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学院祭2日目 4


「な、何を…」


先ほどから楓から漏れ出る覇気に須藤は殺気ムンムンである。


それどころか、武器に手をかけて今でも楓のことを斬ると言った様子だがそれ以上に楓の威圧のおかげで今のところ須藤は動く気配はない。


「いや、ちょっとお話をしようかなって。なんで、ナンパ男を日向達にけしかけたんだ?」


「な、なんのことだ?」


「とぼけるなよ。ナンパ男から颯爽と救って自分に惚れさせる。ライトノベルの王道だよな?お前が認めないならさっきのナンパ男に聞いてもいいんだぞ?顔は覚えているからな」


楓がそこまで言うと須藤の顔が険しくなる。


その様子を見て日向達はゲスを見るような顔になってしまう。


「す、好きな女の子にいいところを見せようとして何が悪い」


「いいところを見せようとするのは悪いことじゃない。ただ、その手段が卑怯なんだよ」


「お前に何がわかる!俺は、俺はっ!日向のことが好きなんだ!どうしようもなく好きなんだ!なのに、お前が…」


「告白もしてないのに人のせいにするなよ」


楓は須藤の言葉を遮ってそう言う。


楓も別に聖人君子ではない。今回は日向に原因があるとは言え元の原因を正せば須藤が日向達にナンパ男をけしかけ無理矢理接触を試みようとしたのが悪い。


そんなわけで楓もひどく冷たい言い方と視線で須藤のことを見る。


「なら、今告白する。もし、OKしたのなら日向は僕が貰う。だから、洗脳は解いて貰う」


「だから洗脳なんてしてないって。そんなに心配なら日向の様子を見てみろよ。好きなんだろ?洗脳されているかどうかぐらい分かれよ」


未だに日向が洗脳されていると虚言を吐く須藤に楓はそう冷たく言い放つ。


流石に好きな人の〜などと言われれば須藤もとやかく言うわけにはいかず黙って楓の横を通り過ぎ日向の前に立つ。


ミル達は空気を読んで少し横にはけ、先ほどの須藤のせいで住民がいなくなったことによって日向と須藤の周りには楓達を除いて誰一人としていない。


「そ、その。佐倉さん。僕は、貴方のことが好きです」


「うん」


「だから、僕と付き合って欲しい。楓なんてやめて僕についてきてくれ。僕は必ずあんな奴より幸せにしてみせる!君が今まで悲しんだ分。僕が幸せにしてあげる!」


「例えば?」


「佐倉さんがあいつに抱かれそうになって怖いと言うなら僕がそれを包み込んであげる。僕があいつのことなんて忘れさせてあげる!それに、僕は迷宮攻略の時も先頭で他のみんなを率いることができたんだ。きっと、僕たちが結婚するって話になったら他のみんなも祝福してくれるよ!」


須藤は日向が話を聞いてくれていることに喜びを感じながらそうやって言い切った。


その顔にはやり切ったのと振られることなんて考えていない気持ちのいいほどに自信に満ち溢れた笑顔が浮かんでいた。


一方で日向はと言うと…


「じゃ、私の答えを言うね。無理」


「よ、よかった!僕はてっきり振られちゃうか…え?」


「だから無理。って言うか死ね。人の好きな人を陥れておいて何が幸せにしてくれるだ。戯け。前にも言ったよね?私の大好きな楓くんを侮辱したら許さないって。

何?勇者って学習しないの?それに、私のこと須藤くんは処女だって期待していると思うけどごめんね。私の初めては楓くんにあげたんだ。さっきから黙って聞いていれば…何があいつのことなんて忘れさせてあげる!だ。ただ単に処女の私を抱きたいだけでしょ。気持ち悪い。さっさと消えろ。私たちは今から楓くんと楽しいデートに行くの。見て、貴方と楓くん。どっちがかっこいいと思う?」


「あ、いや…日向さん?」


「名前で呼ぶな気持ち悪い。さっき自信満々に言っていたけどあの迷宮もすでに楓くんと私で全部攻略しているからね?貴方達は楓くんのこと、弱いと思っているだろうけど貴方なんかよりずーっと強いんだから。あんまり調子に乗らない方がいいよ?楓くんは優しいから『まだ』何もしていないけど私は、いや私たちはそんなに優しくないよ?あ、嘘だと思っているでしょ?だったらこんなのはどう?」


日向は以前の攻城戦の…いやそれ以上の怒りがあるのか須藤に向かって明らかに怒気を膨らませながらも淡々と、そう、ゴミを見るような視線で須藤のことを見ながらそのまま魔法を発動し須藤の足元を凍らせる。


「な!?さ、佐倉さん!どうしてこんなことを!?」


「貴方達が楓くんにしようとしていたことを再現しただけだけど?他の勇者達と一緒にしようとしていたこと、知ってるんだからね?」


日向はそう言ってナイフを手に持って須藤の首の方へ向ける。


「やめろ日向。落ち着こう。な?」


そして、そのまま須藤の首を掻き切ろうとする…前に楓による止めが入った。


「か、楓くん?」


「お前、本当に怒ると怖いな。俺も一瞬寒気がしたよ」


楓はなるべく優しい笑みを浮かべながら日向の持っていたナイフを優しく奪い取る。


実際、日向が怒ってくれなければ楓があのまま骨折ぐらいはさせてやろうと考えていたが須藤は好きな相手からここまで否定されてあまつさえ殺されかけたのだから罰としては十分だろうと楓は思う。


日向も、楓にナイフを取られてやっと正気に戻ったのか目には涙を浮かべている。


「わ、私、楓くんをバカにされて…」


「あぁ、わかってる。ありがとな。っと、ほらそれで動けるだろ。さっさと失せろ。これ以上日向を苦しめないでくれ」


これは、心からのお願い。


楓はそう言って須藤の凍った足を回復させる。


須藤はそのまましばらくは放心状態だったが楓が日向のことをあやしているうちに走ってどこかに行ってしまった。楓も、少し須藤には同情したが自業自得っちゃ自業自得なのでそれ以上のことは考えずいまは胸の中で泣いている日向のことを優しく包み込むのであった。

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