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戦場 2

バルバトスは楓とカナンを注意すると、そのまま誰にも主導権を握らせないように一気に話しておかないといけないことを話しきった。


その有無を言わさぬ様子に話を聞いている楓とカナンは顔が引きつっていたが、誰もそれに触れることはなかった。


「……ということだ。なので、私も軍師を全員連れて戦場へと行き少しでも士気を上げるつもりだ」


「それはさすがに無茶じゃ無いですかね? ミルのお父さんはこの国の国王なんですよ? 万が一があったらどうするつもりなのですか?」


「それには俺も同感だね〜。軍師が来るのは当然だけど、国王様までくるのはやりすぎだよ〜」


 バルバトスの断固たる宣言にさすがに楓もカナンも黙っていられないのか、バルバトスを王城に止める説得をしている。


 カナンの言う通り軍師は戦場では必須のカードになるので確実に戦場に赴いてもらわないといけないのだが、わざわざバルバトスまで戦場へとくる必要はなかった。


 万が一バルバトスが死ぬようなことがあれば、たとえ戦争に勝利したとしてもデスハイム王国は滅びてしまうだろう。そのくらい、国王というのは国にとって重要である存在なのだ。


「そんなに心配ならカエデが守ってくれればいい。どうせ今回はカエデの出番はそこまでないのだから、問題はないだろう? それとも、私のことを護衛する自信がないとでも?」


「別に護衛する程度なら簡単ですよ。ネズミ一匹すら通すつもりはありません。ですが……」


「なら問題ないな。よろしく頼む」


「はぁ……わかりました。クランの誰かはミルのお父さんの護衛につかせることにします」


 これ以上何を言おうともバルバトスの意思が変わらないことを察した楓はため息をつきながらそう言ってバルバトスの同行を許可した。


 楓の独断で決めていいことではないのかもしれないが、この状況では誰であろうとも許可をせざるを得ないので誰もそれ以上文句を言うことなく、騎士たちはバルバトス用の馬車を用意し始めている。


 ちなみに、楓たちはカナンと一緒に走っていくつもりだったのだが、バルバトスが付いてくるということなので歩きでバルバトスの馬車を護衛しながらすでに騎士たちが野営をしているところまで向かうことになった。


 冒険者ギルドの方も志願者や高ランククランの冒険者たちはすでにそちらの方へと向かっているそうなので、そこで何人かの顔なじみとは会うことになるだろう。


「さて、準備もできたようなので出発しますか。大丈夫ですよね?」


「はい。国王様も馬車の中に入られたのでこのまま出発していただいて構いません。私たちは馬車の左右、後ろに付いて歩きますので先行の方よろしくお願いいたします」


 楓に質問された騎士は少し緊張した様子ながらも先ほどの騎士のように噛むことなく必要なことを楓に伝える。


 どうやら、楓たち『無限の伝説』たちとカナンが先頭で襲いかかってくる魔物たちを倒しながら進む作戦のようだ。そのため、残りの騎士たちはバルバトスの馬車の周囲を万が一がないように護衛しながら目的地へと向かうようになっている。


「了解です。カナンもよろしく」


「了解〜」


 楓は騎士の話を聞き終えると騎士に合図を出して城門を開けてもらいカナンに案内をお願いして歩き出した。


 住民たちも今回の戦争のことを知っているようで、城門が開いて楓たちの姿を見た瞬間大きな歓声が上がり、このままではパニックになるのではないかと楓は心配したが、住民たちもその辺は弁えているらしく誰も楓たちの前を邪魔することなく家の中や屋根の上から楓たちの姿を見て喜んでいた。


 ちなみに、先ほど楓が城門の前で騎士の数を確認してみたところ大体五千人ほどの人数がおり、ほぼ全ての人たちが指揮官だったり軍師だったりとかなり地位の高い人たちばかりであった。


 一般騎士や指揮官の中でも下っ端の騎士たちはすでに野営地にて全員が休める用意をしているようである。


「カナン、目的地までは徒歩でどのくらいの距離なんだ?」


「ん〜このペースだと一日はかかりそうだよ。俺たちだけで走って行ったなら半日もかからなかっただろうけど、ここまで人数がいる中での移動となるとそれなりに時間がかかっちゃうね〜」


「楓くん、襲ってきた魔物ってどうしたらいいの?」


「基本はこちらに来る前にこの中の誰かが討伐って感じだな。わざわざ魔物のいる方まで走って倒すのも時間ロスになっちゃうから遠距離攻撃のできる日向たちにお願いしたい。できるか?」


「うん!」


 楓に頼られて嬉しかったのか先ほどまでまだ若干機嫌が悪かった日向たちは一気に機嫌を取り戻して頷いた。


 これで遠距離攻撃ができるミルたちの機嫌は直ったのだが、そのせいで近距離攻撃を専門としているルミナやエリス、ルーナの機嫌がさらに悪くなってしまい、日向たちとは仲良く話しているのに楓と話をするときだけ明確に不機嫌な態度をとっている。


 しかも、それを日向たちが注意してくれればきっと丸く収まるのだが、先ほどまで自分たちもルミナたちと同じ気持ちだったためか、全くその件については触れることなく逆に楓のことをいじめるようにルミナたちと話をしている。


「あ、あのールミナたちにも頼みたいことがあって……」


「しょうがないわね。何?」


「やっぱり魔法だけだと撃ち漏らしもあるかもしれないから、ルミナたちも一緒に魔物を倒してくれると心強いんだがいいか?」


「ふんっ、そんなの余裕よ! 任せなさい!」


「お、おう。頼んだ!」


 同じく、楓に頼まれたルミナたちも先ほどの日向たちと同じようにわかりやすいほどに機嫌が良くなった。


 楓も扱いやすくてまだ助かっている方なのだが、こうも気を回さないといけないとなると、「女の子って大変なんだなぁ」と今更ながらに実感することになった。


「カエデも大変だな。一夫多妻だとこういった苦労もついてくるのか」


「まぁ、儂の娘を娶っておるのだから、カエデにもこのくらいは苦労してもらわないとな」


 アリウスとジャンは互いにそんなことを話しており、楓のことを面白そうにみていた。


 アリウスはすでに魔王となったので望めば楓と同じようにハーレムを築くことができるのだろうが、楓たちの様子を見ているアリウスはとてもそんな気持ちにはなれず、ただただ楓は大変なんだなと思うだけなのであった。


 ちなみに、当人である楓は多少気を使わないといけないところがあるのは事実だがそれ以上に日向たち全員といる幸せの方が何倍も勝っているためそこまで苦に思っていることはなく、なんだかんだ言って楓も日向たちも楽しそうにじゃれあっているのであった。

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