異世界に転移しちゃったみたいだ! 2
ここは夢の中か……?
「@@…@…@@@?」
なんか、幼い女の子の声が聞こえた気がしたが……何を言っているのか、よく聞き取れなかった。
「誰だ?」
「ねぇ…力…欲しい?」
今度は聞こえた。力が欲しい? なにを言ってるんだこいつは。
とうとう俺も頭おかしくなったかな……
「私の名前はイリア、全知全能の神? みんなからはそう言われている」
俺の夢の中に神が降臨してきた。コレは病院に行くべきか?
なんかふわふわした感じもするし。
「神? 全知全能? 大丈夫か? と言うか、なんで神が俺の夢の中に降臨してるんだ?」
「その理由、私が失敗した。間違えてあなたのクラスの人達を、違う世界に転移させちゃう。だからそのお詫びにきた」
「転移? あ! あの魔法陣みたいなやつか!」
そーいやそんなことがあったな。
「そう、ほんとは他の人達にもお詫びに行かないといけなかったけど、あなた以外、私の力に耐えられなかった。だから他の人には他の神に担当させた。あなたは特別に私がギフトをあげる」
そう言われた瞬間、ものすごい光が俺の体を包み込んだ。そしてその瞬間一気に俺の全身に激痛が走った。
「うっわ! なんだこの痛みは⁉︎ やばい体が潰れるっ!」
夢の中だというのに痛みはカットされないみたいだ。
「あ、ごめん。設定間違えた。もしかしたらあなた、消滅するかもしれない」
なんか言ってる気がしたが、今はそんなことどうでもよかった。
「自分でやってなんだけど、私、そろそろ行かないといけない。あとは頑張ってね。消滅しない可能性は皆無に等しいけど応援してる。頑張って」
それだけ言い残して消えていきやがった。
「ちょ! ふ、ざ、ける、なよ。は、やくたす、けてくれ、痛みが、ひか、ない……」
それから何時間か何日間か、とりあえず時間がわからなくなるほどの時が流れ、その間俺の体は激痛に苛まれていた。どれだけこの苦痛を体験すればいいのかわからないが、未だに全身に激痛が走る。
「た、す、け」
いつしか髪の毛の色素が落ち真っ白になっていく。
もう消滅して楽になりたい。そう思い始めた頃、なんと痛みが急激になくなり始めた。
「助かった……のか? うわ、なんか髪の毛が白くなってるし……コレ夢の中だけだよな……」
見ると髪の毛が真っ白になり、体つきも以前よりもたくましくでもあまりデカすぎず、ちょうどいい体つきになっていた。
「これからどーすりゃいいんだろ……うわっ!」
そんなことを呟いていると、だんだん視線の先に光が差してきてまた意識が遠のいていった。
「すごい、こんなこと、初めて」
最後にこの事態を引き起こした張本人が、なにか呟いた気がした。