クラン設立の発表があるのです!
クラン設立してから1日が経ち俺達2人は冒険者ギルドに召集がかけられた。
〜冒険者ギルド〜
「クラン登録上手くいって良かったね!」
「あぁ、でもギルドマスターとの戦いでもう少し手応えが欲しかったな」
「え?そんなに余裕だったの?」
「まぁな。でも戦い方とかは結構ユニークだったぞ。ステータスをもうちょい落とせばいい勝負が出来ただろうな」
「そういえばステータスは戻さないの?」
「あぁ、この位なら日向も頑張ればなれるしいちいちセットするのも面倒臭いから今はこのステータスで行こうと思うけど、要所要所で上げ下げはするかもな。多分1000行くか行かないかあたりがS級の壁だろうしな」
「そっかー。私もなれるかな?」
「余裕だろ。魔力だけならもっと伸びるかもしれないな。っとそんな事よりそろそろじゃねーか?」
「うん、そろそろだね」
俺達がなぜここでだべっているかというと、正式にクラン『無限の伝説』の設立が完了したということをギルドマスター直々に公に発表するみたいだからだ。
そうすればクランに入りたいという冒険者が出てくるかもしれないかららしい。まぁ知らない間にクランが設立されてても悲しいだけだけどさ…
『でも、二階のクラン一覧を見れば分かりますよ?』
え?二階って俺達使えるの?
『使えますよ。っていうか昨日受付嬢さんが言っていたじゃないですか。新しいクランメンバーの申請は二階でって』
そんな事言ってたっけ?
『…』
いや、ぼーっとしてて…テヘペロ
『こんなに悲しいテヘペロ初めて見ました』
黙っとけ…まぁそんな事で新しいクランが出来ましたよっていう報告を今日するみたいなのだがそれを見に来いとギルドマスターに昨日言われていたのだ。
それがそろそろ始まるんだとか。
お、ギルドマスターが壇上に立つ。朝なので冒険者はたくさんいる。
「早速だが今ここにいる冒険者諸君には聞いてもらいたい事がある」
ギルドマスターが話し出した事により冒険者たちがざわめき出す。
「昨日、新たなクランが設立された。クラン名は『無限の伝説』今は2人クランに所属している」
2人と聞いて周りは興味を失ったみたいだ。そりゃそうか。あからさまに弱小だしな。誰も好き好んで弱小クランになんて入りたがらない。
フリーの冒険者は、自由を好む冒険者か、大手クランに入って幅を利かせたいかのどっちかだろうしな。
「クランマスターは、Dランク冒険者のカエデだ。ほれ、そこにおるじゃろ」
!?あいついきなり俺にふりやがった!冒険者の注目を一斉に浴びる。Dランクということで皆不思議に思っているのだろう。
たくさんの視線やら小言を頂戴する。
「Dランクでクランマスター?聞いたことねぇな」
「どんなイカサマをしたんだ?」
「ギルドマスターに認めさしたんじゃね?」
「Dランクがだぞ?ないない」
「違いない」
周りは一斉に笑い出した。うざいなこれ…
その中でも1組の冒険者がギルドマスターに異議を申し立てに行った。
全員で10人か…そこそこ多いな。
「おい、ギルドマスター!俺らの申請は何度も断っておいて何であいつらは資格が認められんだよ!」
「なぜってあの小僧らが儂を認めさせたからじゃよ」
「んなわけあるか!俺たちはBランクだぞ!何であのDランクの白髪野郎が認められてBランクが認められないんだよ!」
Bランク冒険者とやらは口々にギルドマスターに愚痴を放つ。
まぁ俺たちは馬鹿にされたものだな。さすがにそろそろキレて良いかな?
