学院祭1日目 4
楓たちが学院祭でせっせと働いている頃、勇者たちはすでにデスハイム王国のすぐそばまで来ていた。
「は?楓が英雄?なんのデマだそれ?」
「いや、ほんとだって。俺もびっくりしたんだけど、さっきそんなことを聞いてさ。佐倉さんとかも大活躍だったんだって」
現在、勇者の一人が楓の噂を聞いたのか他の友人にそのことを話している最中である。
だが、それを聞いた勇者たちは全く信じようとせず、逆に楓が自分たちより有名になっていることが気に障ったのかとても不機嫌になりながら久しぶりに楓の話をする。
「いや、それ絶対嘘だろ。佐倉さんはともかく楓がろくに魔物と戦えるわけねーじゃんwどうせ、仲間に戦わせといて自分は高みの見物だろ?趣味わりー」
「それもそうだな」
勇者たちは楓が活躍したことをよっぽど信じたくないのか、結局『仲間に救われて調子に乗っているクズ野郎』ということになり楓の愚痴を加速させて行く。
途中から、勇者のリーダーである須藤やいつも楓にちょっかいをかけていた谷川などもその話に入って行く。
「笑っていられないよ。日向さんが洗脳されているんだ。あんなクズからは助け出さないと…」
「そう言えば、須藤って佐倉さんのこと好きだったっけ?大丈夫だろ、なにせ佐倉さんは俺たちの学校でも屈指のアイドルだ。確かに楓もかっこいいがそれだけが取り柄なやつよりも須藤みたいな強いやつの方がいいだろ」
「そうだといいが…まだ、日向さんがあのクズの毒牙に掛けられてなければいいけど…」
「見ただろ?佐倉さんは俺たちと同じくらい…いや、それ以上に強いんだ。襲われそうになったら自分で身を守れるだろ」
「そうだね…」
須藤はよほど日向のことが好きなのか、すでに楓の毒牙?にかけられているとも知らずとても不安そうな顔になる。
きっと、今の須藤の発言と顔を日向が実際に見たら鳥肌を立たせながら楓に救済を求めるだろうが、そんなことを全く考えていない勇者たちはさらに気持ち悪い妄想を膨らませていく。
「俺たちは迷宮攻略の歴代最高を塗り替えたんだぜ?きっと、王都に行ったら可愛い女の子にモテまくりだな」
「だな。クラスの女子もいいがあいつらはあんまり可愛くない上にメンクイだからな。王都に行けば、きっと俺たちの力に惚れた女がホイホイついて来るだろ。あー、さっさと童貞卒業してーな!」
「ここで朗報だ。なんと王都では今王立学院っていうエリート学校で学院祭をやっているらしい。3日間あるから明日から2日間は俺たちも参加できる。そこで女をゲットすれば…」
「いーね!ついでに、楓に洗脳されている王女もいただいて万々歳だ」
男たちは女子がこの場にいないことをいいことにどんどんゲスい妄想を膨らませている。
今や、男たちはほとんどがゲスい顔になっており、とても勇者とは思えないような顔であった。唯一、日向に恋をしている須藤やその他ミルに一目惚れしているやつらはその限りではなかったが基本的には端的に言って気持ち悪いやつらばっかりであった。
女子は女子で男子がいないことをいいことに女子トーク(欲望塗れ)をしておりこちらも勇者とはかけ離れた様子であった。
この様子をスクリーンで見ていた楓は「初代勇者の爪の垢を飲ませてやりたいな…」と呆れていたがそれを否定するものは誰もいなかった。
「はぁ、見ていて頭が痛くなるな…」
「だねー」
楓と日向がスクリーンで異界の監視を行っている最中に勇者たちのこともついでに見ていたのだが思いの外ひどくて2人とも思わずため息をついてしまう。
「日向、須藤に好かれてたんだな」
「何?嫉妬?安心してよ。わたしは心身共に楓くんのものだよ?」
「そか。なら安心だ」
「ほらそこ、イチャイチャしてないでしっかり監視していてください!じゃないと2人ともデート抜きにしますよ!」
「「頑張ります!」」
楓と日向が監視そっちのけでイチャイチャし出したのを見てミルは2人に少し声を大きく出して注意をする。
デート抜きと言われたあたりで2人は焦り出してミルのいうことに最後には2人で揃って大きな声でそう返事するや否やそこからは真剣に祭りの監視を始める。
それでも楓は、日向に囁かれたことを思い出して思わず少しニヤニヤしてしまうがそれはミルも注意することはなかった。
その後、昼食休憩までは6人でしっかりと監視と問題が起きた時のセバスの配下への指示などしっかりこなしなんとか大きな問題なく1日目の午前中を終わらせることができた。
ちなみに、この時点で売り上げが凄まじいことになっておりこれが後5回あると思うとかなりのお金が舞い降りて来ることになり少し焦る楓である。
いよいよ、午後からは6人でデートである。
この頃には楓も日向も勇者のことなど頭からすっかり離れ6人のデートのことで頭がいっぱいなのであった。




