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魔王の脅威 1


「お疲れ様、楓くん。それじゃあ今度は私たちとだね!」


「悪い日向。ちょっと用事が入った。とりあえず全員ルーナのお父さんの家集合だ」


「何かあったの?」


 日向は楓の勝利については特に触れることなく模擬戦を開始しようと準備を始めようとしたが、楓の真剣そうな顔をみて心配そうに事情を聞こうとする。


 他のメンバーも楓の真剣そうな顔を見てただ事ではないと察したのか皆真剣そうな顔をしながら楓の指示に従うために撤収する準備を始めた。


「悪い、俺も詳しい話はまだ聞いていないんだが、どうにもこのまま放置ってわけにはいかないらしい」


「うん。わかったよ。みんなも『無限の伝説』模擬戦大会は延期で大丈夫だよね?」


「えぇ、旦那様がそれよりも大切なことだと判断されたのなら、私たちは黙ってついていくだけです」


 なんとも頼もしい反応に楓は思わず笑顔になってしまう。


 先ほどジャンに軽く話しを聞いただけでもかなり良くないことになっているのは理解していた楓なのでこれからのことを考えていたのだが、日向やミルが思った以上に頼もしかったことに少しだけ安心する。


 ただルーナとヒストリアは若干心配そうにしており、楓は転移魔法でジャンの家へと転移する前にその2人の顔がやけに鮮明に見えてしまったのであった。












「来たか。さっきはありがとう。久しぶりに全力で戦ったぞ」


「まさか僕たち4人が揃っても手も足も出なかったなんてね。これは期待していいのかな……?」


「とりあえず、詳しい話を聞かせてもらえますか? 僕もそうですが、ここにいる仲間はこの村であったことを全然把握していません」


「分かっている、これから全てを話す。各々立っているのはしんどいだろうからその辺に座って聞いてくれ」


 ルーナの家は大きいがそこまで家具が多いわけではないので全員分の椅子などなく皆床に直接座る感じになっているが誰も文句を言うことはなくジャンとジルが話をするのを静かに待っていた。


 ジャンもそんな楓たちのことを見て話しても大丈夫だと思ったのか、少しずつだが話を始めていった。


「まず、カエデは疑問に思っていたようだな。なぜ、ルーナとヒストリアの母親がこの村にいないのか……と」


「と、父さん。それはこの前少しこの村を出ているって……」


 ジャンの話を聞いて大体察しがついたのかルーナが絶望したような顔をしながらジャンに以前楓と同じ部屋で寝ていた時にいっていた話を持ち出した。


 ジャンもルーナのその反応は予想してたのか、苦虫を噛み潰したような顔をしている。


「あれは嘘だ。あの場で儂はまだカエデを信用していなかった。だが、今は実力ともにある程度は認めている。それで、サラたちは……母さんたちは丁度二年前に現魔王によって連れ去られてしまった」


 ジャンは今にも泣きそうな顔をしながらそう言った。その横でジルもいつもの柔和な笑みを浮かべておらずこちらも泣きそうな顔をしながら顔を伏せていた。


 サラというのはルーナの母親なのだろう。それが、二年前、つまりまだ誰が魔王になるかが決まっていなかった時点でルーナの母親とヒストリアの母親は今の魔王に攫われていたという事になるわけだ。


「そ、そんな……お母さんが?」


「ま、待ってよ。二年前って……どうして連絡をくれなかったの?」


 ルーナとヒストリアは声を震わせながら、いまだに信じられないと言った様子で自分たちの父親に問いただす。


 二年前ということは楓もこの世界に来ていなければ、エリスやナビは生まれてすらいない。それほど前に起きてしまったことだというのにどうして自分たちに連絡をくれなかったのかと2人は若干怒りをあらわにしているが、次のジャンの言葉を聞いて力なく座り込んでしまった。


「お前たち、2人してこの村を脱走したんだぞ? 誰がお前たちの連絡先を知っているというのだ。儂らもこの村を支えるのに大変だったんだ。最低な親だと罵ってくれてもいい。ただ、それでも儂らはこの村を支えるのに必死だったんだ。それと同時並行でお前たちを探すなんて、あの時の儂らには不可能に近かった」


「でも、2人は逃げてくれていてよかったよ。もし、この村にいたら君たち2人まで連れていかれるかもしれなかった。そうなれば、この村は確実に潰れていたよ。本当に、無事でよかった」


 ジャンの言葉に続き、ジルがなんとかルーナたちの負担を軽減しようとフォローをするがルーナもヒストリアもまるで聞こえていないようにその場に座り込み放心状態へと陥ってしまった。


 なんとか近くにいたルミナとミルがルーナとヒストリアの背中をさすり落ち着かせようとしているが、2人は見る見るうちに目に涙を浮かべてその場で涙を流してしまう。


「ルーナ、ヒストリア……」


「カエデ、ど、どうしよう……私たちがいたら……」


「私たちのせいでお母さんたちが……」


「さっきジルさんが言っていただろ? 2人まで攫われていたらこの村が潰れていた可能性まであるって、だから2人の選択は間違っていたわけではないと思う。それに、俺は2人に会うことができてとても嬉しい」


 楓はなんとか平然を保ちながらルーナとヒストリアを抱きしめる。


 楓に抱きしめられた2人はその時点で号泣してしまい、ジャンによる説明は少し休憩となってしまい2人が落ち着くまでしばらくジャンの部屋には重たい空気が流れるのであった。

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