのか一度目を閉じてから深呼吸をして魔眼を開花させる。


「このままでは俺に勝ち目はないみたいだな。流石に俺もここまでするつもりはなかったが仕方がない。神眼とまではいかないが、全力でいくぜ!」


 コウスケの魔眼は先ほどのような可愛らしいものではなく眼の中に幾何学模様を発生させて普通の魔眼ではないことは一目見てわかったルミナだったが、だからと言って焦ることはなくこちらは冷静に剣を構えてコウスケがやってくるのを目を瞑って待つ。


 今のコウスケは自分で自我を維持するのでさえ難しい状況で現在抑えがたい破壊衝動を糧にしてルミナに襲いかかっている状態なのだが、そんな自分にさえ全く焦った様子のないルミナにコウスケも薄い意識の中で疑問に感じたが、だからと言ってもう攻撃する手を止めることはできずに先ほどとは比べ物にならないほどの魔眼の威力とともに剣で攻撃をしていく。


「もしこの状態を貴方が自分で維持することができたらもう少し楽しい戦いができたでしょうけど、今の貴方は獣のそれとなんら変わらないわ」


「何をぉ!」


「殺しはしないけど、かなり痛いわよ。覚悟しなさい」


 ルミナはコウスケにそういうと一瞬でコウスケの四肢を切断し強制的に戦闘不能にさせた。


 これでは殺したのと同然だと思うかもしれないがあとで日向に四肢を復活させてもらえば済む話なのでなんら問題はない。


 それよりもルミナは今先ほどコウスケが言っていた残りの一人の転生者であるリーダーのことについて考えるのであった。

 

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