迷宮探索 1
あの後、日向と二人で必要になりそうな物を適当に買い込み時間が余ったので二人で私服選びをしていた。
正直いるのかどうか分からないがまぁずっと冒険者の仕事をするわけじゃないのでああいった買い物もいいのだろう。なんせ日向は年頃の女の子だ。
他のクラスメイトの女の子達はどうせ勇者だ!とか言ってキラキラしたドレスでも着てるんだろうな。と、勝手に色々思っているので出来るだけ日向にもオシャレをさせてあげたい。当時ステータスを偽装して弱そうに見えた俺にわざわざ付いて来てくれたんだから他のクラスメイト達よりかは良い思いをさせてあげたい。
日向にとっては二人で私服を選んでいる時間こそが至福の時だったのだが俺はそれを知る由もないのであった。
『マスターの情報にはありませんでしたがそこそこ階層を進むと迷宮自体に罠があるので罠解除や罠発見などのスキルをアクティベートしておくのが良いでしょうね』
そうだったのか。それは知らんかった。ナイス、ナビちゃん。
『いえいえ、ではマスターの勇姿を楽しみにしてます』
そんなに期待しないで下さい。どうせ何処かでヘマするんだから。
と、そろそろ日向の準備も出来ただろうし、そろそろ行くとするか。
「じゃ、初の迷宮攻略なわけだが忘れ物とかはないな。言っておくが今回の目標は最下層迄だ。攻略する迄帰ってくるつもりはないからな」
「え!?だって今の最高記録が確か20階層だったよね?まぁ楓くんがいればいけるだろうけど、わたしは大丈夫かな?」
「あ、その為のアクセサリー作ったからこれでも着けとけ」
そう言って日向に渡したのは真ん中に宝石の入ったネックレスだった。
「なにこれ?」
「それな、着けてるとどんな即死ダメージも無効にするお守りだな、その他にも体力とかもアップするから着けておいて損はないぞ」
「そっか、ありがとう」
日向は嬉しそうにネックレスを着ける。俺から貰った物はどんな物でも嬉しい様だ。
「そういえば日向のステータス確認してなかったけど今どんな感じなのか見てもいいか?」
「うん。ていうか私も気になってた」
ということで鑑定っと…
ーステータスーーーーーーーーーーーーーーーー
佐倉 日向 Lv23 → Lv35
種族 人間
体力 300 → 700
筋力 300 → 450
敏速 200 → 800
知力 500 → 1000
魔力 800 → 3500
幸運 200 → 300
スキル
魔法 Lv6 → Lv10
魔法威力上昇 Lv6 → Lv10
魔力回復上昇 Lv6 → Lv10
魔力操作 Lv2 → Lv5
体術 Lv2 →Lv3
ユニークスキル
魔力運用効率倍化
成長速度倍化
成長倍化
エクストラスキル
魔法創造
レベル限界突破
加護
魔法神の加護
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流石に魔力の上がり方がおかしい事になってる。まぁ最初のうちはこんなに上がるが、そのうちこんなにバンバンステータスが上がる事はないだろうな。
それでも加護のおかげで凄い事になってるけど…それと魔法移動のおかげで俊敏もそこそこ上がってるな。
Sランク冒険者すら魔法勝負なら余裕で勝てるな。まぁS級ともなるとそれだけでは到底勝てないだろうが。
「凄い事になってるぞ…ちょっと待て今紙に写す」
そして日向のステータスを紙に書いて渡してやると…
「え!すごい!だいぶステータスが上がってるよ!でも魔力のほかもしっかりとあげないと。バランス悪くなっちゃうね。」
日向自身もしっかりと把握してるなら俺から言う必要はないか。
「さて、ステータスを確認して、モチベーションが上がってきたところなんだしそろそろ迷宮攻略に行くとするか」
「うん!」
二人は迷宮への期待を膨らませ迷宮があるとされる所迄これまた移動魔法を使って5分で着くのだった。
「おーここが迷宮か、なかなか凄いな」
そこにあったのは大きな石の建造物だった。下に伸びている筈なのに最上階部分が大きすぎて普通の建物と見間違えてしまう。
あぁ最上階は買取やら屋台やらで盛り上がってるだけか。でもこれって相当なデカさじゃね?これで中規模って。大規模の迷宮ってどんなんだよ。
『100層まである物等ですね。最低でも3桁の階層を持っています』
うわ、そんなの攻略なんて大変だろうな。
「凄いな、あそこが入り口みたいだ。それじゃあ、入ってみようか」
「うん!」
入り口から入った瞬間さっきと温度がだいぶ違うことに気がつく。
「なるほど、外の世界とはまた別だ。とでも言いたいみたいだな」
今回、俺はマップを使うのは極力控える事にしている。でないとヌルゲーになってしまうからだ。この位の縛りプレイはしないと本気で面白くなくなる。
迷宮攻略を面白半分で行おうとするのは俺達位だろうが…
そんなわけで今回は行き当たりばったりの攻略を楽しむのだ。
「さて、ここが第一階層か、なかなか広そうだな。敵を倒す事より下への道を探すのに一苦労しそうだな」
「だね。第一階層って言ってもゴブリン程度でしょ?早く下へ行ける様に頑張らなくちゃね」
「あぁ、とりあえず歩いてみるか。本当にゴブリンが出て来るかすら怪しいからな」
「うん」
二人は横に並んで歩き出す。ここに迷宮攻略のプロの冒険者がいたとするなら陣形の一つも考えていない二人に対して思うところがあるだろうがそんなの関係なしと二人は迷宮を堂々と進んでいく。
第一階層といっても言えば駆け出しの冒険者を対象としたレベルのところなので二人にすれば散歩をしている様なものである。途中にゴブリンが出て来て魔物がいる事も分かったので後は地下二階への道を探す為に探索する。
「なかなか見つからないな…っていうかここ結構広いな」
「だね、こんなに広いと目的地を探すのも一苦労しそうだね」
それから1時間さまよって第二階層への入り口を見つける二人なのであったがこんなにも退屈になるとは二人とも思ってなかったのでさっさと未知の領域へと足を運びたいと思う二人であった。




