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軍部会議 2


 あれから軍部会議は順調に進んでいき残るは楓が軍師たちの前で楓の考えた作戦を提案するだけとなった。


 歴戦の軍師たちの前で自分の作戦を言うことに楓は少しだけ緊張したがどこか穴があったりダメな場合は軍師たちが考えた作戦を実行するまでなので、楓はあまり気負わずに皆の前で話をすることにした。


 ちなみに、楓たちは今回暴れすぎることがないと軍師たちに伝えてもそれが当たり前だと特に何も言われることはなかった。


 やはり軍師たちも楓たちだけに頼るのはあまりいいことではないと思っているようで多少の犠牲を覚悟してでも自国の兵士や傭兵たちと協力して戦争に挑むようだ。


「では、最後に僕が考えた作戦案を発表させていただきます。色々と考えましたがどこかに穴があったり使い物にならないと判断されたのならはっきりといってもらって構いません」


 楓は立ち軍師やバルバトスに向かってそういうとストレージから人数分の作戦の内容がまとめられている紙を取り出し配っていく。


 といっても魔法で配っているので時間ロスなどはなく楓は全員に紙が行き届いたことを確認すると順番に自分の考えた作戦を話していく。


「今回厄介になるであろう相手は間違いなく勇者と魔王候補の魔族たちです。なので……」


「カエデ殿、少し待ってくれ。勇者だと? まさか、彼らが帝国の味方をしていると言うのか?」


「はい。僕の召喚獣が魔物に紛れて現在進行形で偵察を行っているので間違いありません。なんなら、彼らの姿を見ますか?」


 楓の提案に軍師たちは戸惑いつつも首を縦に振ったので楓は机の中心に大きなスクリーンを表示させた。


 そこには女騎士と仲良く話をしている男勇者たちの姿が映っており男勇者たちはやけに露出の少ない格好をしている女騎士のことをジロジロと眺めていた。


「まさか……ここまで愚かだったとは……」


「この件に関して教会は何をしているのでしょうか? 確か、リングベリーの教会でしたよね?」


「あぁ、そっちはもうもぬけの殻でしたよ。どこに逃げたのかは知りませんが立場が上の者のほとんどはすでに逃亡済みのようです」


 そちらも楓はしっかりと調べておりリングベリーの教会には誰もおらず住民はかなりパニックになっているようだ。


 なお、楓も一応軽くは教会にいたものたちを探していたのだが楓もあそこにいたのは一瞬で顔がイマイチパッと出てこないので探そうにも探せなかったりする。リングベリーの教会のトップには楓も会っていないのでそちらも探索はほぼ不可能ということである。


 それこそ色々と頑張れば見つけることもできるかもしれないが今はそっちに労力を割いている暇はないのでいずれまた出てきたときに捕まえるということで話はまとまった。


「っと、話を戻しますね。さすがに勇者や魔王候補たちはみなさんには荷が重いと思いますのでこちらで対処します。ただ、あまり全力で戦うと周りにも被害が出てしまうので何人かはみなさんにも戦ってもらわないといけないことになるかもしれません」


「その辺は大丈夫ですぞ。我々も勇者の一人程度に後れを取るほどヤワではないのでな」


「助かります。魔族と魔物に関してもできるだけこちらでも数を減らしますが基本的にはこの国の騎士や魔術師、兵士たちのみなさんに戦ってもらうことになりそうです。ただ、圧倒的に数が多いのが問題です」


 今回相手の総数は約40万近くおり対してデスハイム王国の総数は20万にも満たないだろう。


 この時点で約2倍の差がついているがこれは仕方のないことである。この戦争がもっと両国間の間で準備が活発に行われていたのなら話は別だがデスハイム王国が把握していたのは帝国軍約5万だけであった。


 残りの魔族、魔物含め35万はというと方法は楓もわからないが一気に帝国軍の前に転移してきたのだ。


 デスハイム王国も帝国軍5万だけなら楓の参戦を期待するまでもなく圧勝で終わるだけの数を用意したのだが魔族たちが現れたことによってそうは言っていられなくなったと言うことである。


「約2倍と言うことで兵士たちの士気もかなり低いものになっているでしょう。そうなれば団体での行動が疎かになってしまう。だから三人一組になってもらって一人が前衛、一人が魔術師、そしてもう一人が魔術師の補佐をすることに専念してもらえればうまく連携が取れるでしょう」


「ふむ……面白い案ですな。もしそれが本当にできればかなりいい陣形も取れるでしょう」


 楓の作戦を聞いて一人の軍師はそう言いながら楓の作戦を褒める。


「ただ、今回の作戦に組み込めるかと言ったら難しいものがあります。と言うのも三人一組のペアを決めている時間。そして決まったとしても三人で連携を取るのにも時間がかかります。その点を考えて今後は部分的に採用することを提案しますな」


「その辺はお任せします。確かに、時間が足りませんですよね」


「いやいや、作戦自体はものすごくいいものだと思いますよ。もし、実戦で使えるものとなればより効率よく戦えることができるでしょう。さすが、トップクランをまとめているお方と言うわけですな」


 楓の作戦を聞いて軍師たちはものすごいスピードで紙に色々と書き込んでいるので少しは貢献することはできたのだろう。


 他の軍師たちも老人軍師の言っていることにうんうんと頷いて楓がすごいことを認めているので楓としては少し恥ずかしい気持ちになってしまったが今後に期待ということで楓の作戦発表が終了したのであった。


「では、これで軍部会議を終了する。勇者が敵に寝返ったことはすぐにでも全国民に伝えるようにしてくれ」


「かしこまりました。すぐに大々的に発表させていただきます」


「うむ、頼んだぞ。カエデ達は一度クランハウスに戻るといい。できれば明日から戦場予定地に赴いて欲しいのだが、大丈夫だろうか?」


「はい、問題ないですよ。では明日の朝には城門の前で待機しています」


「わかった。案内人として一人騎士を出そう。よろしく頼む」


 バルバトスはそう言って一番最初に部屋から出て行き、バルバトスが退出してから全員が各々やるべきことを果たすために迅速に行動に移っていった。


 楓たちは特に明日まですることはなかったのでそのまま全員でクランハウスへと移動して一日ゆっくりと休むのであった。

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