「楓くん…どうしよう?なんか大変な事になっちゃった…」
「大丈夫だ。何かあれば俺かマリーが守るから」
「うん」
日向が俺の袖をキュッと掴む。こいつはまだステータス的にも心構え的にも不安があるからな。しょうがない。
いくら才能がありそうだからと言ってそれが開花されるのは今じゃないんだ。さすがに日向ではBランク冒険者の相手はしんどいし、何より怖いだろう。
俺は圧倒的ステータスのお陰で心配事は何もないからそこまで気負いはしてないからな。ギルドマスターに勝てる奴などそうそういないだろう。
にしてもせっかく作ったクランを馬鹿にされるのはなんか頭にくるな。
「マリー、日向を頼んだ。日向を害する奴や何かしようとした奴には丁重に痛い目に遭わせてやれ」
「りょうかい〜」
姿は見えないが頭の中で返事をしてくる。マリーは俺が召喚したから俺と日向はマリーと言葉にしなくても話せるのだ。
まぁ普段目につかない所ではマリーは話す時には出来るだけ具現化しているが…なんでも存在を忘れられそうで怖いんだそうだ。
「そこのBランク冒険者?だったっけ?俺のクランになんか言いたい事でもあんの?」
もう、面倒臭いからこっちから面倒の芽を潰しておく。
「大アリだよ!俺たちは前からクランの申請をしてるのに絶対にギルドマスターが首を縦に振らないんだ!なのにお前はクランを立ち上げられて、不公平だろ!」
「そんなのギルドマスターの判断だろ?ケチつけてんじゃねえよ。てかさっさとAランクに上がれば良いじゃん」
「さっきから聞いてりゃクランを立ち上げられたからってふざけた事抜かしやがって。テメェ覚悟は出来てんだろうな」
うわっ。こんな三下のセリフなんてアニメとかの世界の話だと思ってた。実際に言う人なんているんだ。
「は?覚悟も何も別にお前らBランクの事なんてどうでも良いんだよ。ただクランを馬鹿にするのは許さない。俺だけのクランじゃないからな。あいつが提案してくれたんだ。クランの名を汚すわけにはいかないんだよ」
そう、俺が言うと話していたBランク冒険者が日向の方を向いて何やら考えたのかいやらしい笑いを向けながら俺に言う。
「おい、白髪野郎。あの可愛い美少女を置いてクランを解消し、ここから出て行くなら半殺しで許してやる。さっさと出ていけ」
「は?」
その瞬間俺からとてつもない威圧がギルド全体に放たれた。
「お前。今なんて言った?」
見るまでもなく、俺は今キレている。クランを馬鹿にされただけでなく日向に色目を使った。
それがわかった瞬間俺は今までにない怒りを感じた。それ故に威圧スキルが暴発したのだ。威圧スキルはステータスやレベルに依存するので今のステータスオール1000の状態の俺が何も考えずスキルを発動しているのであのギルドマスターでさえ、身動きが取れず威圧スキルにされるがままになっていた。
「あば、ばばば、、ばばば、ば」
それを直で受けているBランク冒険者は今本物の殺気を感じ取り擬似的な『死』を体験しているのだろう。
例えるなら真っ裸の成人が虎に本気で殺気を向けられ食い殺されそうになっている場面とでも言えば今の状況が分かるだろうか。
「今度、日向に色目を使ってみろ。お前ら全員タダで済むと思うなよ?あとクランについても、だ。今のところ誰もクランに入れようと思っていない。騒ぐのは勝手だが俺らにちょっかいをかけてくるな。今回はお前らは一発ぶん殴ってそれで許してやる」
大きく腕を振りかぶりぶん殴ってやろうと思った瞬間…
「楓くん!」
日向に叫ばれる。その瞬間俺から出ていた威圧がなくなり。時間が動き出す。
「もう、その辺にしよ?」
日向に優しく頭を撫でられる。
「その辺にせい。お前らもこれで分かったじゃろ。儂が認めた理由を」
「あば、ばばばばばばば…」
まだ混乱から解放されてないみたいだ。まぁこれでスッキリしたしもう良いかな。
はぁ、日向がいてくれなかったら俺、やばかったな。初めてあんなにキレたわ。
まだまだ俺も未熟者だな。まぁこれでクラン設立に異議を立てるやつがいなくなったから良しとしよう。
次の日から『無限の伝説』のクランメンバーの2人には手を出すな。と冒険者から盛大にビビられるのであった。




