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魔物殲滅戦の後に 2

「カエデ、門の前まで転移して貰う事は出来るか?」


「出来るぞ。服装はこれで良いのか?」


「あぁ、それがカエデ達の戦闘服なのだろう?であれば何も問題ない」


「了解。じゃあ転移するぞ」


そう言って楓は野営した全員を一気に門の前迄転移させた。


昨日はあの後なんだかんだで楽しく野営をする事が出来た。


楓特製の夕食を食べた後は全員で楓達の恋愛事情についての質問会が始まり、日向達はともかく楓が恥ずか死しそうになっていた。


その後はみんな一日疲れただろうと言う事で素早く就寝する事になった。


今朝はエリスに朝食を作って貰いみんなでささっと食べ終わると各々凱旋の準備を始め出し今に至る。


「カエデのおかげで騎士達の場所も分かるし凱旋のタイミングもバッチリって訳ね」


「あぁ、部下には門の前で待つ様に指示してあるから今行けば向こうで待機しているだろう」


「と、言う事でさっさと行こう。私は早くもう一度転移魔法を体験したい」


ヒストリアは楓に向かってドヤ顔でそう言うと同時に楓の近くに寄って行き早くする様に催促している。


「分かったから落ち着け。それじゃあいくぞ」


楓はヒストリアを宥めつつ日向達全員を転移出来る様に少し大きめの魔法陣を地面に出現させ一気に全員を王都の門の前に転移させた。


「転移完了っと。おー結構人がいるな」


「か、カエデ様?なんで…って団長達もいるじゃないですか!?」


「カエデの転移魔法。それで、準備は出来てるの?」


楓達が転移した先には第1防衛ラインにいた騎士達がいて、皆楓達が一瞬で目の前に現れた事に驚いていたが横から出て来たヒストリアの質問によって強制的に話を切り替えさせられた。


「はい!馬車も用意させましたしいつでも可能です!」


「よし、なら私達はそっちに移動しよう。こちらの準備が出来次第王城に向かって移動しよう」


なんと、今回の凱旋で楓達は馬車に乗って王城迄行くみたいだ。


他の騎士や冒険者達は歩きなのに対して楓達だけが馬車という事でかなり目立つ事になるだろう。


「まぁ、楓くんは英雄だからねー」


「流石カエデだね。今回の魔物の討伐比率でもカエデが一番大きいしね」


英雄視されるのは楓だけでなく日向達全員に言える事なのだがやはりクランマスターであり今回の1番の功労者である楓が一番目立つのは必然となっている。


「これに乗るのか…?」


「あぁ、私達はこれで移動する様だ。…私を責めるなよ?これを用意したのは私の部下達だ」


「それにしたってこれは…」


そう言って楓は問題の馬車を指差してため息をく。


楓が想像していた馬車とは何時いつもの様な中の様子が見えない様な屋根付きの物を想像していたのだがこの馬車は屋根がなくオープンになっていた。


更に、タチが悪いのはこの馬車の装飾がかなり派手で滅茶苦茶豪華な物となっていた。


楓達全員が乗れる様にとかなり広いし一体幾らするのか真剣に問いただしたくな様な馬車だった。


「ただ凱旋でここ迄やるのか」


「毎回こんな事してたら予算がなくなっちゃうね」


これは素直な疑問でもあった。馬車がこの調子ならきっと中も結構凄い事になっているだろう。


毎回、ここ迄の事をやっているとしたら国家予算が瞬間で飛んでいく筈だ。


「今回は特別だ。なにせこの王都に新しい英雄が現れたんだ。盛大にやっておけば市民達も貴族達も安心するだろ?今回の魔物の襲撃はそれ程迄に脅威なものだったんだ。これは王都デスハイムからのささやかなお礼でもある」


「そうそう、そして私達からのお礼でもある。

えい」


ヒストリアはそういうと魔法で光の玉を何個か上空に出現させるとそれを一気に爆発させた。


その瞬間、一気に門が開かれ順に騎士や宮廷魔術師、冒険者達が門の中へと入って行く。


さっきのが凱旋の始まりの合図だった様だ。門から少し離れているここからでも中の歓声が聞こえてくるがとてつもない数の人がいる事が予想される。


「お祭り騒ぎだな」


「それだけ新しい英雄の事が気になるんだよ。ほら、楓くんも胸を張って?仮にもここのクランマスターだよ」


日向はそう言いながら楓の少し服がよれっとなっている所を直す。


なんか、新婚夫婦みたいだ。まぁ新婚夫婦なんだけれども…


「そろそろ行くぞ」


「おう。ルーナもありがとな」


「それはこっちのセリフだ。さぁ、新たな英雄の誕生だ!準備はいいかぁぁぁ!」


「「「「おぉぉぉぉぉ!!!!」」」」


ルーナは楓に改めてお礼を言うと周りの騎士や宮廷魔術師達の方を向いてそう叫ぶ。


現在、騎士や宮廷魔術師達のテンションは最高潮なのもあってルーナの掛け声に乗ってきた。


騎士達が声を上げて叫び出した瞬間、場の空気が一気に盛り上がる。


そして、楓達の乗っている馬車はその流れに乗るかの様に動き出し王城を目指して進行していく。


「お!あれが新しい英雄か!?」


「すげぇ…」


「新しい英雄さん!街を救ってくれてありがとう!!!」


「「「「おぉぉぉぉぉ!!!」」」」


楓達が門の中に入った瞬間、市民達の視線が一気に楓達の方に向き新たな英雄の姿を見て市民達は歓喜する。


楓達に声援を送るのはそれこそ老若男女で小さい子供からお年寄りまでかなりの人数が楓達の事を賞賛し、盛り上がっている。


本当にお祭りの様である。


『マスターは何かしなくて良いのですか?』


何がいいと思う?


『そうですね…こういうのはどうでしょうか…』


ナビちゃんはそう言って楓に一つの案を提案する。


楓はそれに納得したのかナビちゃんに礼を言ってそれを実行する為に手を真上に掲げた。


「お出迎えありがとうございます!これは俺からのささやかな礼です!楽しんで頂けると嬉しいです!」


「「「「おぉぉぉぉ!!!」」」」


楓は市民達に礼を言って上に掲げた手から沢山の光を上空に出現させそれをさっきヒストリアのやった様に上空で爆発させる。


ただ、それはヒストリアの様にただ爆発させるのではなく色をつけたり形を変えたりして爆発させる。


そう、日本にいた時に良く見ていた花火である。


楓は花火を自分の手から打ち上げる形にして王都の内部に沢山の花火を打ち上げる。


「やっぱり、お祭りと言ったら花火だよな」


「流石楓くん!とっても綺麗だよ!」


「これは旦那様が?私もこの発想はありませんでした。綺麗なものですね」


「綺麗ね。でもいいのカエデ?この魔法のせいで更に英雄視されるわよ?」


「いいよ別に。そうなればお前ら全員道連れにするだけだ!」


ルミナの問いかけに楓は笑いながらそう言って自分で打ち上げた花火をクランメンバー全員とルーナ、ヒストリアの2人と仲良く王城迄の間市民の歓声に応えつつ眺めているのであった。

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