学院祭3日目 1
「今日は学院祭最終日だ。みんな、ラスト頑張って行こう!」
「「「「「おー!」」」」」
勇者である須藤が楓たちのところにきたのが昨日。
あの後しばらく楓の胸の中で泣いていた日向であったがしばらく楓があやしていると落ち着きそのままデート再開となった。
昨日は、楓が珍しくおしゃれをしたこともあって日向たちの機嫌もすぐに良くなり須藤が来て気分が悪くなった割には結構楽しいデートを送ることができた。
日向も最初は自分だけ切れてしまったことに照れていたのか遠慮がちだったが、全員のフォローによってだんだんテンションが上がっていき最後には楽しくデートを終了することができた。
こういう時にフォローしあえるところが、家族らしくていいなと思えた楓であった。
「それにしても昨日の日向は怖かったな。気迫だけで勇者を一蹴できるぞ」
「ですね。私、一瞬ヒナタの背後に龍が見えた気がしました」
「あ、それ私も!あれがヒナタのキレた時なのね。カエデは気をつけないといけないわね」
「もー!昨日も言ったけどみんなも絶対に私の立場だったらキレてるからね!?楓くんも話を掘り返さないでよ!」
一日経った今だからこそ出来るやりとりであるがやはり昨日の日向の様子には目を見張るものがある。
先ほど、楓のスキルで昨日の日向の様子をスクリーンにしてアルとルシフェルにも見せたのだがルシフェルは日向の豹変っぷりに驚いたのか「これ、ヒナタの皮を被った別人ではないだろうな?」などと楓に聞いていたほどである。
アルは、一度日向の切れたところを見ているので「あー、またやっちゃったかー」みたいなリアクションだったがアルも若干怖かったのか少しだけ背筋が伸びていた。
「アルとルシフェルも若干びびってたしな。伝説龍と魔王すらも怯えさせる日向。怖いもの無しだな」
「え!?あれ、二人にも見せたの!?」
「もちろん。二人ともプライドがあるのかそこまで大げさには怖がっていなかったが二人とも若干背筋が伸びていたから怖かったんだと思うぞ」
「うぅ〜恥ずかしいよ…」
日向は今にも頭から湯気がでんとばかりに顔を真っ赤にしていた。
まぁ、そんな日向も非常に魅力的なので楓もつい日向をいじってしまうのだがそろそろ学院祭の最終日が始まってしまうので急いで準備しようと日向たちに声をかける。
「ま、俺のために怒ってくれて俺はめちゃくちゃ嬉しかった。ありがとな」
「う、うん。いきなりお礼を言われて恥ずかしいな」
「ま、怖かったのは確かだけどな。今度あってももう少し加減してやれよ?」
「もー!」
上げて下げる。
楓も普段アル達にいじられているせいか弄りのなんたるかを理解してきたのかだいぶ日向をいじるのが上手くなってきている。
当の本人は「なんか楓くんの弄りがすごくなってきてるよ〜」と涙目になっているが楓からしたらそれは褒め言葉であるので痛くも痒くもなかった。
その後、少しだけ楓を筆頭にミル達で日向のことを弄った後楓の転移魔法でいつものように転移する。
3日目なので流石に楓達も驚かなかったが2日目に引けを取らないほどの長蛇の列が学院の門の前には存在しておりこの学院祭がいかに注目されているのかがわかるだろう。
「そう言えば、売り上げの方はどうなっているの?」
「それを聞くか?もうな、学院祭の域を超えてるとしか言えないほど手に入っている。しかも2日目終了の時点で」
「具体的には?」
「多分、俺ら八人が一生豪遊しても使いきれないほどに。まぁ、その分セバスとかアウラ達の給料を大幅に上げることができるからいいんだけど…」
楓はそれでも有り余ってしまうお金の使い所に非常に困っていた。
一層のこと、今日の出店を全てタダにしようかとも考えた楓であるがそれをすると2日間お金を使ってくれた人たちに申し訳ないのでそのままのお金で3日目も行うことになった。
「でも、なんでそんなにお金が集まるの?この国の人たちってそんなにお金持ちなの?」
「いえ、他の国とあまり変わらないと思うのですが…」
「多分、貴族の人たちが必死にお金を使って景品を狙っているからでしょ。ここの品って基本的に全て出回ることのないものばかりだから貴族達はこぞってお金を落としに来てくれるのよ」
「そういうことだ」
楓はルミナの考察に概ね合っていたのでそう返事したのだがどの景品を狙って貴族達がやって来ているのかを知ったらきっと眉をひそめてしまうことだろう。
なにせ、貴族達の狙っているものが全て日向達の手作りが付いているものだからだ。
楓の作ったゴーレムや武器もすごく人気があるのだがそれ以上に日向達の自作のポーションだったり武器だったりの人気がすごいのだ。
それに、知らないうちにできていた日向達一人ずつのファンクラブの奴らも推しの手作りを狙って大量にお金を落としに来ているのだ。
貴族やファンクラブの奴らが自分の自作したものを狙っているなどと聞いたら流石に日向達も引いてしまうだろうということで楓も黙っているが現実はそんなことがあってかなりのお金が楓達の手元へと舞い降りて来ているのだ。
楓は門の前の行列を見て3日目の収益が2日目と同等かそれ以上になることを考え思わず頭を抱えてしまうがそうしたからといって列がなくなるわけでもなく刻一刻と学院祭最終日の開始の時間が迫っているのであった。




