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嫌な予感 4


 アリウスとバルバトスが軽い挨拶をしてから五分くらい経つと扉がノックされ新しい騎士団長と宮廷魔術師長と思われる二人の男性がバルバトスの部屋へと入ってきた。


 騎士団長の方はさすがと言ったところかかなり筋肉もついて見るからに強そうな雰囲気だったが宮廷魔術師長の方も負けておらずそこそこしっかりと筋肉がついており魔法だけでは無いと見た目だけで判断できる感じであった。


 二人は楓たちのことを見ることなくずっとバルバトスの方を見て用件を聞こうとしており、楓たちが挨拶をすることはできなかった。


「これから軍部会議を開く。その時には彼らにも出席してもらうからその分の席を頼む」


「かしこまりました。ですが、その、流石に魔族を同席させるのは不味いかと思われます」


 騎士団長は少し申し訳なさそうにしながらもそれを態度に出さないように堂々とバルバトスに進言をする。


 宮廷魔術師長や騎士団長本人もどうやら魔族にいいイメージを持っていないらしく先ほどからアリウスたちを見る目が厳しいものになっている。


「彼らは今回一緒に戦ってくれる心強い仲間たちだ。そんな彼らを除け者にしろというのか?」


「……申し訳ございません。しっかりと席の方を準備させていただきます。開始は三十分後を予定しますのでお時間になられたらいつもの会議室へとお願いします」


 バルバトスの声が冷たくなったことを二人とも察したのかそれ以上苦言をすることなくお辞儀をしてから速やかにバルバトスの部屋を退出していった。


「アリウス殿、申し訳ない。まだ我々人族も魔族のことをよく思っていないものが多いのだ。つい先日カエデが種族の垣根を取り払ってくれたものの、まだそれが当たり前にはなっていないのだ。できれば、彼らのことを許していただけるとありがたい」


「大丈夫だ。うちの部下も同じようなものだからな。魔界にいた時からカエデたちのことを見てずっと敵視しているところがある。お互い優秀な部下故に深く考える癖があるようだ」


 最後の最後までアリウスたちのことを見る目が厳しかったが当のアリウスたちはあんまり気にしていない様子でバルバトスの謝罪を受け取った。


 アリウスの部下たちもこれまでの楓たちの姿を見てアリウスの言っていることがあながち間違いではないことを感じているのか苦笑いしつつもアリウスの言葉自体を否定することはなかった。


「あー、めんどくせー」


「ん? どうしたの楓くん?」


 国のトップ同士が会話をしている横で楓がいきなり愚痴を言いだしたので何事かと皆が一斉に注目してしまい楓はやってしまったなと思わず口を押さえる。


 実は楓、先ほどの会話はほぼ聞いておらず念のために相手の動向を探っていたのだがそこで奇妙というかなんでそこにいるのか? と楓が問い詰めたくなるような人物たちの姿を見つけてしまったのだ。


「……勇者が帝国の味方をしているみたいなんだ。本当に学習しない奴らだなと思ってさ」


 楓もバルバトスたちの会話がめんどくさいと言っているわけではなかったのでしっかりと誤解を解くために映像付きで日向たちに先ほどの原因を教える。


 そこには兵士たちに担ぎ上げられて調子に乗っている勇者たち(ほとんど男勇者)の姿が映っていた。


「まーた懲りずにカエデに挑もうとしてるの? しかも今回は戦争にまで参加して……」


「いくら旦那様の同胞と言えどもそろそろしつこいですね」


「本当になぁ……」


 楓はルミナやミルのいうことに頷きつつめんどくさそうにため息をついた。


 『無限の伝説』の他のメンツも同じことを思っているのかため息をついている。


「ちょっと待った。勇者が敵に回っているだと? そんな情報掴んでいないのだが……」


「そりゃ彼らは後ろの方にいますからね。きっと帝国側も切り札に使いたいのでしょう。彼ら勇者は僕たちに何度も敗れていますが並の兵士たちには少々荷が重い……というか見かけたら即撤退しなければ命がないと思った方がいいほどの力をつけていますからね」


 以前から言っていることだが勇者たちも弱いわけではない。


 それこそまだ魔王やドラゴンといった存在そのものがワンランク上のものには勝てないだろうが人族の中では上位3パーセントくらいに入っていてもおかしくないほどの実力を持っているのである。


 そんな勇者たちが四十人近くいるのだから、普通に戦争をする分には十分戦況を変え得る存在といっても過言ではないのだ。楓はバルバトスが驚くのもわからないでもなかった。


「勇者はそれほどまでに強いのか?」


 バルバトスは勇者たちが厄介なのは知っているようだが、アリウスは勇者のことをそこまで調べていなかったのか今の勇者がどこまで強いのかを把握していないようであった。


 まぁ、元魔王ですらそこまで勇者たちのことを警戒していなかったようなのでアリウスたちが知らないのも仕方のないことだろう。


「まぁ、そうだな……一番強いやつでアリウスと同じくらいかな? それ以下でもすでにAランク級の魔物は一人で倒せるくらいの実力は持っているだろう。それが四十人弱だ」


「厄介だな。ミリアが出れば片付く話だろうが相手にしたくないのは事実だな。どうするんだ?」


「ん? まぁ俺たちだとサクラたちメイド以外なら四十人が一気に襲いかかってきても全く問題がないからそこまで心配していないな。サクラたちには戦場では俺かセバスが召喚したやつをつけるしそうそう危ないことにはならないと思うぞ?」


 最近はそこまで本格的に修行はしていないものの各々時間を見つけては各自でステータスを上げる努力をしているのですでに日向たちですら一対四十でもほぼ無傷で勝利を収めることができるだろう。


 サクラたちでも五人までならなんとか勝てるだろうし、そもそもサクラたちには魔物を中心に倒してもらう予定なので勇者たちと鉢合わせになることはまずないと言ってもいいだろう。


 もし勇者たちと遭遇しても先ほど楓の言っていた通り楓かセバスが召喚した召喚獣たちをつけるのですぐに連絡を取れるし召喚獣も勇者一人程度では全く歯が立たないレベルのものを用意するつもりなのでそこまで問題はなかったりする。


「さすがカエデだな。っと、そろそろ時間のようだ。全員私の後をついてきてくれ。アリウス殿たちはできればカエデの近くにいてもらえると助かる」


 そんな話をしていると軍部会議の時間が迫ってきたようでバルバトスが全員にそう指示を出して一番最初に部屋から出て行く。


 すると外で待機していた騎士が先導して会議室まで向かうことになっているので楓たちは黙ってバルバトスの後ろへとついて行くのであった。

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