学院祭3日目 2
学院祭3日目ともなればどこで問題が起きやすいか、また問題が起きた時の対応などもだいぶわかってくるので楓も特に心配はしていなかった。
現に、3日目の午前中もやはり売り上げがすごいこと以外は特に驚くべきことはなかった。
だが、3日目の最後の午後にこの異界のメインである闘技場で『とある二人組』が上級のゴーレムを討伐したとの報告が楓の元に届いたのだ。
ちなみに、楓産ゴーレムは下級、中級、上級、超級、unknownと5つの段階が存在し、それぞれ駆け出し冒険者用、Aランク冒険者以上推奨用、騎士団長クラス以上推奨、日向達専用、アルもしくはルシフェルのストレス発散兼勇者迎撃用と普通に誰がクリアするんだ?と誰もが思ってしまう難易度となっている。
ちなみに以前ゴーレムを倒したと言っていた冒険者でも中級である。普通に無理ゲーだがその分見返りも大きいので闘技場の利用はかなり多い。
そして、先ほど報告に上がって来たのは上級ゴーレムの討伐完了という楓も予想していなかったものである。
流石に、セバスの配下に対応を任せるのも可哀想と楓が直接上級ゴーレムを討伐した二人組に会いに行くことになったのだが、その二人組を見て楓は納得せざるを得なかった。
「何してるんだよ。ルーナ、ヒストリア」
「あ、カエデではないか!いや、カエデ達が催したエリアがあると部下に聞いたものだからヒストリアと時間をとって1度来ようと言っていたんだ」
「このゴーレム。かなり強かった。カエデが作ったの?」
「あぁ、ちなみにあと2段階上のもあるぞ」
「毎度思うのだがカエデは世界征服でも企んでいるのではないだろうな?」
「だね。普通、このゴーレムですら作るのは不可能。カエデなら自分で動かなくとも世界征服出来る」
ヒストリアは宮廷魔術師長ということもあってかなりこういう類のものには詳しいのかゴーレムを少し見ただけでどれだけ規格外のことをしているのかがわかるのだろう。
普段、あまり表情を表に出さないヒストリアも自分たちが倒したゴーレムを見て興味津々とばかりにゴーレムを詳細に見ている。
ちなみに、上級ゴーレムが討伐されたことは瞬く間にこの異界中に広まり、現在この闘技場には滝のように人が流れ込んで来ている。一応、観客席も有料なのだが楓がいると知ったせいかそんなの御構い無しとばかりにたくさんの人がチケットを買って観客席になだれ込んで来ている。
「なんか人が大勢集まって来たな」
「そりゃ、この国の2トップがやって来たらみんな一眼みようとやってくるだろうさ。ただでさえ二人は可愛いんだから」
「か!?かわいいだと!この私が!?」
「カエデ、それ、本気で言ってる?」
楓が何の気なしに言った一言が二人の心に大きく響いたのかルーナはひどく動揺しながら楓に審議の方を確かめている。
ヒストリアも心底不思議に思っているのか先ほどのゴーレムを見た時以上に目を見開きながら楓にそう問いただす。
「あ、あぁ、普通にかわいいと思うけど?」
「そ、そうか。ありがとな」
「カエデは変わってるね」
楓が二人の様子が急変したことに驚きながらもそう素で返すと二人は少し嬉しそうに笑いながら楓に礼を言った。
その間もかなり人が増えていき、今ではなんと観客席が満員状態でさらに立ち見の人まで出始めていた。
楓はすでに、ゴーレムは討伐されておりチケットを買っても無駄だと思う気持ちを必死に閉じ込め一応この異界の責任者として観客者達に軽く挨拶を始める。
「今日は…というかこの3日間、僕たちの異界へと足を運んでいただきありがとうございます。すでに、二人はゴーレムを倒しているのですがせっかく高いチケットを買ってくださったのです。これから、特別にエキシビションマッチをしようと思っています」
「「「おぉぉぉぉぉ!!!!」」」
楓が挨拶をしてからエキシビションマッチのことを言うと観客達は今日イチの盛り上がりと言わんばかりに盛り上がる。
「ルールは簡単。二人は今から僕と模擬戦をしていただきます。少しでもかすれば二人の勝ち。二人が戦闘不能もしくは降参すれば僕の勝ちということでどうでしょうか?」
当然、そんなこと知らされてもいなかったルーナとヒストリアも驚いてはいたが楓と模擬戦ができるとわかると急に目つきが鋭くなり面白そうな笑みを浮かべる。
ルーナもヒストリアも楓と模擬戦をする機会がないわけではないが非常に少ない。なので、これは絶好の機会ということで二人の中ですでに戦う準備が終わったのだろう。
二人は先ほどまでしまっていた武器を取り出し構え始めた。
「みなさんが怪我をするなどということは一切ありませんので純粋に楽しんでいただければ嬉しいです。では、両者ともに準備ができたということでこれから僕対ルーナ、ヒストリアペアの模擬戦を始めます。準備はいいですね?」
「あぁ、構わない!」
「願っても無いチャンス。今回は前回と違って少しは焦らせて見せる」
楓の確認に二人は即座にそう返事をする。
まだ、楓の実力を直で見たことのない住民達はこの国の2トップ相手にそこまでハンデをつけて大丈夫なのか?やそもそも、勝負になるのか?などと楓のことを心配する声もあったが住民達はこの後、見ることになる。
そう、絶対的な力がどのようなものなのかを…
「それでは、よーい、始め!」
三人の模擬戦は、そんな楓のあまり緊張のない合図で始まるのだった。




