楓のミス
「ほう、ここがカエデ達のクランハウスか」
「すごい綺麗にしているんだね。とても立派なクランハウスだ」
「メイド達がすごく優秀なんですごく助かってます」
軍部会議も無事終了し楓たちはバルバトスに言われた通り一度クランハウスへと戻ってきて色々と明日の準備をすることにした。
せっかくなのでアリウスたちやジャンたちにもクランハウスで一日過ごしてもらおうと全員一緒にクランハウスの前まで転移してきたのだが、クランハウスを見てジャンとジルが関心するようにそんなことを言って楓たちを褒めていた。
「私たちも本当にいいの?」
「あぁ、今日は俺が料理を作るから、楽しみにしといてくれ」
一方でミリアはなぜか萎縮しておりそんなことを楓に聞いていた。
まだ出会って間もないがミリアのイメージ的に常に笑顔でニコニコしている感じだったのでしおらしいミリアに楓も少し戸惑ってしまうがその後は微笑みながらミリアの頭を撫でながらそう言った。
「ほんと!」
「旦那様の料理はものすごく美味しいですし、楽しみです」
「マスターの料理は格別ですしね」
楓の話を聞いてミリアよりも日向たちが大きく反応しものすごく喜んでいる様子だった。
最近楓が料理をすることがなかったので日向たちだけでなく楓の料理の美味しさを知っている『無限の伝説』の全員が嬉しそうに今日の夕食を楽しみにしていた。
それをみてジャンたちはもちろんのことミリアも楓の料理に興味をそそられたのか先ほどのしおらしい顔ではなくなりいつもの笑顔に戻っていた。
「なんか、久しぶりに帰ってきた感じがするな」
「ダーリンと一緒にいた時間が濃すぎたからかな?」
ルーナとヒストリアはクランハウスの中へと入ると安心したのかホッと息を吐いてそんなことを呟いていた。
二人ともまだ楓と結婚して日は浅いかもしれないがそれでもこうしてすでに我が家として認識してくれていることに楓は心が温かくなるのを感じつつメイドたちにアリウスたちを部屋に案内してもらい楓は自室へと戻ってきた。
楓も明日からに備えて色々とやっておきたいことができたので早々に自分の部屋へと戻ってき、日向たちもそれを察しているのか誰も楓の部屋に訪れることはなかった。
「よし、まずは武器作りだな」
楓は最初にといつかの学園で使用していた鍛治道具一式を取り出してジャンたちやアリウスたち用の武器を作っていく。
今回楓はスキルに頼ることなく自分の技術のみで作るためそこまでぶっ壊れた性能のものが出来上がることはないだろうし『創る』のではなく『作る』ので性能もおかしなことにはならないはずである。
と言っても楓のステータスをフルで使えばスキル関係なくおかしなものが出来上がってしまうので当然ステータスも落としてある。大体そうステータスは元魔王くらいだと考えてもらって大丈夫だろう。
それでも楓は武器を作り慣れていることもあって普通に今ジャンやアリウスたちが使っている武器よりかはいいものが出来上がる予定なので明日からの戦争で存分に使ってもらおうと気合いを入れて武器を作っていく。
ちなみに、室内でそんなことをしても大丈夫かと思うかもしれないが楓の部屋はすでに色々と改造済みなのでちょっとやそっとでは傷すらつかないようになっているので問題はない。
「久しぶりに打つから最初はなまくらが出来上がるだろうし……最初は鉄でいいか」
楓はストレージの中から以前学園で武器作りの授業をしたときに余ってしまった鉄を取り出して軽く鉄剣を作成する。
ほんの三十分ほどで1本の鉄剣が出来上がり、質も普通に武器屋で売っているものの何十倍もいいものだったが楓はそれを乱雑にストレージの中にしまうとこれからが本番と見るからにレアそうな鉱石を取り出した。
ちなみに、三十分で武器を作ることが可能なのは楓だけで普通は鉄剣を1本作るだけでも5時間ほどかかってしまうが楓なので仕方がない。
「ん、出来はそこそこだったな。特に腕が鈍っているわけでもなかったし最初はミリアの武器でも作ってやるか。素材はこれで大丈夫だし」
楓はそう言って魔法を発動させ鉱石の不純物を取り出し現実ではあり得ない純度100パーセントの鉱石を創り出した。
ちなみに、誰も質問する人物がいないので鉱石がどのくらいレアかなどもわからないだろうが実は楓が今取り出した鉱石はオリハルコンとなっており楓が召喚獣を使って自分で採掘したものである。
たまにこうして趣味で武器を作ったりするので召喚獣を使って鉱石を取りに行かせているがたまたま見つけたのがこのオリハルコンだったのだ。
このことをナビに話すと『召喚獣をなんて無駄なことに使っているのですか……』と呆れられてしまったが楓は全く反省はしていない。
「マスター、明日のことで相談があるのですが……」
「ん? ナビか。ちょっと待ってくれ。今ミリアたちの武器を作っている最中なんだ」
「また性能がおかしなものを作っているのではないでしょうね?」
「たぶん大丈夫だ」
「いや、その鉱石……はぁ」
楓はナビのため息が聞こえた気がしたが、気にしないことにしてミリアの武器を作り上げていく。
オリハルコンを使い、尚且つ楓がめちゃくちゃ本気で作ったこともあって1時間ほどかかってしまったがその分ものすごくいい出来上がりのものが楓とナビの前に置かれていた。
「よっし、できた!」
「できた! じゃないですよ。自重はどこに行ったのですか?」
「しっかり自重しただろ? スキル使ってないし」
「それで本気を出してミリアさんのために武器を作ったと……はぁ、そこまで言うのであれば一度鑑定してみては?」
「わかった。大丈夫だと思うけどなぁ」
楓はナビが呆れているのをみて少し心配になりつつも今回は手を抜いたことをしっかりと自覚しているためあまりおかしなものはできていない自信があった。
鑑定するまでは……
〜伝説級〜
ロンギヌスの槍
全属性付与
自動追従
重量軽減
硬質化
「え?」
「わかりましたか? いかにまずい武器を作ってしまったのかを」
「すみませんでした」
楓は自分で鑑定したのでそれが間違っていることがないのは分かっているし結果が出てしまったものは仕方がない。
素直にナビに謝ってミリアの分は作ってしまったものは仕方がないとこの武器をそのままプレゼントするとして他の面々にはナビ指導のもと全て達人級まで性能を落とすように二人で調整を繰り返していくのであった。




