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結婚式 2

アルとルシフェルからのささやかなサプライズを受けた楓は、まだ若干目が赤いがなんとか誤魔化して日向たちの元へと向かった。


 今日の結婚式だが9時に始められるように新郎新婦である楓たちは7時過ぎには王城にいておかないといけないため朝食は軽いものだったがその分昼食、夕食が非常に豪華なので大丈夫だろう。


「あ、おはよう。楓くん!」


 楓が軽く食事を取ろうと食堂へと入るとそこには日向が一人だけでおり、楓の姿を見るなり元気に挨拶をした。


「おはよう。他のみんなは?」


「さっきまでみんなでご飯食べてたんだけどもうみんな準備をしに自分の部屋に戻ったよ」


「そうか。って、日向は大丈夫なのか?」


「うん!昨日のうちに全部すませてあるからね!」


 日向はそう言って元気に笑うと楓の隣の席までやってきてそのまま椅子に座った。


 どうやら、日向も今日の結婚式のことですごく緊張しているらしく、いつもよりもそわそわしていた。楓も、朝からずっと不思議な感じだったがそれと似たようなものかもしれない。


「すごい外が賑やかだね」


「あぁ、なんでも王都全体で非公式だが前夜祭をしていたらしく、今はその後片付けだったり俺たちの晴れ姿を一目見ようとみんな王城の門の前に並んでいるんだとさ」


「人気者だね」


「だな」


 2人はそう言って笑う。


 楓も日向も言ったらこの世界に来て一番長く接しているのがこの二人なのですごく落ち着くのか、2人とも先ほどまでそわそわしていたのが嘘のように落ち着いて2人でしばらくの間会話に花を咲かせることになった。








「あ、準備できたみたい」


 2人が食堂で話をし始めてから約20分が経った頃、ミルたちはいつもよりも少し上品な服を着て楓の元までやって来た。


 どっちみち、後でお互い着替えるのだがやはり全員気合いの表れか自然にいつもよりも良いものを着たのだろう。


 ちなみに、ここにはルーナとヒストリアもいる。と、言うのもすでにこのクランハウスへ昨日のうちに全ての荷物を運んであるので昨日からそのままこのクランハウスで生活することになっていたのである。


「みんな綺麗だな」


 楓はミル達の姿を見るなり、本当に無意識のうちにそうぽろっと感想を述べた。


 実際に、今のミル達は非常に可愛く楓は改めて幸せ者だなと実感するのであった。ただ、それと同時にミル達をこの世界の基準だと勘違いすると他の人たちと対面するときに大変なことになるのでそこらへんは気をつけようと思う楓なのであった。


「ふふっありがとうございます」


「いよいよね。とっても楽しみだわ」


「私もです。カエデ様との一生に一度の結婚式。胸が踊ります!」


「わ、私もマスターと結婚式に出られるなんて、今まで考えたこともなかったですが、なんでしょう。すごく嬉しいです」


「それは私たちのセリフだぞ。昨日までは騎士団長だったんだからな」


「ルーナは緊張しすぎ。今日は私たちのとっても大切な日。ダーリン、本当にありがとう」


 ミル達はそれぞれ結婚式のことで緊張しているものがいたり、楽しみにしているものがいたりでいろいろだったが、全員悪い緊張はしていないようだったので楓もホッと安心する。


 先ほどの、ヒストリアの楓の呼び方だが、昨日の夜の時点でなぜかダーリンと呼ぶようになっており、楓も最初は耳を疑ったが本人は変える気は全くないようで今朝もダーリンと普通に呼んでいる。


 ルーナはルミナと同じようにカエデと呼び捨てだったので、呼び方一つにしても結構性格が出て面白いなと思う楓であった。


「さて、じゃあ王城に行くか。あ、ルーナ達はもう天狐族から戻す必要ないからな」


「良いのか?」


 楓のその発言にルーナは少し心配そうに聞き返す。


 まぁ、普通に考えて昨日まで騎士団長!と慕っていた人物が実は獣人でしたなんてことがあったら部下達は驚くだろうが、今日のこの結婚式を持ってルーナもヒストリアもその任を降りるので問題はない。


 未だにこうして人種差別の意識が直っていないことに楓も最初は少しムカッとしたが、それをこれから改善していこうと気持ちを切り替えて今はこうして2人が姿を公にすることで少しでもそういった嫌悪感を無くしていこうと考える楓である。


「大丈夫だろ。文句を言う奴がいたら俺が潰すから安心しろ」


「あ、ありがとう」


 楓の言葉を聞いて安心したのかルーナは嬉しそうにしながら楓に礼を言う。


 ヒストリアも、ルーナと同じ気持ちなのかショートカットから覗かせる狐耳がピクピクと機敏に動いていた。


 楓はその後、2人が落ち着くタイミングを見てそのまま王城の方へと転移するのであった。

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