学院祭2日目 3
楓が日向たちとの集合場所まで後少しというところまで着くとそこでは例の如くいつものようなことになっていた。
と、いうのも…
「ねーちゃんたち今暇?俺らと遊ばね?」
「いえ、夫を待っていますので…」
ミルが少し困った表情をしながらナンパ男を軽くあしらっていた。
いつものミルなら無視を決め込むか、問答無用で撃退するのだが今それをすると変に目立ってしまうということでとって貼り付けた笑みを浮かべてナンパ男のことを見ていた。
「えー?彼氏じゃなくて?じゃ、そっちの女の子でも…」
「私たち全員同じ人と結婚してるの!だから、ごめんね?」
ナンパ男はミルに振られるとそのまま流れで日向を誘おうとするが日向はキッパリとそう言ってナンパ男を一時的に黙らした。
ただ、ナンパ男は諦めようとせず今度はルミナに話しかけようとしていた。ルミナは拳を作っていたのでこのままナンパ男が声をかけるとそのまま気絶してしまいそうな状況だったので楓はそろそろ助けに入ろうとしたがそれが叶うことはなかった。
「やぁ、待った?」
「「「「「は?」」」」」
急に入って来た男を見て日向たちの頭の上にははてなマークが浮かんでしまう。
だが、ナンパ男ももう一人の男も日向たちの様子は全く気にせずに話を進めていく。
「なんだお前?」
「僕のことより君は誰なんだい?『僕の日向たち』に手を出さないでくれるかな?さ、行こっか」
「ちょっと待て。人の妻を勝手に連れ去ろうとするな。学級委員長?」
そうして男は日向の手を握って何処かに連れ去ろうとする…前に楓は有無を言わさずにそこに割り込む。
助けに入ってくれたのはいいが、楓はその男に見覚えがあった。
そう、学級委員長こと須藤である。もう勇者が来ていることに楓は舌打ちをしたくなったがぐっとこらえてナンパ男と須藤のことを見る。
「とりあえず。お前はここから去れ。な?」
「ひぃぃぃぃ!?」
楓は、話がややこしくなる前にナンパ男に怒りの視線をやってこの場から退出させる。
ちなみに、ナンパをされたり他の男に連れ去られそうになった日向たちは楓のスーツ姿を見て顔を赤くしたり誰が楓と手を繋ぐか?などの議論を繰り広げていた。
楓の嫁はいつどこにいても平和なことに楓は思わず頰を緩めそうになったがその前に須藤から楓に声をかけて来た。
「君は…楓か?よくものうのうと出てこられたな。君はここで何をしているんだい?」
「見てわからないか?彼女たちとデートをするんだよ。さっきは日向たちを助けてくれてありがとな。じゃ」
「ちょっと待ちたまえ。君が佐倉さんとデート?まだ君は佐倉さんたちに洗脳をかけているのかい?そんなことをしても、虚しいだけだ。さっさと洗脳を解くんだ」
須藤は楓が洗脳をかけているといまだに信じているのか楓に非難の目を浴びせながら命令口調でそういう。
「須藤くん?」
「やぁ佐倉さん。ようやく会えたね。僕は、以前よりもずっと強くなって帰って来たよ!さ、君はこんなところに居てはいけない!そちらのお嬢さんたちもさっさと彼から逃げるべきだ!」
須藤は日向に会えたのがよほど嬉しいのか先ほどカエデと話して居た時の顔が嘘のように明るくなり日向たちにそう言って手を差し伸べる。
須藤のその様子に日向たちは再度頭にはてなマークを浮かべていたが須藤は全く気にした様子はない。
「ごめん。私、楓くんと結婚したから。心配してくれてありがとう。でも、大丈夫だよ?洗脳もされていないし、私たちはいまとっても幸せなんだ!」
日向はここでいつもの無自覚爆弾を投下してしまう。
楓はそんな日向に思わず頭を抱えたくなってしまうがその前に須藤が楓のことを睨みあまつさえ殺気まで飛ばして来た。
流石に勇者の殺気ということもあって楓たちは大丈夫でも他の学院祭を楽しんでいる住民たちは全く大丈夫ではなく、須藤の殺気が放たれた瞬間あたりは大パニックになってしまう。
「そ、そんな…佐倉さんが結婚?あり得ない!貴様!よくも佐倉さんをぉ!」
「落ち着け。お前、自分が何をしているのかわかっているのか?」
「うるさい!外道がぁ!貴様さえ!貴様さえいなければ!僕が佐倉さんの…いや、日向の!結婚相手になれたのに!」
「…私、やっちゃった?」
日向は須藤の様子を見て自分が爆弾を落としたことに気がついたのか楓にそんなことを聞く。
「盛大にやらかしたな」
「うぅ…ごめんなさい…ちょっと調子に乗ったかも…」
日向は、自分のせいだとわかるとすごい申し訳なさそうに楓に謝る。
自分のせいで祭りが台無しになったと思っているのかその目には涙を浮かべている。楓は、そんな日向の様子を見て自分の中で何かが切れた音がした。
「…!?こ、これは!?」
「ちょっとお話ししような?」
楓は猛烈な怒りを抑えながら須藤に向かってそう言う。
あまり怒ることが好きではない楓であったが、自分の妻が泣いているとなると話は別なのであって現在進行形で須藤に対して怒りをあらわにしている。
その様子にミル達もそうであったが日向も楓の様子に驚き、それと同時に不覚にも楓のその様子をかっこいいと思ってしまうのであった。




