学院祭1日目 3
「お、始まったみたいだな」
「す、すごい人だね。アルたち大丈夫かな?」
「すごい大変な役を押し付けちゃって申し訳ないですね…」
楓たちは今、闘技場の控え室で楓のスキルによって映し出されているモニターでアルたちの様子を見ているのだが、ミルはそういってアルたちに門の付近のことを任せたことを申し訳なく思っているようで申し訳なさそうな顔をしながらそんなことを言う。
「大丈夫だろ。本人たちがやるっていってくれたんだし。それに、基本的にはゴーレムやセバスの配下が対応してくれているからあの2人が出るときはよっぽどの時だよ」
「今回はゴーレムにたくさん感謝しないといけないわね」
「普通のゴーレムなら、こんな使い方はできませんがカエデ様のゴーレムは性能が高いですから大助かりですね」
「マスターのゴーレムって景品にもなっていましたよね?大丈夫なんですか?」
「あぁ、言っても景品用のゴーレムは勇者くらいの強さにしてある…ってあー!?」
楓は、ナビの質問にドヤ顔でそう答えたところで勇者のことをすっぽかしていたことを思い出し思わず大きな声を出してしまう。
そんなことの前に、勇者と同等のゴーレムというところですでにナビあたりは異議を申し立てたかったがそんなに簡単に入手できるわけでもないので今はゴーレムの話は一度おいておくことにする。
「そういえば勇者ってそろそろこっちに戻ってくるんだよな?いつだっけ?」
「確か今日のはずでしたよ?お父様も、その件がなければ1日目から学院祭に顔を出すつもりだったそうですが勇者が帰ってくるということでそちらの対応をしなくてはいけないらしくとても残念がっていました」
「チッ、やっぱり帰ってくるのか。ミル、今日学院祭に顔を出す可能性は?」
「無いとは言えませんがほとんどないかと思います。今日はきっと帰ってきてすぐにパーティーがありその後もお父様は勇者に話を色々と聞く予定だそうですから。明日はきっと顔を出してくると思いますが…」
ミルは楓にそう説明する。
なんでも、勇者が来るのは昼は確実にすぎるらしくその知らせはすでに王宮の方も把握しているようだ。
楓としても、勇者の対応は非常にめんどくさいのであまり相手にしたくないのだが、向こうからやって来る可能性が非常に高いためしょうがない。
「勇者が闘技場で戦うときは滅茶苦茶高性能のゴーレムを出してやる。日向たちとのデートはやらん」
楓はそう言って何やら呪文を唱え始め、一体のゴーレムを作成し終える。時間にして、約30秒ほどではあったがその出来は今までの比ではなく楓が少し真剣にやったということがよくわかるできのゴーレムとなっている。
ちなみに、このゴーレムのステータスはというと…
〜神話級〜
ゴーレム
ステータスオール10000
自動回復
超身体能力向上
時間停止
全属性魔法
「よし、こんなもんか」
「何、化け物みたいなゴーレムを作っているのですか…」
楓がゴーレムの性能を見て納得していると横から呆れた声を出しながらナビが楓にツッコミを入れる。
ほとんど毎日、修行をしている日向たちならすでにこれくらいのゴーレムなら余裕で倒すことができるだろうが流石に勇者たちではまだ無理があるだろう。
時間停止というスキルも、自分よりステータスが高い相手には効きにくいので日向たちにはほとんど効果がない。
ただ、勇者たちには効果抜群だろうからこのスキルで勇者たちをフルボッコにしてもらいたいところだ。
「すごいゴーレムだね。でもさ、何が一番驚きだって言われるとこのゴーレムに勝てちゃう自分が一番の驚きだよ」
「ですね。箱入りで全く力がなかった私でも、このゴーレムに勝てるなんて…」
「それだけ、日向たちが努力してきたってことだ。俺は才能は与えたがその才能を活かすも殺すも日向たち次第だからな。これからも頑張ってくれ」
「もちろん!それよりさ、屋台の方はどうなってる?」
「門の方から続々と人が入ってきているし、結構繁盛しているよ。きっと、お金もすごいことになる」
「楓くんなら、お金も創れるでしょ?」
「創れるが、色々と面倒なことになる。国も予期していないところからお金が湧いて出て来るんだ。そんなことをしたらミルのお父さんに怒られそうだ」
実際、別に創ろうと思えば楓だっていくらでも創れるが、やはりこの国にお世話になっている楓としてはそんなズルはしたくない。
まず、迷宮で入手したお金もまだ全部使い切っていないし他にもこの前の殲滅戦の時の魔物の素材も腐る程ある。そもそも、お金をわざわざ創る必要が楓には全くないのだ。
まぁ、今回のこの学院祭のおかげでまた使いきれないお金がかなり増えることになるだろうが、その使い方は真剣に早く考えなくてはいけない。
あまり、一つの場所にお金を溜め込むのは経済的にもよろしくない。
「今度、何か大きなものでも買うか…」
「ん?何か言った?」
「いいや。さ、お客さんもたくさんきたし、俺たちも頑張りますか!」
「「「「「おー!」」」」」
楓は、気持ちを切り替えて日向たちとともに気合を入れてこれから来るお客さんの対応を見守っていくのであった。




